医療機関外死亡における死後画像診断の実施に関する研究

文献情報

文献番号
201205004A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関外死亡における死後画像診断の実施に関する研究
課題番号
H24-特別-指定-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
兵頭 秀樹(北海道公立大学法人 札幌医科大学 医学部 放射線診断学)
研究分担者(所属機関)
  • 今井 裕(東海大学 医学部専門診療学系画像診断学)
  • 池田 典昭(九州大学 大学院医学研究院法医学分野)
  • 飯野 守男(大阪大学 大学院医学系研究家法医学分野)
  • 渡邊 智(北海道公立大学法人 札幌医科大学 医学部 法医学講座)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成23年7月に取りまとめられた「死因究明に資する死亡時画像診断の活用に関する検討会」報告書においては、死因究明における死後画像診断の有用性とともに、その活用にあたって、①死後画像撮影及び読影に関する知識、技術の向上、②医療機関外の死後画像撮影専用の施設における安全な死後画像撮影のための基準の策定、③技術の向上のため、死後画像の読影結果と解剖結果の継続した比較検証などの課題が示された。
これらの課題に対しては、「診療行為に関連した死亡の調査分析モデル事業」や「死亡時画像読影技術等向上研修」などの予算措置がとられているところであるが、「死因究明等の推進に関する法律」及び「警察等が取り扱う死体の死因又は身元の調査等に関する法律」が制定され、特に「死因究明等の推進に関する法律」においては、「死因究明等の推進に関し、重点的に検討され、及び実施される施策」のひとつとして、死後画像診断が位置付けられており、死後画像診断の活用については、より迅速な環境整備が求められている。
本研究の目的は、①死後画像診断を医療機関外の専用施設で安全に実施するための基準の作成、②死後画像の撮影・読影技術向上のための読影結果と解剖結果の比較検証等を通じて死因究明体制の充実強化に寄与する取り組みの提示、③国内で普遍的に実施するため人口密集地域及び非人口密集地域での比較検討、④実態に基づく施設基準について検討し課題を明らかにすること、を目的とする。
研究方法
非監察制度地区と監察医地区での比較検討を申請時研究課題として提出したが、第一回班会議にて既に国内各施設で個別に実施されていることが明らかとなり、施設/地域限定ではなく全国規模の実態調査が望ましく調査票による集計が提案された。これに基づき研究方法を修正し、①現行法に基づく医療機関外での死後画像診断装置の設置基準について調査
②全国の大学医学部法医学関連講座ならびに関連施設への調査票配布により、医療機関外死亡に対する死後画像診断の実施状況と結果集積・現状の問題点・制度的障害・現状の課題並びに今後必要な教育・研修制度について意見を拾い上げ検討を加えることとした。
また、死後画像診断による死因判定を地域格差なく実施するために必要な読影技能水準を明らかにするため
③特定の病態に対する死後CT診断実施のためのガイドライン策定
を追加実施することとした。
結果と考察
研究結果
 ①現行法に基づく医療機関外での死後画像診断装置の設置基準については、装置設置のための法的基準並びにそれを取り扱う人的基準について検討を行った。医療機関外にて死後画像撮像を行うためには順守されるべき法的項目が明らかとなった。
 ②全ての地域で既に医療機関外死亡に対する死後画像検査が実施されていることが明らかとなった(合計1万1365体分を集計)。
 ③死後CT読影に対する診断基準策定のための検討を研究分担者並びに研究協力者で実施し、直接死因としての診断ガイドライン(案)を策定した。

考察
死後画像診断を医療機関外の専用施設で安全に実施するために順守される法的要項について提示することができた。
既に実施されている医療機関外死亡に対する死後画像撮影/読影の現状について、全国規模の実態が明らかとなった
地域格差のない死後画像診断のためのガイドライン(案)を作成することが一部の病態に対して可能となった。
結論
 医療機関外死亡に対する医療機関外専用施設での実施のために必要な法的基準並びに死後画像診断が実施された際に必要とされるためのガイドライン(案)を提示した。体制の充実・強化のためには、今後更なる教育活動の実施並びに死後CT画像診断認定医制度等の社会基盤整備についての検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2014-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201205004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
解剖と画像との比較については、個々の施設において十分な比較検証は実施されたが、施設間で相互に比較検証することが個人情報の観点から困難であり慎重に対応することとした。また、個別の例外的事例についての検証も提起され、今後の検討課題とすることが合議された。
臨床的観点からの成果
実態調査については合計1万体を超える集計を達成し、国内現状を把握することが可能となった。
ガイドライン等の開発
地域格差のない死後画像診断に必要な診断ガイドラインについては、一部の病態に対してではあるがガイドライン(案)として呈示した。しかし、その他の病態や複合的死因による判定困難事例並びに想定外の状況については今後対応することが求められ、今回提示の診断ガイドライン(案)の運用法についても十分な検証が必要と考えられた。
その他行政的観点からの成果
国内多施設で実施されている状況があきらかとなり、既に各施設で実施されている現状と比較し、改善点等を発見する機会となったと考えられる。
その他のインパクト
死後画像診断に関してワークショップ形式での研修会を実施した(2012年7月21日・2013年2月9日)。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
Advanced Medical Imaging 2016
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-05-26
更新日
2023-06-09

収支報告書

文献番号
201205004Z