児童虐待事例の家族再統合等にあたっての親支援プログラムの開発と運用に関する研究

文献情報

文献番号
201201030A
報告書区分
総括
研究課題名
児童虐待事例の家族再統合等にあたっての親支援プログラムの開発と運用に関する研究
課題番号
H24-政策-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 則子(国立保健医療科学院 地域保健システム研究分野)
研究分担者(所属機関)
  • 瀧本 秀美(国立健康・栄養研究所 栄養教育研究部)
  • 柳川 敏彦(和歌山県立医科大学 保健看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
児童虐待対応事例が増えている中で、法改正により平成24年4月から児童虐待の深刻な事例において親権を最長2年まで停止することが可能となった。そのような背景の中で、施設に措置された児童が家族と再統合するケースが今後ますます増えることが予想される。家族再統合に当たっては何らかの親子への支援があった方が望ましく、現場で使い勝手の良い適切なプログラムへのニードが高い。本研究ではこのような取り組みの端緒となるべく、地域ベースで疫学的な手法を用いて有効な介入研究を行うための包括的な研究計画を作成することを目的とする。
研究方法
研究事業は2年度計画である。
平成24年度は、1.子どもを虐待した親への支援プログラムの網羅的分析と見直し、2.プログラム内容の開発、3.プログラム評価:アウトカムのとらえ方に関する検討、4.親がプログラムとつながるプロセスの整理、5.プログラムの提供体制に関する検討、6.親支援プログラム実践に関する地域の状況の整理、7.人材確保に関する整理、8.児童相談所等が家族再統合プログラムを導入してゆく段階についての整理を踏まえ、基礎的なデータ収集を行う。
児童相談所で課題となっている児童虐待事例の親子再統合のための親支援プログラムのあり方について明らかにするために、首都圏の児童相談所における好事例の聞き取り調査を行うとともに、全国207の児童相談所に対し、親支援プログラムの実施状況や実施が困難である要因等の質問紙調査を行った。
結果と考察
首都圏の好事例においては、多くのプログラムの草分け的存在の導入時からの情報が入手できた。草分けならではの課題と克服が有ったことが理解されたが、いっぽうで、ケースワークの流れを見定めた上でのプログラムの実施が重要であり、現在においてもまだその点は苦心の多いところである事が分かった。また、ケースワークの骨組みをつくるのがサインズオブセーフティアプローチの手法であることが分かった。全国の児童相談所調査においては、225の児童相談所・支所等(駐在は除いた)に調査票を送付し、207カ所から回答があった。児童虐待の取り組みに関して様々な職種が係わっていることが分かった。何らかのプログラムを行っているところが半数以上の116カ所に上り、実施カ所は最近の数年で急増していることが分かった。プログラム実施上の課題が、職員・職場の要因、人員・人材、プログラムの特質、親側の要因、ケースワーク上の問題などの多方面から浮かび上がり、具体的な対応策を検討してゆくことの必要性が明らかになった。
結論
各児童相談所に役に立つ形で結果を返してゆく。全国児童相談所の親支援の取り組みについて、細かい情報が網羅的に収集出来ているので、活用の範囲は広い。各児童相談所が全国の児童相談所全体像を共有することにより、日頃の悩みが多くの児童相談所に共通であることを知り、情報交換や問題解決法模索のための糸口として活用することが出来る。プログラム導入上の課題について現場の声を吸い上げまとめることが出来ているので、各児童相談所が個別の解決策を整理することが出来る。今後研究班でさらに解決策を実践的に整理し直した内容に、これらの解決策を整理した内容に、多くの児童相談所に役に立つ情報をも盛り込んで、ハンドブックを作成することにつなげてゆく。

公開日・更新日

公開日
2013-12-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201201030Z