肝炎対策の状況を踏まえたウイルス性肝疾患患者数の動向予測に関する研究

文献情報

文献番号

201137003A

報告書区分

総括

研究課題名

肝炎対策の状況を踏まえたウイルス性肝疾患患者数の動向予測に関する研究

課題番号

H23-実用化（肝炎）・一般-003

研究年度

平成23(2011)年度

研究代表者(所属機関)

田中　英夫(愛知県がんセンター研究所　疫学・予防部)

研究分担者(所属機関)

八橋弘(長崎医療センター　臨床研究センター)
齋藤貴史(山形大学医学部　消化器内科学)
松浦健太郎(名古屋市立大学大学院医学研究科　消化器・代謝内科学)
内田茂治(日本赤十字社中央血液研究所　感染症解析部)
片野田耕太(国立がん研究センターがん対策情報センター　がん統計研究部)
松田智大(国立がん研究センターがん対策情報センター　がん統計研究部)
田尻　仁(大阪府立急性期・総合医療センター　小児科)
伊藤秀美(愛知県がんセンター研究所　疫学・予防部)
田中佐智子(京都大学大学院医学研究科　EBM研究センター)
吉岡健太郎(藤田保健衛生大学　肝胆膵内科学)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究（肝炎関係研究分野）

研究開始年度

平成23(2011)年度

研究終了予定年度

平成25(2013)年度

研究費

25,000,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

これまで主として国内の慢性ウイルス肝疾患患者数の推計に用いられてきた情報源は、初回献血者のスクリーニングデータと、一般住民を対象とした肝炎検診のデータに基づくウイルスマーカー陽性割合であった。しかしこれらの情報源の対象者における「自己選択バイアス」により、推計数は常に過小評価され、そのバイアスの大きさを適正に推定する方法が試みられてこなかった。そこで、本研究班の目的は、我が国のB型およびC型肝炎ウイルス（HBV、HCV）感染者数、慢性ウイルス性肝疾患患者数（肝細胞癌(HCC)を含む）をより正確に推計するための新しい方法を考案し、実行することである。

研究方法

我が国のB型およびC型慢性ウイルス性肝炎患者数をより正確に推計する方法を、肝炎診療の専門家、生物統計学の専門家等からなる班員間で検討し、「6.研究の概要」に示す方法を考案した。平成23年度は、必要なデータ（HBV,HCVキャリアの追跡データとHCC患者におけるウイルス陽性割合）収集または収集に必要な事務手続き（がん登録資料）に着手した。また、1995年?2000年の全国の初回献血者データを入手し、献血暦を有する7000人のインターネット調査を完了した。
B型およびC型HCCの罹患数および有病者数の推計については、平成23年度は、全国のがん罹患率共同調査データからHCCデータを抽出し、出生年代別に罹患率を計算した。

結果と考察

本研究班の第1の目的は、我が国のB型およびC型慢性ウイルス性肝炎患者数を推計することである。推計方法として、本年度は、初回献血者のスクリーニングデータからの推計のために、初回献血者における感染率の全国値との偏りを補正するため、献血歴を有する7,000人のインターネット調査を完了した。また、肝細胞癌(HCC)罹患数と、HBV，HCV感染者からHCCへの移行確率からの逆算法のために山形、愛知、長崎での地域がん登録資料による2005年?07年のHCC罹患数および全国値へ外挿する際に必要なHCC年齢調整死亡率の3地域と全国値との比の計算に着手した。
次に、第2の目的は、我が国のB型、C型HCCの罹患数および有病者数を推計し、その将来数を推計することである。本年度は、これに必要な全国の初回献血者（1995年?2000年）のHBV，HCV感染者割合の出生年代別の算出と、「全国がん罹患モニタリング集計」データを用いてのHCC罹患率の出生年代別の算出を行った。

結論

我が国のＢ型およびC型キャリア数、慢性ウイルス性肝炎患およびHCC患者数を推計する新たな方法を考案し、推計に必要となる統計の収集、データの収集を開始した。