文献情報
文献番号
201203023A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器規制分野におけるISO/IEC規格の認証基準への直接活用に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-地球規模-指定-002
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 厚子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
研究分担者(所属機関)
- 大村 昭人(帝京大学医学部付属溝口病院)
- 鄭 雄一(東京大学バイオマテリアル工学、再生医学(大学院工学系研究科バイオエンジニアリング専攻及び医学系研究科))
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
8,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
国内の医療機器認証基準ではJIS規格を告示引用している。JIS規格には国内で独自に制定したものと、国際整合化の観点からISO/IEC規格を翻訳しJIS規格(翻訳JIS)として制定したものとがある。後者については、当該国際規格が発行された後、翻訳に要する時間、JISとして発行するための国内手続きの時間が必要となり、国際規格が発行されても国内ではタイムリーにその翻訳JISを使用できる状況にはない。そのため、先行する厚生労働科学研究において「JISに限定せず、最新版の国際規格(ISO/IEC等)が適宜利用できるような認証基準の運用を早期に実現すべき」との提言がなされ、また、医療イノベーション5カ年戦略でも「医療機器の特性を踏まえた規制のあり方の検討」の中で、「登録認証機関が行う認証基準については、最新の国際的な基準とも整合性が図られるようJIS規格だけでなく、国際的な基準を採用し、認証制度の合理化を進める。」という具体的な目標が掲げられた。本研究では、これらを踏まえ、ISO/IEC規格の認証基準への直接活用の実現の可能性を探った。
研究方法
平成24年7月1日現在、JIS規格総数は10,301規格、そのうち医療機器関連のJISは459規格であった。そのうち、翻訳JISは274規格で、内訳はIDT 67規格、MOD 196規格、NEQ 11規格であった。本研究では、MOD規格のうち、医療機器の認証基準に引用されている92規格を抽出し、そのうち27規格にあった計393か所の修正箇所について、修正理由をA.ISO/IEC規格記載の間違い、B.国内状況(環境)に合わせた修正、C.保健衛生上重要な修正、及びD.その他の4つに分類、調査した。また、ISO国際会議へ出席し、策定文書内容と対応国内規制との相違の有無の観点からの情報収集を行った。
結果と考察
MOD(国際規格を修正している)タイプの翻訳JISの修正理由を分析した結果、修正理由には保健衛生上重要なものは少なく(5.6%)、むしろ、業界団体によって、その対象品目の製造、医療環境の違いに依存した修正(62.3%)が多いことが判明した。本研究の調査にご協力いただいた、医療画像システム、歯科器械、歯科材料、医療器材の4分野間においても、ISO/IEC規格の直接活用に対する距離感は大きく異なっていることが判明した。
ISO/IEC規格の直接活用のメリットとして、時間的、経済的資源の節約の道筋が明らかになった。また、日本の医療現場における医療機器使用環境の特殊性による問題も炙り出すことができた。この問題解決のために法的、制度的規制緩和を含めた対策が必要であり、これらの対応を行うことができれば、ISO/IEC規格を直接活用することは十分に実現可能と考えられた。また、ISO/IEC規格の認証基準への直接活用は、業界ごとに実情に合わせて対応を変える案と、統一の動きをとる場合は、JISができるまでの間はISO規格を直接活用できるようにする案との二つの選択肢があると考え、本研究班の提言としてまとめた。
ISO国際会議への出席を通して、各国の規制環境、医療環境が異なるなか、作成された一つの国際標準文書がそれらのすべての国で適切に使用されるためには、各国の規制環境の違いをいかに考慮して文書を作成するかが重要で、このことは、国内での国際規格のスムースな直接活用につながると考えられた。今後、ISO国際会議への出席者が、各国の規制環境を理解しつつも、より積極的に国内の規制環境、医療環境にも適合できる内容のISO文書の策定を行えるよう、国内の施策等の整備に本研究成果を提案していきたい。
ISO/IEC規格の直接活用のメリットとして、時間的、経済的資源の節約の道筋が明らかになった。また、日本の医療現場における医療機器使用環境の特殊性による問題も炙り出すことができた。この問題解決のために法的、制度的規制緩和を含めた対策が必要であり、これらの対応を行うことができれば、ISO/IEC規格を直接活用することは十分に実現可能と考えられた。また、ISO/IEC規格の認証基準への直接活用は、業界ごとに実情に合わせて対応を変える案と、統一の動きをとる場合は、JISができるまでの間はISO規格を直接活用できるようにする案との二つの選択肢があると考え、本研究班の提言としてまとめた。
ISO国際会議への出席を通して、各国の規制環境、医療環境が異なるなか、作成された一つの国際標準文書がそれらのすべての国で適切に使用されるためには、各国の規制環境の違いをいかに考慮して文書を作成するかが重要で、このことは、国内での国際規格のスムースな直接活用につながると考えられた。今後、ISO国際会議への出席者が、各国の規制環境を理解しつつも、より積極的に国内の規制環境、医療環境にも適合できる内容のISO文書の策定を行えるよう、国内の施策等の整備に本研究成果を提案していきたい。
結論
当該研究班から以下の提言を行った。
1.最新の国際規格等と整合性を図る観点から、現時点でISO/IEC規格の直接引用が可能な画像診断分野に限定して、認証基準とし、最新のISO/IEC規格をJISに加えて引用する運用の試行を開始すべき。
2.上記提言の試行において、直接引用における課題を抽出するとともに、それと並行して、ISO/IEC規格をより国内において導入しやすくするためにISO/IEC規格策定への積極的な参画などの施策を産官学で推進すべき。
1.最新の国際規格等と整合性を図る観点から、現時点でISO/IEC規格の直接引用が可能な画像診断分野に限定して、認証基準とし、最新のISO/IEC規格をJISに加えて引用する運用の試行を開始すべき。
2.上記提言の試行において、直接引用における課題を抽出するとともに、それと並行して、ISO/IEC規格をより国内において導入しやすくするためにISO/IEC規格策定への積極的な参画などの施策を産官学で推進すべき。
公開日・更新日
公開日
2013-06-11
更新日
-