地域社会における自動体外式除細動器(AED)の役割と費用に関する研究

文献情報

文献番号
201134024A
報告書区分
総括
研究課題名
地域社会における自動体外式除細動器(AED)の役割と費用に関する研究
課題番号
H23-健危・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
小川 俊夫(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 田邉 晴山(財団法人救急振興財団救急救命東京研修所)
  • 今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 健康政策医学講座 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 自動体外式除細動器(AED: Automated External Defibrillator)はわが国で急速に普及しているが、AEDの費用対効果や適正な導入台数などについては充分に検証されていない。本研究は、抽出した都道府県におけるAEDの導入費用を推計し、AEDの費用対効果を試算することを目的として実施する。試算結果から地域の健康安全・危機管理対策の視点でAEDの負担と効果について考察し、費用対効果の視点からAEDの適正台数についても考察を実施する。
研究方法
 抽出した都道府県におけるAED導入台数の推計を行い、一台あたりの費用モデルを用いてAED導入費用の推計を実施する。またAEDの費用対効果の推計手法について文献調査より検討したうえで、「救急蘇生統計」(いわゆるウツタイン様式統計データ)を用いたAEDの費用対効果の試算を行う。次年度は、費用対効果の分析モデルの精緻化を行い、さらに政策提言の可能性について考察を実施する。
結果と考察
 分析対象として抽出した広島県、長崎県、奈良県におけるAEDの導入台数を、AED販売台数と設置台数の範囲より推計した。さらにAED導入費用の累計額をAED一台あたり導入費用を用いて試算すると、広島県で約10-13億円、長崎県で約7-8億円、奈良県では約4-6億円と推計された。
 次に、ウツタイン様式統計データにおけるグラスゴー・ピッツバーグ・脳機能カテゴリー(以下脳機能カテゴリー)を用いてAEDの費用対効果を試算した。その結果、抽出した3県におけるAED導入の増分費用対効果比は、それぞれ広島県で約1,663万円、長崎県で約3,269万円、奈良県で約2,091万円と試算された。
 本研究により、既存データを用いてAEDの費用対効果分析が可能なことが示唆された。AED導入台数の正確な把握が困難であるが、販売台数と設置台数よりAED導入費用の推計が可能で、さらに導入費用とウツタイン様式統計データの脳機能カテゴリーを用いることで、費用効用分析の推計が可能であることが示唆された。今後は推計手法の精緻化を実施し、より現実に即した推計を実施する予定である。
結論
 本研究により、既存データを用いてAEDの費用対効果分析が可能なことが示唆された。研究次年度は、AEDの費用対効果分析の精緻化を実施すると同時に、AEDの適正導入台数などについても考察を実施し、政策提言を行う予定である。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134024Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,000,000円
(2)補助金確定額
4,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 83,254円
人件費・謝金 1,697,780円
旅費 790,241円
その他 1,428,725円
間接経費 0円
合計 4,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2014-06-03
更新日
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