性暴力被害者が安全にかつ安心して必要なケアを受けられるシステム構築のための調査研究

文献情報

文献番号
201134020A
報告書区分
総括
研究課題名
性暴力被害者が安全にかつ安心して必要なケアを受けられるシステム構築のための調査研究
課題番号
H22-健危・若手-001
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
高瀬 泉(山口大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,154,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 性暴力は,女性の健康づくり,子ども・子育て支援,雇用・労働施策への影響も大きい。そこで,「性暴力救援センター大阪」が我が国で初めて設置され,被害者の意思を尊重しつつ必要な医療や証拠採取,さらに希望に応じて警察・カウンセリング・弁護士等の紹介を行っている。本研究においてガイドラインを作成することで,他の関係諸機関でも適切な対応が行われると期待され,性暴力被害の潜在化や同様の事件発生の抑止につながる可能性がある。また,チーム医療のモデルを示すことができると考える。
研究方法
 今年度は,主に左記に着目した。1)被害者に必要な病院内設備・備品・施策,2)診断書等記載方法および裁判での専門家証言 のあり方,3)関係機関との定期的な連絡会設置
 また,男性の被害者が受診する可能性がある診療科の医師へ自記式質問紙調査を行った。さらに,男性の被害者にインタビューを行った。 
 
結果と考察
(結果)まず,のべ3372件の電話相談(無言含む)が寄せられ,来所件数はのべ615件であった。初診は189人(レイプ・強制猥褻119人,性的虐待46人,身体的虐待1人,ネグレクト1人,DV10人,その他12人)であった。年代別では,10歳未満が21人,10代が105人,20代が42人,30代が15人,40代が6人であった。警察へ通報したのは71件であった。次に,1)で,超低温冷凍庫設置により採取試料の保管が可能となった。また,裁判を見据え,デジタルカメラ付きコルポスコープを購入した。医療費の自己負担については,国際犯罪学会で発表した。2)で,各々の産婦人科医や臨床法医学者で使用する専門用語が異なった。3)で,警察との意見交換会が継続され,一般へも広く情報を提供した。最後に,男性の被害者の存在がほとんど認識されていなかった。(考察)今年度は,電話相談が前年度に比べ2.30倍と増加し,当センターの対応が評価されつつあると考えられた。また,10代が過半数を占め,前年度に比し,40代の割合が増加した。このような点からも,性暴力が女性のライフステージに関与する問題であるといえる。さらに,診断書等の記載方法が各専門家で異なり,次年度早急に検討したい。医療費については,警察以外からの公的支援の可能性を探りたい。男性の被害者に関する調査は,現在,論文作成中である。
 
結論
 性暴力救援センター大阪の対応が評価されつつある可能性が示唆された。これまでの結果をふまえ,ガイドラインを作成したい。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134020Z