保健活動の質の評価指標開発

文献情報

文献番号
201201006A
報告書区分
総括
研究課題名
保健活動の質の評価指標開発
課題番号
H22-政策-一般-022
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
平野 かよ子(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 尾崎米厚(鳥取大学医学部)
  • 中板育美(日本看護協会)
  • 山口佳子(杏林大学)
  • 荒木田美香子(国際医療福祉大学)
  • 神馬征峰(東京大学大学院)
  • 春山早苗(自治医科大学)
  • 小西かおる(大阪大学大学院)
  • 大神あゆみ(労働科学研究所)
  • 藤井広美(日本保健医療大学)
  • 上木隆人(公衆衛生活動研究所)
  • 島田美喜(地域医療振興協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
2,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の保健師は、地域において住民同士で健康問題を解決する地域組織を育成する等の活動を展開し、地域のソーシャルキャピタルを創出することに貢献してきている。しかしその活動の効果、特に質的な効果評価を行う質指標が開発されていない。
そこで本研究では評価枠組(構造、プロセス、結果1、結果2、結果3)を基に評価指標案を作成し、それらの適切性と実行可能性をデルファイ法で収斂させ、標準化された領域別の活動の評価指標と地域保健の各領域に共通する保健師活動のコアの活動の評価指標を開発することを目的とした。
保健活動の領域は、母子保健活動、健康づくり活動、高齢者保健福祉、精神保健福祉活動、感染症対策、難病対策と産業保健の保健活動とした。
研究方法
1)母子保健活動、健康づくり活動、精神保健福祉活動、感染症対策と産業保健の調査
調査対象は、一次調査で二次調査に協力する意思を表明した回答者で、母子保健活動は69名、健康づくり活動は77名、精神保健福祉活動は27名、感染症対策は40名、産業保健40名の計213名であった。
調査は母子保健活動の評価指標案は53項目、健康づくり活動は55項目、精神保健福祉活動の評価指標案は56項目、感染症対策は71項目、産業保健の評価指標案は61項目でおこなった。
2)高齢者保健福祉と難病対策の調査
 平成24年度は新たに高齢者保健福祉と難病対策の評価指標案を作成し、昨年の一次調査と同様に、高齢者保健福祉は全国の581市町村(昨年度の対象を除く)の高齢保健担当リーダー保健師と高齢介護担当リーダー保健師を対象に評価指標案は59項目で子なった。難病対策は全国の170保健所(昨年度の対象を除く)の難病担当リーダー保健師を対象に、評価指標案は41項目でおこなった。
3)保健師のコア活動の評価指標の調査
 各領域に共通する保健師のコアとなる活動とその活動の基盤を評価する指標案を論議し、63項で日本公衆衛生看護研究会の会員(142名)を主な対象とし、郵送で調査(デルファイ法)を行った。
結果と考察
1)地域保健と産業保健
各領域の評価指標の適切性と実行可能性が70%以上が適切あるいは可能と回答のあった項目を収れんさせ、また自由記載の意見を参考として表現を工夫し、各領域の評価指標の完成版を作成した。
2)総合的な保健活動(地域組織活動の育成)
 地域組織活動の評価は3側面から行う評価モデルを提案した。
3)保健師のコア活動
 コア活動のすべての項目の適切性は高いが、実行可能性は概して低く、適切性と実行可能性がともに高い項目は23項目で37%にすぎない状況であった。自由記載を基に指標の標記の修正を進めているが、改めで保健師固有の活動を評価する評価枠組のあり方から、引き続き検討していく必要性が示唆された。
結論
地域保健と産業保健における保健師の活動の評価指標を開発するために、文献検討などを基に、評価枠組を構造、プロセス、結果、結果2、結果3とし、母子保健:55項目、健康づくり:54項目、高齢者保健:58項目、精神保健福祉:52項目、感染症:71項目、難病:40項目と産業保健:60項目の評価指標の成果物を提示した。今後は、全国各地で実際にこれらの指標を用いて活動を評価し、評価指標の実効性を検証し、より一層の標準化を図る。

