災害における公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設に係る研究

文献情報

文献番号
201203024A
報告書区分
総括
研究課題名
災害における公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設に係る研究
課題番号
H24-地球規模・一般(復興)-001
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
高野 健人(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 大友 康裕(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 中村 好一(自治医科大学)
  • 尾島 俊之(浜松医科大学)
  • 山縣 然太朗(山梨大学 大学院)
  • 玉腰 暁子(北海道大学 大学院)
  • 中村 桂子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 笹井 康典(大阪府 枚方保健所)
  • 佐々木 隆一郎(長野県 飯田保健福祉事務所)
  • 坂元 昇(川崎市 健康福祉局)
  • 藤内 修二(大分県 中部保健所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 東日本大震災の発災後、被災地住民の健康を守るための医療支援や公衆衛生的な支援が多くの関係者によりなされてきた。しかし、避難所などの環境衛生、広く地域の廃棄物、汚水等の衛生管理、感染症対策、高齢者や乳幼児また疾病など健康にリスクのある人々へのケア、生活環境条件への支援など、中長期にわたる一貫性のある公衆衛生的支援をするための仕組みが存在せず、災害における公衆衛生的な活動を行う支援組織の必要性が新たに認識されることとなった。そこで、災害発生初期から中長期にわたり、公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設、その支援組織の活動内容、編成・登録・研修の方法、派遣方法、また、運用計画のあるべき要件、さらにはその実行を担う人材の備えるべきコンピテンシーとその能力修得のためのプログラムを示すことを目的として本研究を行った。
研究方法
 災害発生時の被災地住民の健康を守るための研究、実践、活動に従事している大学や研究所の公衆衛生の専門家、国や地方自治体の行政関係者、医療関係者、福祉関係者、都市・地域計画関係者、その他ボランティアで構成されている、「災害支援パブリックヘルスフォーラム」のメンバーより、次の課題について意見、情報を得た。さらに、災害の発生初期から中長期にわたり公衆衛生的な活動を行う支援組織の必要性、人材の養成、今後の課題を検討し、災害における公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設の具体的な展開にあたっての課題を整理した。(1)災害時健康危機管理支援チームの活動内容、編成・登録・研修、派遣、運用計画、(2)災害時健康危機管理支援業務に必要なコンピテンシー、(3)同チームを担う人材育成プログラムについて、(4)広域的な人材育成実施体制、(5)諸外国における各国内の災害時の健康危機管理支援体制・人材育成の事例。
結果と考察
 災害発生初期から中長期にわたり公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設について、国際的な災害時対応事例、国内の活動事例、特に東日本大震災時の実際の活動の分析に基づき創設実現に向けた検討を行い、派遣されるチームのあり方と人材養成について提示した。
 甚大な災害の発生に際し、災害時に迅速に被災地に入り、医療機関の被害の状況や、避難者の飲料水や食料、生活環境の衛生状態、感染症発生などの状況を把握して、被災地に必要な人的、物的支援の確保、供給、配置を行う専門的な訓練を受けた公衆衛生チームである「災害時健康危機管理支援チーム(Disaster Health Emergency Assistance Team: DHEAT)(仮称)」の創設が必要である。
 広域にわたる大規模災害の発生が想定される中、「災害時健康危機管理支援チーム」で活躍できる人材の養成にあたっては、情報収集と分析の能力、調整能力、実状をふまえて実践を弾力的に運営する能力など、その備えるべきコンピテンシーをふまえ、能力修得の研修やトレーニングが必要である。
 今後は、国の対応計画と対応指針に基づく全国的な体制の確立し、全国規模で標準化したシステムにより情報を一元化する方法を研修・訓練を通じて普及を構築し、全国統一で国が研修・訓練を実施して災害発生時の組織的な支援を担う人材を育成するとともに、民間人材がが参画するパブリック・プライベート・パートナーシップのしくみの構築が必要である。
結論
 災害時に迅速に被災地に入り、医療機関の被害の状況や、避難者の飲料水や食料、生活環境の衛生状態、感染症発生などの状況を把握して、被災地に必要な人的、物的支援の確保、供給、配置を行う専門的な訓練を受けた公衆衛生チームである「災害時健康危機管理支援チーム(Disaster Health Emergency Assistance Team: DHEAT)(仮称)」の創設が必要であり、当該チームで活躍できる人材の養成にあたっては、全国規模で標準化したシステムによる情報の一元化を含む情報収集と分析の能力、調整能力、実状をふまえて実践を弾力的に運営する能力など、その備えるべきコンピテンシーをふまえた研修・訓練が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201203024Z