水道の浄水処理および配水過程における微生物リスク評価を用いた水質管理手法に関する研究

文献情報

文献番号
201134026A
報告書区分
総括
研究課題名
水道の浄水処理および配水過程における微生物リスク評価を用いた水質管理手法に関する研究
課題番号
H23-健危・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
島崎 大(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 国包 章一(静岡県立大学 環境科学研究所)
  • 伊藤 禎彦(京都大学大学院 工学研究科)
  • 大瀧 雅寛(お茶の水女子大学大学院 人間文化創成科学研究科)
  • 春日 郁朗(東京大学大学院 工学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水道水質の安全性および快適性のさらなる向上のため、水道の浄水処理および配水過程における病原微生物等による微生物リスクの所在を定量的に明らかとすること、また、当該の微生物リスクを低減する上での適切な制御方法および水質管理手法を提案することを目的とする。
研究方法
諸外国の水道等における微生物リスク評価手法の現状調査、高度浄水処理プロセスを対象とした定量的微生物感染リスク評価、残留塩素濃度を最小化した浄水の微生物学的安定性に関する研究、濁度急変時の浄水処理における大腸菌除去能力評価および病原微生物感染リスク評価、T-RFLP法による定量方法と消毒処理における損傷部位の推定方法、及び、配水過程における再増殖微生物の増殖特性解析を行った。
結果と考察
世界で唯一、定量的微生物リスク評価が水道の実務に導入されているオランダを対象として、実務への導入に関する現状や課題について文献調査を中心にまとめ、その意義について日本との比較において考察した。
水道原水中の大腸菌に対するカンピロバクターの存在比率調査を進めるとともに、凝集沈殿処理・低濃度塩素消毒・オゾン処理の各プロセスによる大腸菌除去・不活化能の測定を実施した。また、異なる浄水処理方式や処理性能における病原性大腸菌O157によるヒトへの健康影響をDALY値に基づいて推定した。
生物膜を形成した細菌に対する塩素消毒の不活化機構の検討を行うための実験手法として、消毒処理後にPropidium monoazideを添加して細菌の損傷部位を特定する手法等を確立し、今後様々な条件での消毒実験を行うための基礎的知見を得た。
水道給配水系における細菌再増殖現象を評価する手法を検討し、ビーズ法を用いた市販キットによるDNA抽出の組み合わせの回収率が高いこと、二重標識T-RFLPが実際に水道水から単離した株の分類に有用であることを確認した。また、給水栓の滞留・放流に伴う細菌群集構造の解析を行い、再増殖した細菌に由来すると推察されるフラグメントを抽出した。
結論
水道水質の安全性および快適性のさらなる向上のためには、水道の浄水処理および配水過程における病原微生物等による微生物リスクの所在を定量的に明らかとすること、また、当該の微生物リスクを低減する上での適切な制御方法および水質管理手法を提案することが必要である。次年度以降、各々に必要となる調査研究を継続し、知見のとりまとめを進めたい。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134026Z