国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)における医療機器の各種国際規格の策定に関する研究

文献情報

文献番号
201203003A
報告書区分
総括
研究課題名
国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)における医療機器の各種国際規格の策定に関する研究
課題番号
H23-地球規模-指定-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
蓜島 由二(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
研究分担者(所属機関)
  • 松岡 厚子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 小野 哲章(滋慶医療大学院大学 医療管理学研究科 医療安全管理専攻)
  • 横井 英人(香川大学医学附属病院 医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
14,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、国際市場の拡大に伴い、医療機器に関する各国の法規制を整合化する動きが活発化している。GHTFではグローバルな整合作業が進められており、その他、ISOやIECでは医療機器の性能や試験法等、有効性と安全性に関する各種規格・基準の国際整合化が行われている。一方、我が国の医療機器には品質や性能等の優れた製品が多く存在するが、これらの製品の規格をISO/IEC等に積極的に導入し、日本発の良質な医療機器(ソフトウエアを含む)を障壁なく国際的に進出させる環境を整備することが、我が国の患者の利益、医療機器産業振興、国家戦略として重要な課題となっている。そこで本研究では、医療機器関係業界と連携を図りつつ、国際的に提案できる基準の選別や原案策定過程への提案を含めて、国家的にサポートする体制の構築について検討し、国際標準化に関する戦略的な考え方や提案可能な具体的な基準等について取りまとめ、政策的な提言を行うことを目指して関連する調査・研究を実施した。
研究方法
平成24年度は前年度に引き続き、(1)発信すべき医療機器・技術・手法の新規提案、(2)現行のISO/IEC規格改良のためのデータ収集と次期改正への提案について検討するため、国際標準化に関する実例として、歯科分野、医療情報分野及び試験法分野に関する4つのケーススタディを行った。また、これらのケーススタディを通して得られた知見と前年度に実施した各種調査研究の成果等を反映させた「医療機器規格・基準の国際標準化戦略に係る政策的提言」を作成するため、関連領域の専門家及びISO/IEC国内審議団体推薦委員を招聘し、産官学連携のもとに協議した。
結果と考察
国際基準であるISO/IEC基準に原案を提案するには、いくつかの道があるが、本研究では当初の計画に基づき、 (1)発信すべき医療機器・技術・手法の新規提案、(2)現行のISO/IEC規格改良のためのデータ収集と次期改正への提案について検討した。 
(1)については、「歯科用CAD/CAMマシンで作製する修復物の精度に関する新しい評価方法」及びそれに次ぐ新たな規格「Accuracy of machined indirect restorations- Test methods and marking」を国際標準化するケーススタディのほか、「医療波形情報のISO化活動に関する支援」としてMFERを用いて再構築した18誘導心電図を用いた後壁梗塞の診断能及び「溶血性試験用陽性対照材料の開発と性能評価」に関するケーススタディを実施した。(2)については、ISO/TC194/WG9が担当する医用材料の血液適合性評価のための試験法であるISO 10993-4の改訂作業に伴う溶血性試験/ラウンドロビンテストの支援を行った。
 また、医療機器関係業界との連携のもと、2年間に渡って収集した知見に基づき、国際的に提案できる基準の選別や原案策定過程への提案を含めて、国家的にサポートする体制の構築、国際標準化に関する戦略的な考え方や提案可能な具体的な基準等について取りまとめた「医療機器規格・基準の国際標準化戦略に係る政策的提言」を作成した。
 2年間に渡る調査・研究を通して、我が国の医療機器・技術・手法(ソフトウエアも含む)に関する国際規格化の取り組みは、先進各国と比較して立ち遅れている状況であることが明らかとなった。このような調査の重要性を認識すると同時に、幾つかのケーススタディを実際に実施し、クリアすべき問題点を個々に明らかにして行く努力が必要であることも見出すことができ、本研究の重要性を再認識した。
 本研究の最終目標である「医療機器規格・基準の国際標準化戦略に係る政策的提言」を産官学連携のもとに事業期間内に作成することができたことは大きな成果と言える。本提言は国のみではなく、医療機器開発に携わる全ての機関・組織・企業等に向けられたものであり、医療機器分野の国際標準化活動の更なる推進を目指し、今後、実施可能な項目から順次実行して行くことが重要である。
結論
国際標準化を成功させるための要因を調査するため、4つのケーススタディを実施した。また、医療機器関係業界との連携のもと、2年間に渡って収集した知見に基づき、国際的に提案できる基準の選別や原案策定過程への提案を含めて、国家的にサポートする体制の構築、国際標準化に関する戦略的な考え方や提案可能な具体的な基準等について取りまとめた「医療機器規格・基準の国際標準化戦略に係る政策的提言」を作成した。

