文献情報
文献番号
                      201134012A
                  報告書区分
                      総括
                  研究課題名
                      異臭被害原因物質の同定・評価及び浄水処理工程における挙動並びに低減化に関する研究
                  研究課題名(英字)
                      -
                  課題番号
                      H22-健危・一般-007
                  研究年度
                      平成23(2011)年度
                  研究代表者(所属機関)
                      西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
                  研究分担者(所属機関)
                      - 越後 信哉(京都大学大学院 地球環境学堂/地球益学廊)
 - 松下 拓(北海道大学大学院 工学研究院)
 - 小坂 浩司(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
 
研究区分
                      厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
                  研究開始年度
                      平成22(2010)年度
                  研究終了予定年度
                      平成24(2012)年度
                  研究費
                      6,300,000円
                  研究者交替、所属機関変更
                      -
                  研究報告書(概要版)
研究目的
            浄水工程において生成するカルキ臭の制御のため、カルキ臭原因物質前駆体の解明によるカルキ臭生成の削減、生成したトリクロラミンの削減方法について検討を進め、水道水臭気の低減化を目指す。
      研究方法
            臭気原因物質の同定・定量には、ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)を用いた。カルキ臭原因物質前駆体のアミノ酸の測定には、液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計を用いた。クロラミン類の還元的分解の解析には、粉末活性炭と微粉化活性炭を用いた。
      結果と考察
            臭気物質の同定・定量に用いられているヘッドスペース-GC/MSによる分析において、分析者の熟練度及び測定機器の測定精度が全体の不確かさに影響していた。また、3種の内部標準物質及びチューニングデータを用いて補正する手法を用いて、精度が高く不確かさの小さい定量値を算出することができた。カルキ臭原因物質前駆体として、アミノ酸類の寄与を明らかとしたが、ジペプチドからのトリクロラミン生成量は、遊離アミノ酸に比較して低かった。一方、天然有機物が共存すると、トリクロラミン生成が抑制された。酸化処理とイオン交換処理の連続の組み合わせが、カルキ臭制御に有効である可能性が確認できた。特に、陰イオン交換処理が有効であった。トリクロラミン前駆物質としてアンモニアの寄与が大きい際に、二段階塩素処理によりトリクロラミン生成の抑制が顕著となった。活性炭によりトリクロラミンが分解除去可能であったが、活性炭の種類により分解速度は異なっていた。活性炭表面の塩基性官能基当量と分解速度定数の間に正の相関があった。また、微生物活動が期待できない低水温時(5 °C)には、活性炭によるトリクロラミンの分解が抑制されたが、活性炭添加濃度を増やすことで、常温下と同程度の処理が可能であった。
      結論
            不確かさ及び精度に影響を及ぼす要素を明確にし、より精確な定量分析が可能となる手法の開発を進めた。臭気原因物質前駆体として、アミノ基をもつ低分子化合物を明確とし、高分子天然有機物はトリクロラミン生成に抑制効果を持つ可能性を示した。アンモニアの寄与が大きい際に、二段階塩素処理がトリクロラミン生成の抑制に効果があった。カルキ臭の低減に、酸化処理と連続した陽陰イオン交換処理が有効であることを示した。超微粉化活性炭により、低水温下においてもトリクロラミンを分解除去の可能が示された。
      公開日・更新日
公開日
          2012-12-25
        更新日
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