小児の肉腫や脳腫瘍等に対するがんペプチドワクチン単剤療法の開発

文献情報

文献番号

201136009A

報告書区分

総括

研究課題名

小児の肉腫や脳腫瘍等に対するがんペプチドワクチン単剤療法の開発

課題番号

H23-実用化（がん）・一般-009

研究年度

平成23(2011)年度

研究代表者(所属機関)

中面　哲也(独立行政法人　国立がん研究センター東病院　臨床開発センター　がん治療開発部)

研究分担者(所属機関)

細野　亜古(独立行政法人国立がん研究センター　中央病院)
原　純一(大阪市立総合医療センター)
木下　義晶(九州大学　大学院医学研究院)
塩田　曜子(独立行政法人国立成育医療研究センター)
金森　豊(独立行政法人国立成育医療研究センター)
孝橋　賢一(九州大学　大学院医学研究院)
吉村　健一(京都大学医学部附属病院)

研究区分

厚生労働科学研究費補助金健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究（がん関係研究分野）

研究開始年度

平成23(2011)年度

研究終了予定年度

平成25(2013)年度

研究費

73,077,000円

研究者交替、所属機関変更

-

研究報告書（概要版）

研究目的

希少性の高い各種小児がん、特に肉腫等を対象に、有効性の高いがんペプチドワクチン単剤療法の実用化に向けた臨床試験を実施することにより、日本発のがんワクチン療法による革新的がん治療の開発に資することを目的とする。

研究方法

小児がんの中でも比較的対象も多く予後も不良な神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を対象に、それらのがんに高発現している3種類の抗原（KOC1、FOXM1、KIF20A）由来のがんペプチドカクテルワクチン療法の科学的エビデンスを創出することを目的として、GCPに準じた臨床試験体制の下で、薬事承認につなげるための第Ⅰ相の臨床試験を実施する。戦略薬事相談を行い、当該臨床試験を、医師主導治験で実施する手続きを進める。

結果と考察

23年度は、骨肉腫においても免疫染色においてKOC1、FOXM1、KIF20A抗原蛋白の発現を確認し、対象を神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫の4疾患にした。KOC1、FOXM1、KIF20A由来のHLA-A24 結合性の3種類のGood Manufacturing Practice (GMP)グレードのペプチドを米国PP社に作製を依頼し、薬監証明を取得して輸入した。当院の治験薬GMP準拠のCell processing center(CPC)内でペプチド製剤、IFA製剤を作製する方針を決定し、様々な検討、手順書の作成等により、治験薬として実施施設に提供できる準備を整えた。また、GCPを遵守した治験の体制を構築するための検討を重ね、国立がん研究センター東病院臨床試験支援室と委託先の医薬品開発業務受託機関（CRO）の役割を明確にした。薬事戦略相談の結果、不足を指摘された非臨床試験を追加して、また、指摘された事項をプロトコールに組み込んで、国立がん研究センターならびに関連する施設の倫理審査委員会に申請し承認を得た後、治験開始届を提出して平成24年度早い段階での治験開始を目指す。開始後は迅速な症例登録により、早期の症例登録終了を目指し、平成25年度の本研究費最終年度終了時には十分な成果を報告できるよう努める。

結論

神経芽腫やユーイング肉腫、横紋筋肉腫、骨肉腫を対象に、GCPに準じた臨床試験体制の下で、3種類の抗原（KOC1、FOXM1、KIF20A）由来のがんペプチドカクテルワクチン療法の第Ⅰ相の医師主導治験を実施する。