健康危機事象への迅速な対応に有効なサーベイランス解析手法・ツールの開発・普及に関する研究

文献情報

文献番号
201134023A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機事象への迅速な対応に有効なサーベイランス解析手法・ツールの開発・普及に関する研究
課題番号
H23-健危・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高橋 邦彦(国立保健医療科学院 政策技術評価研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 丹後 俊郎(昭和女子大学大学院 生活機構研究科)
  • 灘岡 陽子(東京都健康安全研究センター 微生物部疫学情報室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
地域における突発的・集中的な健康危機事象の発生をいち早く検出するための症候サーベイランスは国内外で重要な課題となっており,特に米国を中心とする諸外国においては様々な検討が行われている。そのための解析として空間疫学における疾病集積性の検定の方法が利用され,従来の SaTScan法に加え,申請者らの開発する集積性検出の手法とそれを組み込んだソフトウェアFleXScanも最近のGISや空間疫学の分野で世界的に注目されてきている。本研究では,我々の提案するFleXScan法を,国内において実際のサーベイランス業務として各地で中心となると考えられる地方衛生研究所での利用の可能性,また有用性について検討を行う。さらに救急搬送件数として総務省消防庁で公開されている心肺機能停止傷病者の全国データ(ウツタインデータ)を用い,その発生の特徴について明らかにする。さらにこれらの検討を通しFleXScanのさらなる統計解析手法の開発,ツールとなるソフトウェアの改良を行う。
研究方法
ソフトウェアFleXScanについて改良を検討した。また総務省消防庁で公開されている全国の心肺機能停止傷病者搬送件数データ(ウツタインデータ)を用いて,その発生の時間的集積性について検討を行った。
結果と考察
ソフトウェアFleXScanについて,ユーザーからの要望をもとに,例えば複数の有意なクラスターがある場合の表示を行うなどの改良を行った。さらに時空間解析での提案している方法を組むべく,新たなバージョンの制作に取りかかっている。
総務省消防庁で公開されている全国の心肺機能停止傷病者搬送件数データ(ウツタインデータ)を用いて,その発生の時間的集積性について検討を行った。この結果,年末年始時期に特異的な発生の集積があることが認められた。サーベイランスの手法を用いることで,このような顕在化されていない健康危機管理上の問題を浮き彫りにすることができ,公衆衛生上の観点からも更なる検討を行うための足がかりになると考えられた。
結論
今後,国内外の研究者・実務者にコメントをもらいながら,更にサーベイランスに適して実用性のある統計解析手法の開発とそれを組み込んだ解析ツール(ソフトウェア)の開発をすすめる。
また,今年度の結果を踏まえ,救急搬送データの解析を更にすすめ,サーベイランスへの利用可能性について検討を行う。また東京都をはじめ自治体で活用できるデータと実際のツールの適用について検討を続け,効果的な普及方法についても検討し試行する。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134023Z