文献情報
文献番号
201202005A
報告書区分
総括
研究課題名
厚生労働統計データの利用促進等に関する研究
課題番号
H24-統計-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
祖父江 友孝(大阪大学大学院医学系研究科 社会環境医学講座環境医学)
研究分担者(所属機関)
- 岡山 明(財団法人結核予防会第一健康相談所)
- 中村 好一(自治医科大学)
- 橋本 修二(藤田保健衛生大学医学部衛生学講座)
- 山縣 然太朗(山梨大学大学院・社会医学講座)
- 大橋 靖雄(東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻生物統計学分野)
- 片野田 耕太(国立がん研究センターがん対策情報センターがん統計研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
1,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国では、新統計法の下制度的な整備が行われたが、必ずしも公的統計のデータ活用が進んでいるとは言えない。本研究では、二次的利用の申請に基づくデータ解析によって、公的統計の行政活用および発展的な活用の方法を探索し、その運用上、技術上の問題点と解決策を提示することを目的とした。
研究方法
公的統計の利用形式として、下記の4つを対象とした。①公表された集計データの利用、②統計法33条に基づく個票データの利用、③オーダーメード集計の利用、④匿名データの提供の利用、を対象とした。公的統計の疫学研究への利用事例を基礎資料とした。利用事例として、過去(①と②)と最近(①~④)のものを参照した。
JALS (Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study)統合研究を用いて、対象者計86870名から追跡中に観察された死亡例5114名について人口動態統計死亡票の磁気情報と照合し、照合結果の一致度がキー変数の数や部分使用によってどのように変化するかを検討した。
医療施設調査(静態)医療施設調査(静態)は、保健統計調査の基幹統計および一般統計として、3年毎に実施されている。本研究では、疾病対策の評価への利用可能性を検討することを目的として、平成20年医療施設調査(静態)を用いて、がんに関わる医療施設に関する解析を行った。対象8,814施設のうち、一般病床のある6,133施設を解析対象とした。
人口動態調査データ(出生票)と21世紀出生児縦断調査データを連結し、集計・解析を行った。人口動態調査-第1回縦断調査-第2回…-第10回縦断調査という形で連結した、1つのデータセットを作成することにより、都道府県別の集計結果表および児の発育に関する図を作成した。
平成20年の患者調査(患者の特性(性、年齢、受療の状況、診療費等支払方法など))、医療施設調査(医療施設の特性(健診・保健指導の状況、禁煙外来の状況など))、受療行動調査(患者の行動レベルの状況(待ち時間、診察時間、満足度など))の調査項目を網羅的に吟味し、糖尿病対策に有用と思われる評価指標の候補を選定した。
JALS (Japan Arteriosclerosis Longitudinal Study)統合研究を用いて、対象者計86870名から追跡中に観察された死亡例5114名について人口動態統計死亡票の磁気情報と照合し、照合結果の一致度がキー変数の数や部分使用によってどのように変化するかを検討した。
医療施設調査(静態)医療施設調査(静態)は、保健統計調査の基幹統計および一般統計として、3年毎に実施されている。本研究では、疾病対策の評価への利用可能性を検討することを目的として、平成20年医療施設調査(静態)を用いて、がんに関わる医療施設に関する解析を行った。対象8,814施設のうち、一般病床のある6,133施設を解析対象とした。
人口動態調査データ(出生票)と21世紀出生児縦断調査データを連結し、集計・解析を行った。人口動態調査-第1回縦断調査-第2回…-第10回縦断調査という形で連結した、1つのデータセットを作成することにより、都道府県別の集計結果表および児の発育に関する図を作成した。
