OECD準拠のSystem of Health Account2011(SHA2.0)に準じた推計方法の開発と推計

文献情報

文献番号
201202007A
報告書区分
総括
研究課題名
OECD準拠のSystem of Health Account2011(SHA2.0)に準じた推計方法の開発と推計
課題番号
H24-統計-指定-005
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
満武 巨裕(一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構)
研究分担者(所属機関)
  • 田中 滋(慶應義塾大学大学院 経営管理研究科)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院 研究情報支援研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 SHA(System of Health Account)は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の国民保険計算(National Health Accounts)を推計する際のガイドラインである。(SHAは2000年に公表され、以下SHA1.0とする。)国民保健計算には、傷病の治療に要する医療費に加えて、長期ケア(介護保険)、健康増進・疾病予防、一般薬(OTC)、保険制度の運営等も含めた保健医療に関する支出が含まれる。OECD加盟国は2001年から、このSHA1.0に沿った推計結果を保健医療支出としてOECD事務局に提出している。2006年から、SHA1.0の改定作業が始まり、2011年10月に改訂作業は終了し、SHA2011という名称で公表された。
 本研究の目的は、第一は、SHA1.0とSHA2011に準拠した推計を行い、両者の比較を行う。第二は、日本と諸外国のSHAデータの対象範囲、算定方法を比較し、日本の推計値の精度向上を目指す。第三は、OECD加盟国主体で行われている性別・年齢階層別の疾病別医療費の推計を行う。
研究方法
 SHA2011に準拠した推計に関しては、SHA1.0の推計方法をベースに開発を行った。初年度の対象期間は、2008年度から2010年度とする。第二の日本と諸外国のSHAデータの対象範囲、算定方法を比較については、諸外国のSHA担当者およびOECD事務局の協力を得て調査し、比較検討をおこなう。第三の性別・年齢階層別の疾病別医療費の推計は、OECD事務局と協議して日本で推計可能な精度での方法論を検討した。
結果と考察
 SHA2011準拠の経常保健医療支出を推計したところ、2010年度では51兆8107億円(対GDP比では10.7%)となった。一方、SHA1.0準拠の経常保健医療支出は、2010年度では45兆8165億円(対GDP比では9.5%)である。このように、SHA2011準拠によることで、保健利用支出は増加する。
 第二に、日本と諸外国の推計方法の比較から明らかになったことは、保険適用外費用推計のデータソースとして家計調査を利用していることであった。今度、家計調査等を利用することで、データソースの問題から過小推計が指摘されていた日本の保険適用外医療費の推計精度の向上の可能性がある。
 性別・年齢階層別の疾病別医療費に関してはOECD事務局との検討を行い。年齢階級は5歳階級とした。疾病分類は、日本のレセプト病名(119分類とICD10)と3分類の対応表を作成した。また、作成する標準的な疾病別医療費テーブルの検討(入院・外来別)も行った。性別・年齢階層別の疾病別医療費は、国民医療費でも2009年度から公表されているものの、年齢および疾病区分が粗い(年齢階級の区分が4、疾病分類が19である)。SHA2011でも、新しい枠組みである疾病別医療費の推計を推進しているために、OECD推奨に準じた推計を行うことを目指す。
結論
 SHA2011に準じた推計値は51兆8107億であり、対GDP比率ではSHA1.0より1.2ポイント上昇した。諸外国の比較から、家計調査等を利用することで、データソースの問題から過小推計が指摘されていた日本の保険適用外医療費の推計精度の向上の可能性がある。性別・年齢階層別の疾病別医療費の推計は、OECD事務局と協議して日本で推計可能な精度での方法論を検討した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-27
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201202007Z