文献情報
文献番号
201204002A
報告書区分
総括
研究課題名
国際共同基盤研究に応用する抗酸菌感染症研究の整備
課題番号
H24-国医-指定-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
牧野 正彦(国立感染症研究所 感染制御部)
研究分担者(所属機関)
- 光山 正雄(京都大学大学院 医学部)
- 後藤 正道(国立療養所 星塚敬愛園)
- 瀧井 猛将(名古屋市立大学 薬学部)
- 大原 直也(岡山大学 歯学部)
- 岩本 朋忠(神戸市環境保健研究所)
- 福富 康夫(国立感染症研究所 感染制御部)
- 岡田 全司(国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター)
- 小出 幸夫(浜松医科大学)
- 鈴木 定彦(北海道大学 人獣共通感染症リサーチセンター)
- 長谷 篤(大阪市立環境科学研究所)
- 慶長 直人(国立国際医療センター研究所)
- 向井 徹(国立感染症研究所 感染制御部)
- 田村 敏生(国立感染症研究所 感染制御部)
- 松本 智成(大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター)
- 松本 壮吉(大阪市立大学 医学部)
- 柴山 恵吾(国立感染症研究所 細菌第二部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(国際医学協力研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,569,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
結核・ハンセン病などの抗酸菌感染症は20世紀最大の恐怖を与えたとともに未だ制御が極めて難しく、アジア諸国においては疾病対策上大きな障害を与える慢性持続感染症である。アジア諸国の厚生行政上の推進を主目的として種々の開発及び応用研究を展開することを目的とした。
研究方法
アジア諸国で分離された薬剤耐性菌の遺伝子変異を、塩基配列の解析を含む種々の分子生物学的技法を用いて解析した。結核菌・らい菌・非結核性抗酸菌が主に使用するアミノ酸をメタボロミクス解析法を用い半定量的に解析した。結核の発症を予防するリコンビナントBCGの作製を目的として、ウレアーゼ欠損リコンビナントBCGにHSP70-MMP-II連結遺伝子を導入し、得られたリコンビナントBCGのT細胞活性化能を樹状細胞を抗原提示細胞として用い検討した。
結果と考察
ミャンマー・ネパール・バングラディシュ・台湾などの結核濃厚流行国において、現地の結核検査担当者に対し技術指導を行った後、薬剤耐性結核菌株を収集し、DNAを得た後、薬剤耐性に係る可能性のある遺伝子の塩基配列を決定して各国の薬剤耐性結核菌の出現状況を把握した。同時に、薬剤耐性菌を迅速かつ簡便に同定する試験法を開発してアジア諸国への技術移転を図った。また、既知の変異以外にも薬剤耐性に関わる遺伝子変異が存在することが明らかとなり、今後こうした菌株の拡散状況を調査する必要性が高まった。人工培養不能ならい菌と結核菌・非結核性抗酸菌とでは使用されるアミノ酸が大きく異なっており、特異な病像を呈するハンセン病の発症機構の一端が明らかとなった。ウレアーゼ欠損BCGにHSP70-MMP-II連結遺伝子を導入して作製したリコンビナントBCGは、樹状細胞を介してヒトの未感作CD4陽性及びCD8陽性T細胞を強く活性化して大量のIFN-γの産生を誘導するとともに、マウス生体内で長期間生存可能なメモリーT細胞を効率的に産生した。従来のBCGに比し、免疫活性が強いBCGが得られた。これらの技術開発技法をアジア諸国の研究者に技術移転し、自国での研究レベル向上を図った。
結論
アジア諸国の抗酸菌研究者と種々の共同研究を行うことで、それぞれの国の抗酸菌感染状況が把握できた。また今後の研究推進に必要なスキルの向上に貢献した。
公開日・更新日
公開日
2015-06-05
更新日
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