文献情報
文献番号
201204003A
報告書区分
総括
研究課題名
ウイルス感染症の診断、疫学および予防に関する研究
課題番号
H24-国医-指定-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中込 治(長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 有川 二郎(北海道大学大学院医学研究科)
- 西園 晃(大分大学医学部)
- 森川 茂(国立感染症研究所)
- 森田 公一(長崎大学熱帯医学研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(国際医学協力研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,569,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アジアにおいて問題となるアルボウイルス感染症、ウイルス性下痢症、狂犬病、ウイルス性出血熱・新興ウイルス感染症を対象とし、(1)精度が高く、迅速・簡便な診断法の開発と評価、及び普及、(2)疫学調査により、国内外における汚染地の特定とヒトにおける感染状況の解明、(3)病原体を分離し性状の解明、(4)ワクチン開発のための基盤的研究の実施、を目的とした。
研究方法
研究分担者および研究協力者が各自の専門性を生かしながら、診断法の開発及びその評価、疫学調査、ワクチン開発のための基盤研究、実験室での解析、学会等にて情報交換を行った。
結果と考察
アルボウイルス感染症研究:デングウイルス中和に関する7F4抗体に対応するエピトープが、ヒトにおける型特異的中和抗体の誘導に重要な役割を果たすことが示唆され、今後のワクチン開発に有効な知見が得られた。
ウイルス性下痢症研究:G2ロタウイルス株のVP7遺伝子の研究において、我が国でさらにロタウイルスワクチンの接種率が向上した場合の野生株に与える影響評価にとって重要な基盤情報を得た。またノロウイルスに対するワクチン開発に際し、GII.4型と、それに次ぐGII. 3型を候補とすることが適切であることが示された。
狂犬病研究:これまでに開発した狂犬病ウイルス抗原診断法(RICT法)と血中ウイルス中和抗体迅速測定法(RAPINA法)は、狂犬病の流行国でも安価で簡便に利用できることを確認した。我が国に狂犬病が再侵入し、再興した場合でも対応可能なリスク管理のできる手段を確立した。
ウイルス性出血熱・新興ウイルス感染症研究:ハンタウイルス感染症に対して特異性に優れ、迅速なスクリーニング用血清診断法と血清型鑑別診断法を開発、当疾患に対して早期診断方法を確立した。またイヌジステンパーウイルス感染症流行時のサルの血清学的解析、病理学的解析等により、流行の全容を明らかにした。このイヌジステンパーウイルスは、サルのレセプターを有効に利用できることが、サルからサルへの伝搬が容易に起きた原因であると考えられた。
アジアや米国の研究者との共同研究:ベトナム国立衛生疫学研究所、タイ赤十字協会・サオバブハ女王記念研究所、チュラロンコーン大学、フィリピン熱帯医学研究所等の協力機関及び米国の研究者との共同研究を推進した。平成24年6月別府市において、第46回日米医学ウイルス性疾患専門部会年次会議を開催、同時に”Emerging and reemerging viral diseases in Asia”と題するミニシンポジウムを実施した。国内外の研究者と意見交換を行い、本研究における国際的な共同研究体制・環境がさらに強化された。
ウイルス性下痢症研究:G2ロタウイルス株のVP7遺伝子の研究において、我が国でさらにロタウイルスワクチンの接種率が向上した場合の野生株に与える影響評価にとって重要な基盤情報を得た。またノロウイルスに対するワクチン開発に際し、GII.4型と、それに次ぐGII. 3型を候補とすることが適切であることが示された。
狂犬病研究:これまでに開発した狂犬病ウイルス抗原診断法(RICT法)と血中ウイルス中和抗体迅速測定法(RAPINA法)は、狂犬病の流行国でも安価で簡便に利用できることを確認した。我が国に狂犬病が再侵入し、再興した場合でも対応可能なリスク管理のできる手段を確立した。
ウイルス性出血熱・新興ウイルス感染症研究:ハンタウイルス感染症に対して特異性に優れ、迅速なスクリーニング用血清診断法と血清型鑑別診断法を開発、当疾患に対して早期診断方法を確立した。またイヌジステンパーウイルス感染症流行時のサルの血清学的解析、病理学的解析等により、流行の全容を明らかにした。このイヌジステンパーウイルスは、サルのレセプターを有効に利用できることが、サルからサルへの伝搬が容易に起きた原因であると考えられた。
アジアや米国の研究者との共同研究:ベトナム国立衛生疫学研究所、タイ赤十字協会・サオバブハ女王記念研究所、チュラロンコーン大学、フィリピン熱帯医学研究所等の協力機関及び米国の研究者との共同研究を推進した。平成24年6月別府市において、第46回日米医学ウイルス性疾患専門部会年次会議を開催、同時に”Emerging and reemerging viral diseases in Asia”と題するミニシンポジウムを実施した。国内外の研究者と意見交換を行い、本研究における国際的な共同研究体制・環境がさらに強化された。
結論
感染症に国境はなく、我が国の感染症発生はアジアの他地域における各種感染症の流行に大きく影響されている。実際新たな感染症の出現が中国でみられた。これに関する適切な情報共有が行われた。また疾患によっては経過が早くかつ重症になりやすいものがあるため、各国の研究者との情報交換や共同研究をさらに推進させ、ウイルス感染症分野における公衆衛生対策のためのエビデンスとなるような基盤的研究を充実させていく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2013-05-31
更新日
-