政策科学推進研究事業の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
199800031A
報告書区分
総括
研究課題名
政策科学推進研究事業の在り方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
阿藤 誠(国立社会保障・人口問題研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 増田雅暢(国立社会保障・人口問題研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、政策科学推進研究事業について、①厚生科学研究費補助金における位置づけを明確にし、②政策科学推進研究事業の中心である社会保障及び人口問題について今後重要と考えられる研究課題の例を整理し、③研究評価の在り方等について考察することにより、今後の政策科学推進研究に係る研究政策の策定に資する基礎資料を提供することを目的とする。
研究方法
本研究では、まず、厚生科学研究費補助金の体系における政策科学推進研究事業の位置づけについて、研究対象となる分野及び行政需要との関わりという観点から考察した。次に、この研究事業が主な対象としている社会保障及び人口に関する諸問題について、少子・高齢化、経済基調の変化等の社会経済の変化に伴う政策課題を踏まえ、今後の研究課題の例を示した。最後に、研究評価の在り方について、事前評価段階のヒアリングや普及啓発への取組等の観点から考察した。
結果と考察
政策科学推進研究事業は、今後厚生行政の中で重要性が増す、少子・高齢社会における社会保障に係る諸問題や少子化対策等を始めとした人口に係る諸問題等の社会科学研究に対応できる貴重な研究事業である。また、厚生科学研究費補助金の枠組みの中でみれば「行政政策研究分野」に属しており、これは、行政需要への対応を中心とした研究と位置づけられている。従って、この研究事業で行われる研究は、学問的レベルの高さは勿論、行政課題との関係の深さや、行政的観点からの緊急度の高さについて十分説得的である必要がある。
研究課題については、少子・高齢化の進行や経済基調の変化等の社会経済の変化等を踏まえると、社会保障分野については、社会保障制度と社会経済システムの関係、給付と負担のバランス、財源の在り方、経済効果等が挙げられる。また、人口分野については、人口、家族の将来見通し、人口動態の動向分析等が研究課題の例として挙げられる。さらに、こうした研究課題を考える場合には、政策過程との関係にも注意する必要がある。
研究評価については、現在書面によるものが中心となっているが、必要に応じてヒアリングを行うこともできることとなっており、こうした仕組みを活用することにより、研究計画書段階での問題意識や研究手法の明確化、期待される結果とその政策的含意への意識を高めることが、ひいては、研究事業全体のボトムアップにつながるものと考えられる。また、平成11年度から予定されている、研究成果を活用しての、普及啓発事業も、専門家及び一般国民向けに研究成果を広く周知するだけでなく、研究成果に関する活発な議論を通じて、研究事業の活性化に資するものと期待される。いずれにしても、研究計画や成果に関する評価の結果が研究者個人及び研究者集団にフィードバックされることが重要である。
結論
本研究では、①厚生科学研究費補助金における政策科学推進研究事業の位置づけを明確にし、②政策科学推進研究事業の中心である社会保障及び人口問題について今後重要と考えられる研究課題の例を整理し、③研究評価の在り方等について考察した。
①については、厚生科学研究費補助金のなかで社会保障や人口に係る諸問題について、行政的需要に対応した研究を行う事業であることを指摘し、②については現在の政策課題を踏まえ幾つかの研究課題の例を挙げるとともに、政策過程との関係を踏まえる必要があることを指摘し、③については、事前評価におけるヒアリングの活用や平成11年度に予定されている普及啓発事業等を通じて評価結果が研究者にフィードバックされる仕組みの必要性を指摘した。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-