特定保健指導の階層化基準外の者の保健指導の有効性に関する研究

文献情報

文献番号
201201016A
報告書区分
総括
研究課題名
特定保健指導の階層化基準外の者の保健指導の有効性に関する研究
課題番号
H23-政策-一般-003
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
岡山 明(公益財団法人結核予防会第一健康相談所 生活習慣病予防研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 三浦 克之(滋賀医科大学社会医学講座公衆衛生学部門)
  • 安村 誠司(福島県立医科大学医学部公衆衛生学講座)
  • 坂田 清美(岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座)
  • 岡村 智教(慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学)
  • 日高 秀樹(滋賀医科大学医学部糖尿病腎臓神経内科)
  • 西村 邦宏(独立行政法人国立循環器病研究センター研究開発基盤センター予防医学・疫学情報部)
  • 中村 幸志(金沢医科大学公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
9,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では特定健診・保健指導制度の向上のために必要な疫学的エビデンスを2つの方法で明らかにする。第1は保健指導の方法と効果に関して、この研究班の元となった研究班で収集した情報、すでに研究が終了した研究、及び本研究班の研究協力施設のうち国保ヘルスアップ事業等で既に行った事業結果を整理し学会誌に報告する。 第2は保険者と共同で前向きに実施する保健指導効果の検討である。対象者を明確化するため各保険者の平成23年度特定健診対象者すべての医療費(H22-25年)、特定健診結果(H23-25年)を収集する。階層化の積極的支援または動機づけ支援の条件を満たすが現在治療中の者、および条件を満たさない治療中のものに対して、主治医の協力を得て保険者が実施する。対照は保険者内で同一の特性を持つ対象者を仮想的に設定して前向きに追跡する。支援群には研究班の作成したプロトコールに沿って支援を実施する。
効果評価指標は検査成績および医療費とする。医療費は研究主任者らが実施している「保健事業の医療費評価」研究班(政策科学推進研究)の方式で行う。当該研究班では200万人の4年間の医療費情報と60万人の特定健康診断・保健指導をデータリンケージしており、すでに体制は確立している。効果評価は6ヶ月間の保健指導の前後の実施効果を評価する。さらに医療費効果を含む長期効果を検討するため、H24,25年度の特定健診結果、医療費を用いて指導群と対照群の変化を比較する。
保健指導プロトコールは厚生労働省保健局の治療中の者に対する保健指導効果の評価事業(H20-22年、グループリーダー:岡山)で実施したプロトコール(生活アセスメント、6ヶ月間に4回の保健指導、1年半の継続支援)を一部改変して用いる。
研究方法
研究計画1
 過去の研究班で実施した研究成果について出版準備を進めると共に、厚生労働省の研究事業で実施した「治療中の者に対する保健指導の有効性に関する研究」について、その意義や再解析の必要性について検討した。研究事業は平成23年3月まで対象期間二年の予定で実施された。事業そのものはほぼ計画通り実施されたが、事業年度の関係から公表されたのは保健指導効果で1年半分、医療費効果で6ヶ月分にとどまっており、再解析の意義は高いと考えられた。そこで、関係各所と調整しデータ解析の体制を整えることとなった。「保険者による治療中の者への保健指導効果に関する研究」
 治療中の者への保健指導の実施経験のある保険者および意欲のある保険者を募集し、治療中の者に対して実施した保健指導の医療費を含む評価を実施する。対象疾患は高血圧および糖尿病とする。
・対象者および対照:平成23年度特定健診対象者の中から特定健診を受診したもののうち、治療中のものを抽出し、対象者を募集する(対象者は40-70歳未満)。募集に応じた対象者に主治医の了解を得たうえで、統一したプロトコールに沿って保健指導を実施する。参加した対象者には「生活習慣管理手帳」を渡し、指導効果を追跡する。対照は、特定健診受診者で健診結果に基づき参加者と疾病管理状況および同じ性別、年齢(5歳以内)を満たすものとして、医療費および健診成績を用いて仮想的に前向きに追跡する(仮想対照群)。

結果と考察
既存データの解析ではBMIが25 kg/m2未満に着目すると20歳からの体重増加が10kg以上ある人ではそうでない人と比較してBMIが同じであっても腹囲は大きく、脂質異常の率は高く、糖尿病の率は高く医療費が大きいことが明らかになった。他の因子を調整しても、20歳から10 Kg以上体重増加のある人はそうでない人に比較して腹囲が有意に大きいことを明らかにした。
15ヶ所の保険者参加を目標に施設募集を行ったが、最終的な参加施設は11ヶ所となった。実際の保健指導は平成24年4月から3ヶ月以内に開始することとしたが、一施設での開始が6ヶ月遅れ10月となったため、平さらにこれらの保健指導効果を比較するため平行して収集している特定健診・保健指導結果のまとめを行った。本年度は平成23年度特定健診結果について保険者別に集計を行った。対象となったのは男性で21381名、女性で28342名の計49723名であった。成25年4月に全ての施設で6ヶ月の重点支援期間が完了する予定となった。
結論
特定健診の階層化基準外の者に対する保健指導の有効性を医療費で評価するため、対象疾患を治療中の高血圧者とし、11保険者の協力を得て保健指導の介入研究を実施した。研究の進度はほぼ予定通りとなっている。

公開日・更新日

公開日
2013-12-17
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201201016Z