文献情報
文献番号
201205005A
報告書区分
総括
研究課題名
医療対話仲介者(仮称)の実態把握と役割・能力の明確化に関する研究
課題番号
H24-特別-指定-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
稲葉 一人(中京大学法科大学院 法務研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,970,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
1.研究目的
平成24年4月1日に改定された診療報酬では、患者等からの相談に幅広く対応できる体制をとっている医療機関に対する評価として、「患者サポート体制充実加算」が新設された。この「患者サポート体制充実加算」では、専任の医師、看護師、薬剤師、社会福祉士又はその他の医療有資格者等を配置し、患者等からの相談に対して相談内容に応じた適切な職種が対応できる体制をとっていること等の施設基準が示されている。すでに(研究テーマでは、医療対話仲介者(仮称)となっている)医療対話推進者として現実に従事している者の中には医療従事者ではない者(たとえば、事務職や、医療事故の被害者やその家族等)も多く、「医療従事者ではないからこそ出来るサポートがある」といった患者・家族からの意見やニーズもある。そこで、医療対話推進者の役割や持つべき能力を明らかにした上で、医療従事者と患者・家族の間を適切にサポートできる医療対話推進者養成に向け、業務の指針とその養成指針を策定することが急務であり、本研究では、医療対話推進者の実態把握および役割や能力の明確化を目的とする。
平成24年4月1日に改定された診療報酬では、患者等からの相談に幅広く対応できる体制をとっている医療機関に対する評価として、「患者サポート体制充実加算」が新設された。この「患者サポート体制充実加算」では、専任の医師、看護師、薬剤師、社会福祉士又はその他の医療有資格者等を配置し、患者等からの相談に対して相談内容に応じた適切な職種が対応できる体制をとっていること等の施設基準が示されている。すでに(研究テーマでは、医療対話仲介者(仮称)となっている)医療対話推進者として現実に従事している者の中には医療従事者ではない者(たとえば、事務職や、医療事故の被害者やその家族等)も多く、「医療従事者ではないからこそ出来るサポートがある」といった患者・家族からの意見やニーズもある。そこで、医療対話推進者の役割や持つべき能力を明らかにした上で、医療従事者と患者・家族の間を適切にサポートできる医療対話推進者養成に向け、業務の指針とその養成指針を策定することが急務であり、本研究では、医療対話推進者の実態把握および役割や能力の明確化を目的とする。
研究方法
2.研究方法
① 医療機関で現に医療対話推進者として活動する者の活動の実際を、活動者からの聴き取り調査により明確にし、業務の内容やその流れを明らかにする。(医療対話推進者として活動している者からのヒアリング調査)。
② 医療者等を対象者として、医療対話推進者養成講座を体系的・継続的・組織的に運営している方々から聴き取り調査を行い、業務の内容、それに対処するための能力(コンペテンシー)、研修の構成を調査した。(医療対話推進者の養成研修をしているものからのヒアリング調査)
③ 研究班(代表、分担、協力者)が集まり、医療対話推進者の業務指針と研修プログラムの指針の仮案を作成した。(研究班会議)
④ ①②③のプロセスを経て作成された医療対話推進者の業務指針と研修プログラムの指針の仮案を、①②参加の者らに提案し検討した。(全体会議)
⑤ 成案となった「医療対話推進者の業務指針と研修プログラムの指針」を研究班の成果報告会を行った。(成果報告会)
⑥ 作成過程でインタビュー(ヒアリング)調査をした団体の参加を求めて、シンポジウムを行い「医療対話推進者」の業務と研修の課題と方向について議論した(シンポジウム)
① 医療機関で現に医療対話推進者として活動する者の活動の実際を、活動者からの聴き取り調査により明確にし、業務の内容やその流れを明らかにする。(医療対話推進者として活動している者からのヒアリング調査)。
② 医療者等を対象者として、医療対話推進者養成講座を体系的・継続的・組織的に運営している方々から聴き取り調査を行い、業務の内容、それに対処するための能力(コンペテンシー)、研修の構成を調査した。(医療対話推進者の養成研修をしているものからのヒアリング調査)
