小児期のウイルス性肝炎に対する治療法の標準化に関する研究

文献情報

文献番号

201137005A

報告書区分

総括

研究課題名

小児期のウイルス性肝炎に対する治療法の標準化に関する研究

課題番号

H23-実用化（肝炎）・一般-005

研究年度

平成23(2011)年度

研究代表者(所属機関)

田尻　仁(大阪府立急性期・総合医療センター小児科)

研究分担者(所属機関)

森島　恒雄(岡山大学大学院医歯薬学総合研究科小児科学)
木村　宏(名古屋大学大学院医学系研究科)
細野　覚代(愛知県がんセンター研究所)
田中　靖人(名古屋市立大学大学院医学研究科)
杉山　真也(国立国際医療研究センター)
乾　あやの(済生会横浜市東部病院こどもセンター)
牛島　高介(久留米大学医療センター)
村上　潤(鳥取大学医学部)
工藤　豊一郎(筑波大学)
要藤　裕孝(札幌医科大学付属病院)
鈴木　光幸(順天堂大学)
虻川　大樹(宮城県立こども病院)
鍵本　聖一(埼玉県立小児医療センター)
惠谷　ゆり(大阪府立母子保健総合医療センター)
三善　陽子(大阪大学大学院・医学系研究科)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究（肝炎関係研究分野）

研究開始年度

平成23(2011)年度

研究終了予定年度

平成25(2013)年度

研究費

25,000,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

小児については、Ｂ型およびＣ型慢性肝炎の治療ガイドラインが存在しない。しかしながら小児のＢ型肝炎は母子感染および水平感染による感染者がなお発生している。Ｃ型肝炎も母子感染が発生している。ＩＦＮ製剤と経口抗ウイルス薬の開発が飛躍的に進みつつある現状では、Ｂ型肝炎およびＣ型肝炎の小児に対する標準的な治療方法を立案する必要性は極めて大きい。

研究方法

（１）各班員は担当地区において、１．小児Ｂ型およびＣ型肝炎の実態調査、２．ＩＦＮ治療を受けたＢ型およびＣ型肝炎の長期予後調査を行う。
（２）内科の班員は若年成人について同様の調査を行う。
（３）疫学専門家を中心に小児Ｂ型肝炎の長期予後の予測およびＩＦＮの長期効果について検討する。Ｃ型肝炎についても同様の検討を行う。
（４）我が国のＢ型およびＣ型肝炎の小児に対する標準的な治療方法についてまとめる。

結果と考察

【結果】
１．小児Ｂ型およびＣ型慢性肝炎の患者数は、それぞれ420名、394名の報告があった。Ｂ型肝炎では約80％が無治療であるのに対し、Ｃ型慢性肝炎で、76％は治療を受けていた。Ｂ型肝炎では若年発症の肝細胞癌が15例報告された。
２．小児Ｂ型およびＣ型慢性肝炎についての調査票を作成した。
３．小児Ｃ型肝炎の自然経過及び治療効果に関わる宿主側因子、ウイルス側因子の検討を始めた。（１）Ｃ型肝炎でのIL28Bの検討。（２）ＨＣＶコア70の変異の検討。（３）以上のために、大阪府立急性期総合医療センターの実験施設を整備した。

【考察】
（１）小児のＢ型およびＣ型慢性肝炎患者に関する自然経過及び治療に関する全国的な調査は始めてであり、重要なデータが得られることが予測される。
（２）Ｂ型慢性肝炎に関しては、これまで行われてきたインターフェロン治療の効果を多数のデータから検討することは意義がある。
（３）Ｃ型慢性肝炎に関しては、宿主側及びウイルス側の効果予測因子を検討することは意義がある。

結論

調査票を用いて集積した自然経過及び治療に関するデータの解析および宿主側因子とウイルス側因子に関する検査結果を総括することによって、Ｂ型およびＣ型慢性肝炎の小児に対する標準的な治療方法をまとめる予定である。