アジアのコレラ・腸管感染症の現状掌握と問題解決のための研究:国際共同研究との連携を介した日-アジアネットワーキング形成を目指して

文献情報

文献番号
201204001A
報告書区分
総括
研究課題名
アジアのコレラ・腸管感染症の現状掌握と問題解決のための研究:国際共同研究との連携を介した日-アジアネットワーキング形成を目指して
課題番号
H24-国医-指定-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
西渕 光昭(京都大学 東南アジア研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 江崎 孝行(岐阜大学大学院 医学系研究科)
  • 甲斐 明美(東京都健康安全研究センター 微生物部)
  • 西川 禎一(大阪市立大学 大学院生活科学研究科)
  • 山崎 渉(宮崎大学農学部 獣医学科)
  • 渡辺 治雄(国立感染症研究所 細菌学)
  • 山崎 伸二(大阪府立大学大学院 生命環境科学研究科)
  • 野田 公俊(千葉大学大学院 医学研究院)
  • 倉園 久生(帯広畜産大学 畜産衛生学研究部門)
  • 山本 友子(千葉大学大学院 薬学研究院)
  • 大澤 朗(神戸大学大学院 農学研究科)
  • 神谷 茂(杏林大学 医学部)
  • 藤井 潤(九州大学大学院 医学研究院)
  • 辻 孝雄(藤田保健衛生大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(国際医学協力研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
9,569,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業では、アジアの発展途上国 (場合によっては、新興発展国に定義される国を含む)のコレラおよびその他の腸管感染症の現状に即して、人々の健康改善に貢献することを目標とした。すなわち、アジアの様々な状況に明るい日本国内の研究者から14名を本研究の研究分担者として厳選して研究チームを組織し、アジア各地の研究者と本研究チームとの国際共同研究を実施し、成果を公表することを目指した。特に、1) 現場での共同作業またはカウンターパートの日本への招聘を通した情報交換と成果のインプット、2) アジア各地の研究者との連携および国内チームのサブグループ間の連携とをベースとする、日 – アジアネットワーキング形成、3) 国内のしっかりとした基礎研究に支えられた実用的研究と疫学・生態学を草の根的共同研究に反映させて得られる貴重な成果をアジアの研究者も参加する日米合同会議で発表することにより、米国を含む先進諸国と、情報を共有し、情報交換をこれまで以上に活性化することを重視した。
研究方法
研究分担者は、以下の3グループ(括弧内の内容は各グループ内の共通目標)のいずれかに属して研究を実施し、同時にグループ間、およびアジアのカウンターパートとの間でも情報交換を通して連携を強化し、研究ネットワーク形成に貢献できるように努めた。
1) 検査法の開発(アジアの途上国でも使用可能な簡便・高感度検査法の開発)
2) 生態学・疫学の解明(アジア諸国での病原性菌株のダイナミズム)
3) 病原性の解明(検査法・ワクチン開発・治療法開発の礎を築く)
なお、各研究分担者の研究は病原性細菌のセイフティーレベル、動物実験への配慮、倫理、組換DNA実験等に関する規定・指針に従って遂行した。
結果と考察
1) 検査法の開発:腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌、コレラ菌、主要な下痢症病原体すべて、下痢症起因菌、あるいはサルモネラ属菌検査を標的とした、迅速、高感度、簡便な病原細菌の検査法に関する研究が開始あるいは継続され、いずれにおいても大きな進展が認められた。特に魚介類中の腸炎ビブリオの検査法に関する検査法(tdh遺伝子およびtrh遺伝子を標的とした、LAMP法) は、国際的なvalidationの段階に入りFAO主催のワークシップにおいて良い評価を得た。
2) 生態学・疫学の解明:アジアにおいて感染率が高いヘリコバクター・ピロリ、あるいはアジアを含めて世界的に感染率・汚染率が高いことが明らかになり、重視されるようになったCampylobacter属菌・Arcobacter属菌について研究が推進された。また、マレーシアでの研究では以外な病原細菌による食品の汚染(野菜・穀類のKlebsiella pneumoniae、Bacillus cereus、Bacillus thuringiensis、および大腸菌O157:H7による汚染、肉類のListeria monocytogenes による汚染)が明らかになった。さらに、コレラ菌のコレラ毒素遺伝子を運ぶバクテリオファージのアジアの熱帯環境水中での多彩な動態に関する研究、先進国では注目され初めているが、アジアの発展途上国では不明な点が多い非定型腸管病原性大腸菌に関する研究が遂行された。
3) 病原性の解明:チフス・非チフス侵襲性サルモネラ症、および赤痢の原因細菌の複雑な病原性メカニズムを解明する研究(III型分泌装置に関する研究など)が活発に行われた。また、腸管出血性大腸菌O157による急性脳症の予防の基礎になる病原性メカニズムおよび腸管出血性大腸菌の産生する新しい毒素SubABの作用メカニズムがかなり明らかになった。
結論
それぞれのサブグループの研究の多くは、アジアの研究者との情報交換と連携をベースとする研究に展開した。
1) 検査法の開発:PCRをベースとする各種病原菌の検出法の中には有効性がアジアでのvalidation によって証明されはじめるまでに至った検査法もある。またこれらの遺伝学的検査法がアジア諸国における環境サンプル(食品を含む)や患者サンプルの汚染調査において有効に活用され、汚染実態の詳細がかなり明らかになった。
2) 生態学・疫学の解明:アジアにおいて感染率・汚染率が高い胃・腸管感染症病原菌、意外な食品に分布する腸管病原細菌、コレラ菌の病原性のメカニズムの本質に迫る研究など、将来これらの感染症の予防・治療に役立つことが期待できる研究が進行中である。
3) 病原性の解明:アジアで特に重要な重篤な疾病の病原性メカニズムに迫る研究が実施され、ワクチン開発や治療法に繋がる重要な研究として期待できる。
 これらの研究成果の多くは、目標どおりに、アジア諸国の研究者も参加した日米合同会議で発表された。

公開日・更新日

公開日
2013-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201204001C

収支報告書

文献番号
201204001Z