貯水槽水道における水の滞留の長期化や不適切な管理による水質悪化とその対策に関する研究

文献情報

文献番号
201134027A
報告書区分
総括
研究課題名
貯水槽水道における水の滞留の長期化や不適切な管理による水質悪化とその対策に関する研究
課題番号
H23-健危・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
早川 哲夫(麻布大学 生命・環境科学部)
研究分担者(所属機関)
  • 古畑 勝則(麻布大学 生命・環境科学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,847,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
貯水槽内の水が滞留する事例が増加している。これは、残留塩素減少の原因となり、貯水槽水中に存在する細菌や原虫などの増加を引き起こす。これまで長期滞留に伴う細菌増殖が問題を引き起こすリスクについては考慮されてこなかった。本研究では長期滞留に伴うリスクの実態とメカニズムを明らかにするとともに、貯水槽の設備、装置の改善による適切な管理システムの構築を研究し、行政としてどのように指導していくべきかの指針策定を行おうとするものである。
研究方法
本研究、まず、貯水槽水道の滞留時間の長期化の実態を調査するとともに、自治体が水の滞留に伴う水質悪化の問題についてどのような対応を取っているかを調査する。またモデル貯水槽により滞留時間と水質悪化の関係について研究する。次に水質悪化によって引き起こされる衛生上の問題点について研究する。最後にこれらの成果に基づき装置の改善による滞留の改善方法や、行政による指導指針の策定に関する研究を行う。本研究は3人の研究者のもとに専門家による委員会を設けて研究する。
結果と考察
・東京都の受水槽回転数と遊離残留塩素濃度との関連について調査した。回転数の低いものが濃度が低いことが判明した。・滞留時間の長期化について行政の認識調査を行った。この結果によれば行政担当者の、貯水槽水滞留による水質悪化への認識は少なく、滞留時間が長くても残留塩素が確保されていればよいとの認識であることが分かった。また管理者への指導についても、対象数にたいして職員数が少なく指導が行き届かないことが判明した。
・貯水槽中の残留塩素の変動とそれ伴う従属栄養細菌の消長に関する文献調査を行い、我が国の水道水中に従属栄養細菌が生息することが明らかになった。また、滞留時間と残留塩素、細菌数などの関係を実験的に調べるため、都内に1㎥の容量のモデル貯水槽を設置し現在データ収集を行った。
結論
貯水槽水道の滞留時間の長期化に伴い 残留塩素が減少し、細菌の増殖がみられた。これまで水道の水質検査においては、塩素消毒が行われ残留塩素が一定濃度以上存在し、大腸菌が検出されず一般細菌数が基準を満たせば、病原生物による汚染はないと判断してきたが、現在の一般細菌検査法によっては検出できない、低温で貧栄養状態でも増殖する従属栄養細菌の中には病人や老人など易感染者に悪影響を引き起こすものがあることが分かった。
貯水槽水道の滞留時間についてはこれまで規制対象とはなっておらず、今後はこの点での適切の管理が求められる。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134027Z