文献情報
文献番号
201202002A
報告書区分
総括
研究課題名
患者調査、医療施設等から得られる地域の患者動態や医療機能に関する情報を地域保険医療計画の策定と評価へ活用する手法に関する研究
課題番号
H23-統計-一般-004
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
伏見 清秀(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科医療政策情報学分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
人口構造の高齢化による疾病構造の変化、国民の医療の質と安全に関する関心の高まり、医師不足、救急体制の不備、医療機関の閉鎖など多くの課題がある。これらに対応するために限られた医療資源を適切に配備して、必要な医療を提供する体制を整備することが行政に求められ、特に次期第6次の地域保健医療計画においては、実効性、具体性のある計画の立案と評価を行うこととなっている。従来から地域医療の評価には患者調査、医療施設調査等のデータの分析が重要な役割を果たしてきた。しかし、地域の医療ニーズとその変化や個別の医療機関の医療機能を詳細に把握して、種々の制約の下より良い医療を提供できる体制を立案する上で、これらの既存統計情報が十分活用されていたとはいえない。これに対して研究申請者らは、患者調査等の情報を用いる既存研究において、詳細な患者動態と医療ニーズ、個々の医療機関の特性と機能分化の実態、さらには地域医療資源の必要量の推計等を行う手法を明らかとしてきた。
本研究では、既存の研究成果を活かして、各地方自治体が患者調査等統計情報を地域保健医療計画の設計や評価に利活用する実効性のある分析システムを開発し、医療計画への具体的な応用手法を明らかとすることを目的とした。
本研究では、既存の研究成果を活かして、各地方自治体が患者調査等統計情報を地域保健医療計画の設計や評価に利活用する実効性のある分析システムを開発し、医療計画への具体的な応用手法を明らかとすることを目的とした。
研究方法
本研究は2年計画し、初年度は、医療計画立案に資する患者調査等に基づく地域医療の実態把握の分析視点をあきらかとし、行政担当者が利用できる分析ツールに必要とされる機能を定めた。ついで、模擬データ等を用いてプログラムの開発を行うとともに、各都道府県等の行政担当者と意見交換して機能の追加と整備を進めた。さらに、各都道府県等が取得した統計情報個票データを使って、実際の分析作業を共同で実施し、分析手法の充実と具体的な医療計画への反映方法を検討した。第2年度は、医療計画の見直しに関する都道府県担当者向けブロック別研修会(東京、仙台、大阪、福岡、広島、名古屋の計6回)において、分析ツールを利用した地域医療分析を行い地域医療計画策定の資料を作成した。さらに、人口構造推計と年齢階級別患者受療率を用いた疾病構造推計プログロムを作成し、都道府県担当者向けセミナー(東京、福岡の2回開催)にて、地域患者構造推計に基づく医療計画の再評価手法の検討を行った。あわせて、地域医療分析に資する効率的な患者調査等のあり方を検討し、DPC調査データ等の活用により調査内容の充実が見込めるが、一方、調査の悉皆性等患者調査本来の機能を維持していくための調査構造の検討が必要なことなどが考えられた。
結果と考察
本研究により、地方自治体が既存統計情報等を利用して、地域医療の実態を客観的、定量的に把握し、それらを地域保健医療計画の策定に活用する手法が明らかとなることが期待される。このような手法による科学的客観的な根拠に基づく医療計画の策定と適切な医療提供体制の整備は、限りある医療資源の有効活用とより効率的で質の高い医療の国民への提供につながることが期待される。
結論
医療施設調査、患者調査のデータを分析するプログラムを開発し、地域保健医療計画策定と評価に向けて、地域医療の評価指標の作成、二次医療圏の実態分析と圏域の再評価、個別医療機関の医療機能の分析と機能集約の評価などの活用できることを示した。
公開日・更新日
公開日
2013-06-24
更新日
-