社会保障給付費の財源としての租税と社会保険料の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
199800029A
報告書区分
総括
研究課題名
社会保障給付費の財源としての租税と社会保険料の在り方に関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
井堀 利宏(東京大学経済学部教授)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成8(1996)年度
研究終了予定年度
平成10(1998)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
社会保障の規模の拡大にともなって、社会保障が国民経済に与える影響や社会保障負担の在り方が重要な課題となっている。本研究は社会保障各制度の効率性や公平性の観点から社会保障負担に焦点を当てて、租税・保険料・利用者負担の組み合わせや事業主負担の大きさについて、掲げる福祉国家モデル(北欧型、ドイツ型、アメリカ型等)との関連においてその在り方を研究することを目的とする。
研究方法
研究班を設けて、研究の方向や枠組を議論し、研究を進めた。社会保障の負担に関する国内で得られる資料を収集し、The Brookings Institution や London School of Economics の研究者とも議論する機会をもった。研究班メンバーのレポートをもとに報告書をまとめた。
結果と考察
1.社会保障の負担に関する論点をいくつか整理するとともに、効率性の基準に基づいて日本の公的年金制度の所得再分配機能をモデルを用いて分析した。
2.London School of Economics (LSE)の Dr.Hillsから寄せられた論文について、サマリーを作成し、第2部にその全文を掲載した。
1990年代に入ってどの先進国でも社会保障改革が重要なテーマとなっている。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランスのいずれの国でも税や社会保障負担をこれ以上増やさずに社会保障の機能を維持する方法が模索されている。負担の問題については、負担のマクロ的規模以外に、負担の構造や負担と給付の公平という視点が重要である。平成9年度はThe Brookings Institutionと、平成10年度はLondon School of Economicsと研究協力を行ったが、今後とも多様な形態の「共同研究」を行っていくことの重要性が示された。
結論
先進各国とも社会保障改革に取り組んでいるが、拡大する社会保障の財源については、各国とも新たな負担増を国民に求めることが困難な状況である。社会保障が成熟している国では税であれ社会保険料であれ、負担をこれ以上増やさずに制度を効率化することによって社会保障の役割を再定義しようとしている。負担の限界、負担の公平性、社会保障負担の経済に与える影響、等まだ研究されなければならない課題は多い。

公開日・更新日

公開日
-
更新日
-