公開日・更新日

公開日
2014-04-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
-

文献情報

文献番号
201203003B
報告書区分
総合
研究課題名
国際標準化機構(ISO)及び国際電気標準会議(IEC)における医療機器の各種国際規格の策定に関する研究
課題番号
H23-地球規模-指定-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
蓜島 由二(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
研究分担者(所属機関)
  • 松岡 厚子(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
  • 小野 哲章(滋慶医療大学院大学 医療管理学研究科 医療安全管理専攻)
  • 横井 英人(香川大学医学部附属病院 医療情報部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、国際市場の拡大に伴い、医療機器に関する各国の法規制を整合化する動きが活発化している。GHTFではグローバルな整合作業が進められており、その他、ISOやIECでは医療機器の性能や試験法等、有効性と安全性に関する各種規格・基準の国際整合化が行われている。一方、我が国の医療機器には品質や性能等の優れた製品が多く存在するが、これらの製品の規格をISO/IEC等に積極的に導入し、日本発の良質な医療機器(ソフトウエアを含む)を障壁なく国際的に進出させる環境を整備することが、我が国の患者の利益、医療機器産業振興、国家戦略として重要な課題となっている。そこで本研究では、医療機器関係業界と連携を図りつつ、国際的に提案できる基準の選別や原案策定過程への提案を含めて、国家的にサポートする体制の構築について検討し、国際標準化に関する戦略的な考え方や提案可能な具体的な基準等について取りまとめ、政策的な提言を行うことを目指して関連する調査・研究を実施した。
研究方法
国際的に提案できる日本工業規格(JIS)及びその他の基準等を検索するため、業界団体にヒヤリングを行ったと共に、ISO/IEC国内審議団体の活動状況や成果等のほか、国際整合を行う上で重要となる事項・要望等をアンケート形式により調査した。また、発信すべき医療機器・技術・手法の新規提案及び現行のISO/IEC規格改良のためのデータ収集と次期改正への提案について検討するため、国際標準化に関する実例として、歯科分野、医療情報分野及び試験法分野に関する4つのケーススタディを立ち上げた。
結果と考察
国際基準であるISO/IEC基準に原案を提案するには、いくつかの道があるが、本研究では当初の計画に基づき、(1)国際的に提案できるJIS及びその他の基準等の検索、(2)発信すべき医療機器・技術・手法の新規提案、(3)現行のISO/IEC規格改良のためのデータ収集と次期改正への提案について検討した。 
(1)については、関連団体へのヒヤリング調査及びISO/IEC国内審議団体へのアンケート調査を行い、国際規格化の現状と成功例・失敗例の分析を行った。(2)については、「歯科用CAD/CAMマシンで作製する修復物の精度に関する新しい評価方法」及びそれに次ぐ新たな規格「Accuracy of machined indirect restorations – Test methods and marking」を国際標準化するケーススタディのほか、「医療波形情報のISO化活動に関する支援」としてMFERを用いて再構築した18誘導心電図を用いた後壁梗塞の診断能及び「溶血性試験用陽性対照材料の開発と性能評価」に関するケーススタディを実施した。(3)については、ISO/TC194/WG9が担当する医用材料の血液適合性評価のための試験法であるISO 10993-4の改訂作業に伴う溶血性試験/ラウンドロビンテストの支援を行った。
 また、医療機器関係業界との連携のもと、2年間に渡って収集した知見に基づき、国際的に提案できる基準の選別や原案策定過程への提案を含めて、国家的にサポートする体制の構築、国際標準化に関する戦略的な考え方や提案可能な具体的な基準等について取りまとめた「医療機器規格・基準の国際標準化戦略に係る政策的提言」を作成した。
 2年間に渡る調査・研究を通して、我が国の医療機器・技術・手法(ソフトウエアも含む)に関する国際規格化の取り組みは、先進各国と比較して立ち遅れている状況であることが明らかとなった。このような調査の重要性を認識すると同時に、幾つかのケーススタディを実際に実施し、クリアすべき問題点を個々に明らかにして行く努力が必要であることも見出すことができ、本研究の重要性を再認識した。
 本研究の最終目標である「医療機器規格・基準の国際標準化戦略に係る政策的提言」を産官学連携のもとに事業期間内に作成することができたことは大きな成果と言える。本提言は国のみではなく、医療機器開発に携わる全ての機関・組織・企業等に向けられたものであり、医療機器分野の国際標準化活動の更なる推進を目指し、今後、実施可能な項目から順次実行して行くことが重要である。
結論
国際標準化を成功させるための要因を調査するため、4つのケーススタディを実施した。また、医療機器関係業界との連携のもと、2年間に渡って収集した知見に基づき、国際的に提案できる基準の選別や原案策定過程への提案を含めて、国家的にサポートする体制の構築、国際標準化に関する戦略的な考え方や提案可能な具体的な基準等について取りまとめた「医療機器規格・基準の国際標準化戦略に係る政策的提言」を作成した。

