文献情報
文献番号
201202006A
報告書区分
総括
研究課題名
ICD11オミックスサブ情報モデル(iCOs)の妥当性に関する実証研究
課題番号
H24-統計-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
中谷 純(国立大学法人東北大学 東北メディカル・メガバンク機構医療情報ICT部門)
研究分担者(所属機関)
- 田中 博(国立大学法人東京医科歯科大学 難治疾患研究所生命情報学)
- 今井 健(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科疾患生命工学センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
ICD11改訂に資するため、平成22年度厚生労働科学研究費補助金(統計情報総合研究事業)「ICD11におけるオミックス情報モデルの研究」の成果であるICD11臨床オミックス情報モデル(ICD11 Omics Subinformation model: iCOS)の妥当性に関する多角的実証研究を行う。平成24年度は、NCKの実オントロジーデータ、網羅的疾患分子病態データベース(iCOD)の実総合オミックスデータを用いて、ユースケースを設定した上で、網羅的概形実証検討を行い、iCOSの構成要素の妥当性、オミックス医学内の用語間の関連性、情報粒度設定の妥当性などを明らかにする。
研究方法
1)ユースケースの設定。WHOで設定しているMortality, Morbidityなどの既存ユースケースの他に、いくつかの臨床オミックス分野特有のユースケースを、GSVMLのユースケース解析などを参考にして設定する。2)オミックス医学における用語間の関連性についての意味的妥当性の検討。想定したユースケースにおいて、平成22年度厚生労働科学研究費補助金(統計情報総合研究事業)「ICD11におけるオミックス情報モデルの研究」の成果であるICD11コンテンツモデルに組み込むことのできる臨床オミックス情報モデル(iCOS)で新たに定義されたオミックス医学分類に、具体的な疾患分類、オミックス分類を当てはめた場合の意味的妥当性を検証する。3)東京医科歯科大学の網羅的疾患分子病態データベース(iCOD)の具体的実データを用いた妥当性の網羅的検討。ユースケースを元に、東京医科歯科大学の網羅的疾患分子病態データベース(iCOD)で実際に利用されている現実の臨床実データを使って、臨床オミックス情報モデル(iCOS)の現実的な観点での妥当性検証を行う。
結果と考察
本年度は、ICD11臨床オミックス情報サブモデル(ICD11 Omics Sub information model: iCOs) の実用性を多角的に検証するため、実際の臨床オミックスデータベース(東京医科歯科大学網羅的疾患分子病態データベース iCOD)や、GO, SNOMED-CTなどの他の実オントロジーデータを用いて、iCOsモデルによる記述可能性並びに、モデルの修正点について調査を行った。結果、iCOsモデルの基本的な考え方に大きな変更を加えることなく、所見に関する詳細項目の追加、診療録の時系列記述モジュール、Transcriptionに関する記述モジュールを追加することで、臨床オミックス実データの記述が行えることが確認された。
結論
iCOSの開発とその妥当性の検討は、オミックス医学をICD疾病分類に組み込むための要に位置づけられる研究であり、医学研究、臨床医療を含めた医学全体の発展に貢献することができる。現実的な利用観点での実証を行った臨床オミックス情報モデルの提示は、網羅的オミックス情報の医学研究応用をデータ交換の効率性を向上という観点から加速することができる。また、ISO標準であるGSVMLと親和性を持つiCOSが、現実的な観点で利用できることを実証することは、国際的なISO標準を担保した形での効率化が可能であることを実証することであり、世界中の医学、医療におけるさまざまな局面での効率の安定的向上を促す。このことは、コスト低減、時間短縮、効率向上などの観点から、将来にわたって大域的に日本国民の保健・医療・福祉の向上の一助となることができる。また、事実上の国際標準であるICD11において日本が主導的に開発検討提案しているiCOSを、臨床オミックス実データを用いて実証することは、今後大きく発展を遂げると思われるオミックス医学の発展に日本が大きく寄与し国際的にも主導的な役割を果たすことを決定づけることができる。本研究は、電子化転換の節目となるICD11において、オミックス医療という将来医療を決定づける研究であり、日本が世界に貢献する歴史的な成果となることが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2013-06-24
更新日
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