③ 研究班(代表、分担、協力者)が集まり、医療対話推進者の業務指針と研修プログラムの指針の仮案を作成した。(研究班会議)
④ ①②③のプロセスを経て作成された医療対話推進者の業務指針と研修プログラムの指針の仮案を、①②参加の者らに提案し検討した。(全体会議)
⑤ 成案となった「医療対話推進者の業務指針と研修プログラムの指針」を研究班の成果報告会を行った。(成果報告会)
⑥ 作成過程でインタビュー(ヒアリング)調査をした団体の参加を求めて、シンポジウムを行い「医療対話推進者」の業務と研修の課題と方向について議論した(シンポジウム)
結果と考察
3.結果と考察
(1) 結果
① 医療対話仲介者として活動している者からのヒアリング調査
医療過程での患者家族からの相談の流れの説明を受けた。
② 医療対話仲介者の養成研修をしているものからのヒアリング調査
医療対話仲介者研修(名称は各団体で様々である)の多様性と、必要な研修項目や方法論について説明を受けた。
③ 成果報告会
研究班から報告書の作成経緯や、これに対する分担研究者の所見、厚生労働省からは、本研究に至った状況等の説明がされた上、医療安全との「連携」や職種の多様性と相談内容の多様性からの研修や研修効果の評価についての工夫や方法論の確立が必要であることが共有された。
④ シンポジウム
4団体(個人も)から報告を受け、医療対話推進者の今後について議論がなされた。研修実施主体による研修の多様性と、研修の成果や継続的研修の必要性が確認された。
(2)考察
1. ヒアリング調査等を踏まえて、報告書を作成し、今後患者サポート体制の中核を担う、医療対話推進者の業務と研修のための道標を作成した。
2. 医療対話推進者には、多くの期待が寄せられている。
3. 医療対話推進者の現実の役割や、その養成方法については、課題が出された。
(1) 結果
① 医療対話仲介者として活動している者からのヒアリング調査
医療過程での患者家族からの相談の流れの説明を受けた。
② 医療対話仲介者の養成研修をしているものからのヒアリング調査
医療対話仲介者研修(名称は各団体で様々である)の多様性と、必要な研修項目や方法論について説明を受けた。
③ 成果報告会
研究班から報告書の作成経緯や、これに対する分担研究者の所見、厚生労働省からは、本研究に至った状況等の説明がされた上、医療安全との「連携」や職種の多様性と相談内容の多様性からの研修や研修効果の評価についての工夫や方法論の確立が必要であることが共有された。
④ シンポジウム
4団体(個人も)から報告を受け、医療対話推進者の今後について議論がなされた。研修実施主体による研修の多様性と、研修の成果や継続的研修の必要性が確認された。
(2)考察
1. ヒアリング調査等を踏まえて、報告書を作成し、今後患者サポート体制の中核を担う、医療対話推進者の業務と研修のための道標を作成した。
2. 医療対話推進者には、多くの期待が寄せられている。
3. 医療対話推進者の現実の役割や、その養成方法については、課題が出された。
結論
ヒアリング・インタビュー調査等を踏まえて、「医療対話推進者の業務指針及び養成のための研修プログラムの作成指針、-説明と対話の文化の醸成のために-」を作成した。この報告書については、平成25年1月10日の厚生労働省医政局総務課長通知で、「このプログラムに基づいて本指針が幅広く利用されることによって、対話の推進が図られますように周知方」と通知されている。また、平成25年3月21日の厚生労働省保険局医療課通知(疑義照会)でも引用されている。
今後は、この報告書をもとに、現場での周知が図られ、医療対話推進者の認知度を高め、その業務が円滑に行われること、更にそれらの研修が適切に実施されることになるし、それが期待されている。それとともに、今後は、業務の実態(医療対話推進者の役割が適切に果たされているかどうか)や各団体で実施されている研修の評価の調査が必要である。また、成果報告会・シンポジウムで出た課題を克服するための研究や実践を行う必要がある。
今後は、この報告書をもとに、現場での周知が図られ、医療対話推進者の認知度を高め、その業務が円滑に行われること、更にそれらの研修が適切に実施されることになるし、それが期待されている。それとともに、今後は、業務の実態(医療対話推進者の役割が適切に果たされているかどうか)や各団体で実施されている研修の評価の調査が必要である。また、成果報告会・シンポジウムで出た課題を克服するための研究や実践を行う必要がある。
公開日・更新日
公開日
2015-05-26
更新日
-