公開日・更新日

公開日
2014-04-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-28
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201203003C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究は、平成24,25年度厚生労働省科学研究費/地球規模保健課題推進研究事業「医療機器規格の国際標準化を支援する体制構築に関する研究」を経て、平成27年度から3年計画でスタートした日本医療研究開発機構研究費/医薬品等規制調和・評価研究事業「医療機器規格の国際標準化を加速する環境整備に関する研究」へ発展した。国際標準化支援戦略窓口、新規規格の提案と検証データの収集、企業向け啓発活動を継続して実施しているほか、アジア諸国との連携体制の構築に関する作業を開始した。
臨床的観点からの成果
国際標準化を推進することにより、優れた製品をいち早く患者のもとに届けることが可能となる。ジルコニアセラミッククラウンの精度評価法に係る規格は我が国の歯科治療の向上に直結する。RNAアプタマーは新規機能性医用材料として、再生医療分野等に応用できる可能性が示唆された。また、我々が開発したGenapol X-080含有PVCペレットを陽性対照材料として利用することにより、医療機器の溶血性及び刺激性試験結果の精度を向上させることが可能となった。
ガイドライン等の開発
日本がISO/TC106/SC9に提案した新規規格ISO/CD 18845-2はTRとして発行された。今後、ラウンドロビン(RR)テストを経てIS化する予定である。また、ISO 10993-4の改訂作業及びISO/TC194/WG8が実施した刺激性試験動物代替法/国際RRテストも完了した。その他、標準材料の追加等、医療機器の生物学的安全性試験法ガイダンスの改訂準備を進めている。
その他行政的観点からの成果
従来、再生医療等製品及び医療機器ソフトウェア分野に関する国際規格の動向の全体像を把握するためには、各TCが所管する情報を個別に入手する必要があったが、本研究において設立した国際標準化戦略窓口に関連情報を集約し、医療機器部HP上で一般向けに公開したことにより、アカデミアや関連企業等が情報検索に要する時間を大幅に短縮することが可能となった。また、2017年度ISO/TC150総会と平行して、アジア諸国の連携強化を目指したワークショップを開催することが決定された。
その他のインパクト
Genapol X-080含有PVCペレットを溶血性及び刺激性試験用陽性対照材料として国内外へ領布する体制を整備した。その他、日本における国際標準化活動を活性化させるためには、現在に至るまでデファクト標準に頼ってきた多くの企業経営陣に企業戦略としての国際標準化の重要性を周知する必要があるため、講演会の開催等を通じて今後も引き続き啓発活動を行っていく。

