建築物環境衛生管理及び管理基準の今後のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201134029A
報告書区分
総括
研究課題名
建築物環境衛生管理及び管理基準の今後のあり方に関する研究
課題番号
H23-健危・一般-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大澤 元毅(国立保健医療科学院)
研究分担者(所属機関)
  • 鍵 直樹(国立保健医療科学院)
  • 田島 昌樹(国立保健医療科学院)
  • 池田 耕一(日本大学理工学部)
  • 中館 俊夫(昭和大学医学部)
  • 射場本 忠彦(東京電機大学未来科学部)
  • 柳 宇(工学院大学建築学部)
  • 東 賢一(近畿大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
18,900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年,大規模化,複合化,設備方式の変化など,想定外の状況が進行するなかで,管理基準を満足しない割合「不適率」改善が進まないなど,監視方法、管理基準を含めた環境衛生管理のあり方が問われる事態が生じている。本研究は,建築物における環境衛生管理及び管理基準に着目して,公衆衛生の立場を踏まえた,今後の建築物に必要な環境基準のあり方について提案を行う。
研究方法
テーマ構成と方法
1環境衛生の実態把握及び維持管理のあり方に関する研究(アンケート及び実態調査)
2特定建築物のあり方と維持管理基準に関する研究(実態調査)
3空気調和設備の維持管理及び運用のあり方に関する研究(実測調査)
4健康影響と管理基準のあり方に関する研究(総合検討)
結果と考察
1.全国都道府県のビルメンテ企業に,執務環境に起因する健康障害の実態及び職場環境との関連性を明らかにするアンケート調査を実施した(集計解析は24年度)
2.高齢者福祉施設(5件)において実測調査(微生物調査を含む)を行い,いくつかの項目が基準値を逸脱する状況を把握した。CO2超過は,在室者集中や全熱交換器の停止が疑われる。浮遊微生物は,真菌濃度が高く,高湿性のCladosporium sp.が全施設で検出された。一方,細菌濃度の高い施設では,換気不足がその原因と考えられ,いずれの施設でも芽胞菌が優勢であった。
個別分散空調方式については,アンケート及び室内空気質,浮遊細菌・真菌及び空調機内の細菌・真菌汚染調査を実施した。大規模建築物においても個別分散型空調方式の普及急進が窺えた。また,全熱交換器も6割以上採用していた。更に,空調・換気運転操作は居住者任せという回答が78%と高かった。
実態調査では,室内浮遊真菌濃度の規準値超過が見られた。空調機の起動後の真菌濃度上昇は,空調機が室内の微生物汚染の一因となっていることを示唆した。
3. 中央方式の建築物の測定を継続し,基準値外が生じる状況を確認した。基準値を満足する性能および管理方法が,空調方式に依存する可能性があることが示唆された。
4.収集文献より,オフィスで使用される電子写真方式の事務機器から,微粒子,超微粒子が排出されることが証明されたこと,並びにそれに伴って室内空気の汚染が生じる可能性が指摘されたが,実態に関する研究はまだ不十分なことが示された。今後,SBSに関わる空気汚染物質として微粒子,超微粒子に着目した研究が今後重要であると考えられる。
結論
収集した建築物における環境衛生に関する実測調査及びアンケート結果で明らかにされた課題をさらに追求し,建築物衛生法の制度検討の際の基礎資料に活用していく。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134029Z