文献情報
文献番号
201205006A
報告書区分
総括
研究課題名
まつ毛エクステンションの眼障害に関する実態把握調査
課題番号
H24-特別-指定-006
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
池田 真紀(日本大学医学部社会医学系公衆衛生学分野)
研究分担者(所属機関)
- 岩崎 賢一(日本大学 医学部社会医学系衛生学分野)
- 兼板 佳孝(大分大学 医学部公衆衛生・疫学講座)
- 井谷 修(日本大学 医学部社会医学系公衆衛生学分野)
- 照井 正(日本大学 医学部皮膚科学系皮膚科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,808,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
まつ毛エクステンションは、絹糸や化学繊維などを接着剤でまつ毛に付け、まつ毛を長くする、または濃くする美容法である。1990年代後半に韓国で発達した技術が2003-2004年ころにわが国に導入され、毎日付け外しのないまつ毛エクステンションが、耐久性の高いという理由で年々普及している。その一方で、未資格者の施術、施術者の技術不足などの理由により、被害報告が多数報告されている。そこで、国民にまつ毛エクステンションによる事故実態を知らせ、まつ毛エクステンションの衛生的かつ安全な使用を啓発するため、実態把握調査を実施した。
研究方法
2つの調査を実施した。1つ目の調査として、眼科医、皮膚科医を対象としたはまつ毛エクステンションによる眼障害受診者の診察経験および意識調査を実施した。対象者は2012年7月時点で日本眼科医会および、日本臨床皮膚科医会に所属する会員の中から無作為抽出された3500人であった。調査対象者には、自記式調査票、返信用中封筒、調査用小封筒を郵送し、記入した調査票を調査票小封筒に入れ密封し、さらにそれを返信用中封筒に入れて日本大学医学部宛てに郵送させた。返送しなかった対象者を同定するために返信用中封筒にはあらかじめ対象者の氏名、住所が記されたラベルを貼付し、返送しなかった対象者には調査票一式を再送付した。最高2回の再送付を実施した。調査期間は2012年9月~12月であった。調査の内容はまつ毛エクステンションによる眼障害受診者の診察経験、まつ毛エクステンションの美容認知、健康被害認知、性別などの個人特性などであった。
2つ目の調査として、まつ毛エクステンションによる健康被害を主訴として来院された患者様およびその診察をした医師を対象とした被害詳細調査を実施した。2012年7月時点で日本眼科医会会員のうち、東京および大阪支部に登録していた会員から、層化抽出を行い、各支部250人を対象に調査を実施した。対象者には、医師用および患者様用無記名自記式調査票、調査協力依頼状、返信用大封筒、調査票用小封筒の4点を郵送した。調査票一式を受領した1か月間に、まつ毛エクステンションによる眼障害と思われる患者様が受診した際、患者様に患者様用調査票ならびに調査票用小封筒を渡してもらった。調査では、患者様には調査票上で調査の依頼と調査への協力を頂けるか諾否の確認を行った。協力の同意が得られた患者様には患者様用無記名自記式調査票に回答後、調査票用小封筒に調査票を入れ、密封、受付に提出して頂いた。また、医師にはその患者様の眼障害の傷病名、治癒期間、転帰について、医師用調査票への回答を願った。医師用調査票についても患者様用調査同様に調査票用小封筒に入れ、密封させた。患者様用調査票、医師用調査票をすべて、返信用大封筒に入れ、日本大学医学部社会学系公衆衛生学分野へ返送してもらう方法をとった。調査期間は2012年11月から12月の1ヶ月間とした。