平成20年の患者調査(患者の特性(性、年齢、受療の状況、診療費等支払方法など))、医療施設調査(医療施設の特性(健診・保健指導の状況、禁煙外来の状況など))、受療行動調査(患者の行動レベルの状況(待ち時間、診察時間、満足度など))の調査項目を網羅的に吟味し、糖尿病対策に有用と思われる評価指標の候補を選定した。
結果と考察
統計の二次的利用の手続等には大きな課題がない。しかし、オーダーメード集計の利用には、いくつかの課題がある(利用事例:平成20年患者調査、2012年10月)。対象統計としては、受療行動調査の追加等である。集計方法としては、人口動態統計の死因分類の細分化等である。匿名データの提供の利用には、いくつかの課題がある(利用事例:平成16年国民生活基礎調査、2011年12月)。対象統計としては、国民健康・栄養調査や新しい年次分の追加等である。情報内容としては、匿名化に伴う情報減少の緩和等である。
JALS事務局で行った死因の同定手順によると、結合キーを限定した場合の重複割合は実際の一致事例に対する不一致者の割合はそれぞれ0.26%、0.16%と限定的であった。以上からキー項目の扱いに熟知すれば、比較的短時間に照合処理が可能であることが明らかになった。
医療施設調査(静態)において、がん診療連携拠点病院とそれ以外の病院とで、受動喫煙防止、ニコチン依存症管理料算定、遠隔医療、高精度放射線治療、緩和ケアなどの状況を比較した結果、がん診療連携拠点病院ではそれ以外の病院より、これらの医療体制が整備されている傾向があった。また、がん診療連携拠点病院の中でも、都道府県がん診療連携拠点病院においてより医療体制が整備されている傾向があった。
人口動態調査(出生票)と21世紀出生児縦断調査については、厚労省の担当者と、メールで連絡を取りあい、申請を進めている(2月6日現在)。 今年度中にデータを入手し、上記の解析を終える予定である。
選定された指標候補の実用性を検討するために、統計法(平成 19 年法律第53 号)第33 条の規定に基づき、患者調査、医療施設調査、受療行動調査の二次的利用の申請を行った(平成25年1月7日)。データが入手でき次第、速やかに二次的利用の申請に基づく実際のデータ解析に着手する(平成25年1月22日現在)。
JALS事務局で行った死因の同定手順によると、結合キーを限定した場合の重複割合は実際の一致事例に対する不一致者の割合はそれぞれ0.26%、0.16%と限定的であった。以上からキー項目の扱いに熟知すれば、比較的短時間に照合処理が可能であることが明らかになった。
医療施設調査(静態)において、がん診療連携拠点病院とそれ以外の病院とで、受動喫煙防止、ニコチン依存症管理料算定、遠隔医療、高精度放射線治療、緩和ケアなどの状況を比較した結果、がん診療連携拠点病院ではそれ以外の病院より、これらの医療体制が整備されている傾向があった。また、がん診療連携拠点病院の中でも、都道府県がん診療連携拠点病院においてより医療体制が整備されている傾向があった。
人口動態調査(出生票)と21世紀出生児縦断調査については、厚労省の担当者と、メールで連絡を取りあい、申請を進めている(2月6日現在)。 今年度中にデータを入手し、上記の解析を終える予定である。
選定された指標候補の実用性を検討するために、統計法(平成 19 年法律第53 号)第33 条の規定に基づき、患者調査、医療施設調査、受療行動調査の二次的利用の申請を行った(平成25年1月7日)。データが入手でき次第、速やかに二次的利用の申請に基づく実際のデータ解析に着手する(平成25年1月22日現在)。
結論
疫学研究における公的統計の利用目的・方法として、記述的疫学的と分析疫学的なものに整理された。公的統計の二次的利用の手続等には大きな課題がなかった。利用上の課題として、オーダーメード集計では対象統計と集計方法が、匿名データの提供では対象統計と情報内容が挙げられた。NDI制度は研究者、行政共にメリットの大きい制度であり疫学研究推進のためには是非実現すべき制度と考えられた。今後、実際のデータ解析により選定した指標の妥当性を検討し、がん対策、母子保健対策、糖尿病対策に関する公的統計の活用方法や、集計に伴う技術上の課題等を検討する。
公開日・更新日
公開日
2013-06-24
更新日
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