国連ミレニアム開発目標の達成に関する研究

文献情報

文献番号
201203019A
報告書区分
総括
研究課題名
国連ミレニアム開発目標の達成に関する研究
課題番号
H24-地球規模-一般-010
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中村 安秀(国立大学法人大阪大学 大学院人間科学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 澤村 信英(国立大学法人大阪大学 大学院人間科学研究科)
  • 池上 清子(日本大学大学院総合社会情報研究科)
  • 横田 雅史(NPO法人HANDS)
  • 垣本 和宏(大阪府立大学大学院看護学研究科)
  • 小林 潤(長崎大学大学院国際健康開発研究科)
  • 高橋 謙造(横浜市立大学医学部 社会予防医学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,940,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
世界では、ミレニアム開発目標(MDGs)へのカウントダウンが始まっている。とくに、目標達成が困難なアフリカ・東南アジア地域においては、2015年は切実な節目の年である。本研究の目的は、「希望を担う次世代への約束」という理想的なコミットメントを、(1)現実の国際協力の世界的な動向の中での意義やエビデンスを分析し、(2)その理論的な枠組みを構築することにより、(3)政策提言として広く国際社会に発信することにある。また、日本政府としての発言要領を作成するうえでの根拠に基づいた基礎資料としての活用も期待できる。
 大阪大学大学院人間科学研究科人間開発学講座は、国際保健と国際教育協力を併せ持つ日本でも数少ない研究機関であり、教育と保健分野にまたがる共同研究を実施してきた。教育と母子保健の相互作用に関して、最近では「Global Human Capital」(Lutz 2011)として教育と人口問題の関連がサイエンス誌に発表され、ランセット誌は「国民皆保険達成から50年」の特集号を出版した。本研究は、日本の戦後の発展に大きく寄与したといわれる教育と保健医療分野における「社会的共通資本」(宇沢弘文・鴨下重彦 2010)の分析の枠組みを、国際協力の分野に援用しようという試みである。
研究方法
本研究において、本年度は以下の項目の研究調査を実施した。
①ドナー支援状況調査
②文献レビューやフィールド調査による政策分析
③アフリカ母子保健関係者に対するインタビュー調査
④DHS(Demographic Health Survey)の2次分析
⑤理論的枠組みの構築
なお、今回の研究調査においては「疫学研究に関する倫理指針」などに基づき、個人情報保護法を遵守しインフォームド・コンセントに細心の注意を払って調査研究を実施した。
結果と考察
 本年度は、母子保健分野の日本の国際協力支援の現状分析、教育分野の日本の国際協力支援の現状分析、国際機関・2国間ドナーの戦略の分析、包括的文献レビューによる政策分析、第8回母子手帳国際会議(ケニア)における質問紙調査をはじめ、個々の分担研究者による調査研究を遂行した。その結果をまとめ、2013年1月にMDGs研究班研究成果発表会(HANDS事務所)を実施し、今後の研究方針を議論した。
 ポストMDGsに関する国際社会の動向は極めて流動的である。また、20世紀のように、国際機関と先進諸国の合意形成で国際的な枠組みが決定される情勢ではない。BRICsと称された諸国の政治力が増し、オピニオン・リーダー的な種々の財団やNPOの発言力が大きくなり、合意形成に至るプロセスを暗中模索している状況である。
 2013年度は、母子保健・教育分野の理論的枠組みを構築し、ケニア、スーダン、カンボジア、ラオスなどにおけるフィールド調査を実施し、ポストMDGsに向けた提言をまとめた英文の研究班報告書を上梓したいと考えている。それらの結果に基づき、2014年には、MDGsシンポジウムを国内(大阪、長崎、横浜)で開催し、最終的に日本語の研究班報告書をまとめる予定である。
結論
 本研究においては、個々のプロジェクトの評価を実施するのではなく、アフリカ・東南アジア地域におけるMDGs支援という大きな枠組みの中での現状分析を行った。次年度以降は、「社会的共通資本」の理論を援用し、教育と保健医療分野の国際協力がもたらす意義を考察し、ポストMDGsとして、教育と保健医療を抱合した支援に関して運用可能な最終提言を行ないたい。

公開日・更新日

公開日
2013-06-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201203019Z