2つ目の調査として、まつ毛エクステンションによる健康被害を主訴として来院された患者様およびその診察をした医師を対象とした被害詳細調査を実施した。2012年7月時点で日本眼科医会会員のうち、東京および大阪支部に登録していた会員から、層化抽出を行い、各支部250人を対象に調査を実施した。対象者には、医師用および患者様用無記名自記式調査票、調査協力依頼状、返信用大封筒、調査票用小封筒の4点を郵送した。調査票一式を受領した1か月間に、まつ毛エクステンションによる眼障害と思われる患者様が受診した際、患者様に患者様用調査票ならびに調査票用小封筒を渡してもらった。調査では、患者様には調査票上で調査の依頼と調査への協力を頂けるか諾否の確認を行った。協力の同意が得られた患者様には患者様用無記名自記式調査票に回答後、調査票用小封筒に調査票を入れ、密封、受付に提出して頂いた。また、医師にはその患者様の眼障害の傷病名、治癒期間、転帰について、医師用調査票への回答を願った。医師用調査票についても患者様用調査同様に調査票用小封筒に入れ、密封させた。患者様用調査票、医師用調査票をすべて、返信用大封筒に入れ、日本大学医学部社会学系公衆衛生学分野へ返送してもらう方法をとった。調査期間は2012年11月から12月の1ヶ月間とした。
結果と考察
眼科医、皮膚科医を対象としたまつ毛エクステンション診察経験および意識調査では、対象者のうち、入院・死亡、退会のため回答できない者、転居などにより郵便が届けられなかった者は37人であった。従って、調査票が届けられた対象者は3463人であった。回収された2415人(反応率69.7%)のうち、不完全な回答者を除いた2355人名を有効回答例として解析を行った。
美容法としてのまつ毛エクステンションを、解析対象者の88.6%が認識していた。また、まつ毛エクステンションによる健康被害についても、76.0%が認識していた。そして、まつ毛エクステンションが原因の眼障害と思われる受診者を3か月の間に経験した医師は解析対象者のうち、19.8%であった。また、まつ毛エクステンションによる眼障害受診経験者における診察した疾患は、眼瞼皮膚炎、眼瞼縁炎、点状表層角膜症、接触性皮膚炎、角膜びらんなどであった。
健康被害詳細調査では、まつ毛エクステンション施術の美容所において、施術による健康被害のリスクについて説明を受けた患者様は62.5%であったのに対し、施術後、健康被害にあった時の対応についての説明があったと回答した患者様は25.0%であった。被害を受けた受診者の傷病名は、眼瞼皮膚炎、急性結膜炎、点状表層角膜症、眼瞼縁炎、角膜びらんなどであった。また治癒期間については、7日以内と回答が81.8%であった。
美容法としてのまつ毛エクステンションを、解析対象者の88.6%が認識していた。また、まつ毛エクステンションによる健康被害についても、76.0%が認識していた。そして、まつ毛エクステンションが原因の眼障害と思われる受診者を3か月の間に経験した医師は解析対象者のうち、19.8%であった。また、まつ毛エクステンションによる眼障害受診経験者における診察した疾患は、眼瞼皮膚炎、眼瞼縁炎、点状表層角膜症、接触性皮膚炎、角膜びらんなどであった。
健康被害詳細調査では、まつ毛エクステンション施術の美容所において、施術による健康被害のリスクについて説明を受けた患者様は62.5%であったのに対し、施術後、健康被害にあった時の対応についての説明があったと回答した患者様は25.0%であった。被害を受けた受診者の傷病名は、眼瞼皮膚炎、急性結膜炎、点状表層角膜症、眼瞼縁炎、角膜びらんなどであった。また治癒期間については、7日以内と回答が81.8%であった。
結論
本調査より、多くの医師がまつ毛エクステンションを知っており、またその健康被害を認識していることが明らかになった。また、患者様は美容所で、健康被害のリスクについての説明を受けているものが半数を超えたが、実際の対応についての説明を受けた者は25.0%にとどまった。
国民にまつ毛エクステンションについての健康被害について啓発する必要が示された。
国民にまつ毛エクステンションについての健康被害について啓発する必要が示された。
公開日・更新日
公開日
2016-06-01
更新日
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