発表件数

原著論文(和文)
1件
原著論文(英文等)
4件
JVAT、JBMR Part B 等
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
43件
日本バイオマテリアル学会大会、日本再生医療学会総会、日本薬学会、RNAミーティング、日本歯科理工学会、日本技工士学会、日本矯正歯科学会 等
学会発表(国際学会等)
29件
WBC、ToxExpo、ASIATOX、EUROTOX、Termis-AP 2013、ISO/TC194及びTC106国際会議
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
1件
PMDAにおけるISO/IEC国際会議担当者2名分の予算計上
その他成果(普及・啓発活動)
11件
講演会、研修会、特別講演、第53回日本生体医医工学会オーガナイズドセッション企画、アンケート調査

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
中岡竜介
ISO/TC 150/SC 7の現状と課題
セラミックス , 48 (10) , 819-823  (2013)
原著論文2
中岡竜介
医療用ポリマーの生体適合性評価
「体内埋め込み医療材料の開発とその理想的な性能・デザインの要件」、技術情報協会 , 254-258  (2013)
原著論文3
Kameda T., et al.
Magnetic fields from electric toothbrushes promote corrosion in orthodontic stainless steel appliances but not in titanium appliances.
Dent. Mater. J. , 959-969  (2013)
原著論文4
Kameda T., et al.
Electric current induced in teeth by electromagnetic fields from electric toothbrushes and curing lights.
Orthod Waves , 77-85  (2013)
原著論文5
Kameda T., et al.
Modification of metallic materials for a white appearance without coating and plating.
Orthod Waves , 87-98  (2013)
原著論文6
Koide M., et al.
A new method for fabricating zirconia copings using a Nd:YVO4.
Dent. Mater. J. , 422-429  (2014)
原著論文7
Kameda T., Ohkuma K.
Electromagnetic fields from dental devices and their effects on human health.
J. Electr. Electron Syst. , 118-  (2014)
原著論文8
蓜島由二
第1部:医療機器市場の拡大と新規製品の開発:開発,上市化,市場確保において留意すべきポイント
生体適合性制御と要求特性掌握から実践する高分子バイオマテリアルの設計・開発戦略(監修:田中 賢).サイエンス&テクノロジー , 3-21  (2014)
原著論文9
Haishima Y., et al.
Screening study on hemolysis suppression effect of an alternative plasticizer for the development of a novel blood container made of polyvinyl chloride.
J. BioMed. Mater. Res. Part B , 102 , 721-728  (2014)
原著論文10
Haishima Y., et al.
Development and performance evaluation of a positive reference material for hemolysis testing.
J. BioMed. Mater. Res. Part B , 102 , 1809-1816  (2014)
原著論文11
中岡竜介,蓜島由二,新見伸吾
医療機器・材料の国際標準化動向
バイオマテリアル-生体材料 , 33 (1) , 56-63  (2015)
原著論文12
中岡竜介
生体吸収性材料を用いた医療機器の安全性評価:薬事承認審査時における留意点
「進化するバイオベースマテリアル」、シーエムシー出版 , 264-272  (2015)
原著論文13
Haishima Y., et al.
Characterization of alternative plasticizers in polyvinyl chloride sheets for blood containers.
J. Vinyl Add. Technol. , 22 , 520-528  (2016)
原著論文14
Nomura Y., et al.
Conjugating two RNA aptamers improves binding affinity for AML1 Runt domain Conjugating two RNA aptamers improves binding affinity for AML1 Runt domain.
J. Biochem. , in press
原著論文15
Morishita Y., et al.
Alternative plasticizer, 4-cyclohexene-1,2-dicarboxylic acid dinonyl ester, for blood containers with protective effects on red blood cells and improved cold resistance.
J. BioMed. Mater. Res. Part B , in press

公開日・更新日

公開日
2014-04-21
更新日
2017-06-05

収支報告書

文献番号
201203003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
14,000,000円
(2)補助金確定額
14,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,142,227円
人件費・謝金 1,450,276円
旅費 2,445,649円
その他 962,530円
間接経費 0円
合計 14,000,682円

備考

備考
補助金確定顎を越える682円は自己負担。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-