生活習慣病対策における国際貢献の推進に関する研究

文献情報

文献番号
201203014A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣病対策における国際貢献の推進に関する研究
課題番号
H24-地球規模-一般-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中村 桂子(東京医科歯科大学 大学院歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 非感染症(Non-communicable Disease: NCD)は世界の疾病負荷の60%をしめ、今後はさらに途上国におけるNCDによる疾病負荷の増大が予測され、予防対策と適切な疾病管理の体制構築が急務である。
 世界保健機関(WHO)によるNCD予防とコントロールに関するグローバル行動計画(2008)、国連ハイレベル会合決議(2011)において、リスクファクター、社会的健康決定要因について、政府のすべての部門による予防とコントロール(Health in All Policies:HiAL)に取組むべきことが指摘されている。
 この研究の目的は、わが国の生活習慣病対策の成果に基づき、効果的なNCD対策手法、健康日本21などの地域の目標設定手法による対策の推進とその評価、多部門と共同で取り組むHiALの政策立案と事業計画および進捗評価のデータベースを作成し、これらに基づき、国外の諸地域に適用可能な生活習慣病対策とその適用方法を明らかにすることである。
研究方法
(1)政府、自治体、企業、住民組織を対象とする国内における健康推進、NCD予防の実施状況と評価の方法に関する基礎調査を実施した。
(2)アジア太平洋地域の諸都市において住民の健康を重視する都市政策を展開しているAlliance for Healthy Citiesの都市の協力を得て、アジア太平洋地域の各国におけるNCD予防に関する地域住民の生活習慣の状況、NCD予防を目的とした事業の実施状況、NCD予防活動の評価に関する現状を調査した。
(3)NCD予防・コントロールにおける、多分野横断的な取組の事例を収集した。
(4)国連ハイレベル会合決議・WHOアクションプランをふまえ、NCD予防・コントロール マルチセクター行動計画ガイドラインに必要な要素を検討した。
結果と考察
 日本の都市単位で実施しているNCD予防・コントロールを目的とした地域調査の手法、地域の評価指標について分析を行った。NCDの有病状況、受療状況、健康診断受診状況、生活習慣の他、地域の健康推進活動への参加状況、民間サービスの活用状況、地域住民との相互支援と交流の状況、地域の交流活動への参加状況の情報収集に基づき、NCD予防活動を推進する地域資源開発を行っている。NCD予防に関する多部門間協力の事例として、安全な歩行通路の整備、自転車通行路の整備、全ての住民が同様にアクセス可能な公共交通の整備について分析した。多部門の人材に対する健康推進のプロセスに関する情報提供、多部門の参加による事業開発が、多部門間連携の強化に関与することが示唆された。
 韓国、中国、オーストラリア、マレーシア、フィリピン、ベトナム、カンボジア、モンゴルにおける各国、諸都市のNCD予防・コントロールを目的とした調査、計画、事業とその評価に関する事例分析を行った。韓国、台湾の都市の一部では、目標設定型のNCD予防の計画に着手していた。一方、基礎自治体単位の、ポピュレーションベースのNCDの罹患、有病状況、喫煙、食生活、運動習慣などの生活習慣に関する基礎データベースは整っておらず、アウトカムとプロセス評価においての指標設定に課題があった。都市単位でのNCD予防啓発事業の取組が開始されており、NCD予防は、都市住民の健康推進の優先課題のひとつに組み入れられている。
結論
 日本の都市単位のNCD予防・コントロールの地域調査、計画、評価の手法をふまえ、国や地域に適した地域調査と評価の方法について提案を行うために、NCD疾病状況と予防活動の状況を分析するための調査方法の開発、調査結果を活用する能力開発手法、多部門間連携を推進する事業計画例のデータベース、住民のNCD予防活動の動機付けとなる啓発事業の情報を共有するデータベースの活用について検討が必要である。

公開日・更新日

公開日
2013-06-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201203014Z