公開日・更新日

公開日
2013-10-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201201006B
報告書区分
総合
研究課題名
保健活動の質の評価指標開発
課題番号
H22-政策-一般-022
研究年度
平成24(2012)年度
研究代表者(所属機関)
平野 かよ子(東北大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 尾崎米厚(鳥取大学医学部)
  • 中板育美(日本看護協会)
  • 山口佳子(杏林大学)
  • 荒木田美香子(国際医療福祉大学)
  • 神馬征峰(東京大学大学院)
  • 春山早苗(自治医科大学)
  • 小西かおる(大阪大学大学院)
  • 大神あゆみ(労働科学研究所)
  • 藤井広美(日本保健医療大学)
  • 上木隆人(公衆衛生活動研究所)
  • 島田美喜(地域医療振興協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の保健師は、地域において住民同士で健康問題を解決する地域組織を育成する等の活動を展開し、地域のソーシャルキャピタルを創出することに貢献してきている。しかしその活動の効果、特に質的な効果評価を行う評価指標が開発されていない。本研究ではAvwedis Donabedianの質の評価枠組を参考として評価枠組(構造、プロセス、結果1、結果2、結果3を設定し、評価指標案を作成し、それらの適切性と実行可能性をデルファイ法で収斂させ、保健活動の領域別の標準化された評価指標と各領域に共通する保健師活動のコアの活動の評価指標を開発することを目的とした。
保健活動の領域は、母子保健活動、健康づくり活動、高齢者保健福祉、精神保健福祉活動、感染症対策、難病対策と、産業保健の保健活動の7領域とした。
研究方法
 母子保健活動、健康づくり活動、精神保健福祉活動、感染症対策と産業保健に関しては、平成23年度に適切性と実行可能性について郵送式アンケート調査(デルファイ法一次調査)を実施した。平成24年度には二次調査を実施し、その結果を論議集約し精緻化した。調査対象は一次調査は無作為抽出した全国の保健所保健師と市町村保健師、産業保健は日本産業衛生学会の看護職の会員とし、二次調査は一次調査で二次調査に協力する意思を表明した回答者とした。高齢者保健福祉と難病対策は、平成24年度に評価指標案を作成し、一次調査のみ実施した。
 さらに平成24年度に各領域に共通する保健師のコアとなる活動の評価指標案を作成し、日本公衆衛生看護研究会の会員を主な対象として同様な調査(デルファイ法)を郵送で行った。
結果と考察
 評価指標案の適切性と実行可能性の高い評価指標案を抽出し、自由記載内容を分析し評価指標案検討した結果、地域保健の6領域と産業保健の1領域の評価指標を完成させた。それらを平成24年度総括研究年度終了報告書に「評価指標―成果物―」として示した。
 コア活動の評価指標案の適切性は高いが、実行可能性は概して低い結果であった。
 領域を超えて展開される総合的な保健活動として「地域組織育成活動」を取り上げたが、評価枠組みを再考することの示唆が得られた。また、この保健活動の評価を推進するには、保健師活動の基本形と保健活動を評価する意義について、ワークショップ等で啓発と活動と併せて行うことの必要性も示唆された。
 
結論
 本研究は全国どこでも評価にもちいることができる標準化された地域保健と産業保健における保健師の活動の評価指標の開発をめざし、地域保健活動として母子保健活動、健康づくり活動、高齢者保健福祉、精神保健福祉活動、感染症対策、難病対策、さらに産業保健活動の評価指標案の適切性と評価の実行可能性について調査を実施した。その結果、適切性と評価の実行可能性の高い評価指標を抽出し、各領域の評価指標の成果物を提示することができた。今後は、全国各地で実際にこれらの指標を用いて活動を評価し、評価指標の実効性を検証し、より一層の標準化を図る必要がある。また、保健師の活動のコアとなる領域に共通する活動(地域組織育成活動を含む)の評価指標については、今後とも評価枠組みを含め検討する。

公開日・更新日

公開日
2013-10-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201201006C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 保健活動の質の評価枠組みとして、A.ドナベディアンが提唱した「構造」「プロセス」「結果」を基に、「結果」を実践者が短期的成果として狙う〈結果1〉と中期的成果としての〈結果2〉、さらに長期的な効果の〈結果3〉の3領域に区分した。この枠組に沿って母子保健活動、健康づくり活動、高齢保健福祉対策、精神保健福祉活動、感染症対策、難行対策、産業保健活動の各領域で保健師の独自性を発揮した活動あるいはその結果としての住民や関係者の変化を整理した。

臨床的観点からの成果
母子保健活動、健康づくり活動、高齢保健福祉対策、精神保健福祉活動、感染症対策、難行対策、産業保健活動の各領域において保健師が参画することによる効果を表す評価指標項目を作成した。この評価指標の適切性と実行可能性についてデルファイ法を用いて精緻化を図り、一定の完成度のある評価指標を開発した。
ガイドライン等の開発
母子保健活動は55項目、健康づくり活動は54項目、高齢保健福祉対策は58項目、精神保健福祉活動は52項目、感染症対策は71項目、難行対策は40項目、産業保健活動は60項目の評価指標集を作成し、全国の保健所と市町村へ配布した。
その他行政的観点からの成果
今後、国の地域保健事業報告等の報告の項目となるように、自治体や事業所の協力を得て評価指標を用いて実際に保健活動を評価し、評価指標の有効性を検証し、標準化された評価指標にする。
その他のインパクト
 保健活動は健康者や在宅療養者の予防活動からその周辺住民への啓発活動、さらには地域ケアのシステム形成等多岐にわたる活動であるが、これらの諸活動にかかわる保健師の有効性を示すコア指標を精緻化し、適正な保健師数を地方交付税により確保する根拠となる保健師の有効性を測定できるツール開発に発展させる

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
6件
第72回日本公衆衛生学会(三重県)でポスター発表を行う。
学会発表(国際学会等)
1件
第42回アジア環太平洋公衆衛生会議(スリランカ)において日本の保健師の活動の特性をとその活動の効果評価指標の開発について報告した。
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2018-06-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201201006Z