水道における水質リスク評価および管理に関する総合研究

文献情報

文献番号
201134011A
報告書区分
総括
研究課題名
水道における水質リスク評価および管理に関する総合研究
課題番号
H22-健危・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
松井 佳彦(北海道大学 大学院工学研究院)
研究分担者(所属機関)
  • 秋葉 道宏(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 浅見 真理(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 泉山 信司(国立感染症研究所 寄生動物部)
  • 伊藤 禎彦(京都大学 大学院地球環境学堂)
  • 伊藤 雅喜(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
  • 片山 浩之(東京大学 大学院工学系研究科)
  • 杉本 直樹(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 西村 哲治(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 広瀬 明彦(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室)
  • 平田 睦子(国立医薬品食品衛生研究所 総合評価研究室)
  • 松下 拓(北海道大学 大学院工学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
43,810,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
水道水質基準の逐次見直し等に資すべき化学物質や消毒副生成物,病原生物等を調査し,着目すべき項目に関してそれらの存在状況,監視,低減化技術,暴露評価とリスク評価に関する研究を行い,水道水質基準の逐次改正等に資するとともに,水源から給水栓に至るまでの水質リスク管理のあり方に関して提言を行う.
研究方法
無機物質,一般的な有機物,微生物,消毒副生成物,農薬,寄与率,リスク評価の7課題群-研究分科会を構築し,研究分担者11名の他に40もの水道事業体や研究機関などから60名の研究協力者の参画を得て,各研究分担者所属の施設のみならず様々な浄水場などのフィールドにおける実態調査を行った.
結果と考察
高pH,ピコプランクトン発生時の凝集処理が困難な条件においても,塩基度を高めたPACを用いることによって,良好な処理水が得られ,残留アルミニウム濃度も低濃度であった.実態調査の結果,炭素鎖が8以上の有機フッ素化合物は活性炭の交換頻度を上げることにより若干除去され,EDTAも高度浄水処理により濃度低下が認められた.EDTA濃度は,目標値500μg/Lの1/10以下の濃度であった.新クリプトスポリジウム等検査法の全国試行では,遺伝子断片の残存を検出する遺伝子検出法と形態を確認する顕微鏡法で結果が異なることが分かった.ニトロソジメチルアミン前駆物質の4候補の内, 1,1,1‘,1’-テトラメチル-4,4‘-(メチレンp-フェニレン)ジセミカルバジドの生成効率は63.1%でもっとも高いことが分かった.しかし,4物質のNDMA-FP(O3)への寄与は全体で3?26%程度に留まった.検出実測データと出荷量やADI等の指標を用いて,水道水質基準においてリストアップすべき農薬の分類見直しのための解析を行い,検出可能性80%以上を基準として,現行の第1群以外に28農薬を選択した.水道水質基準設定のための水道水寄与率に関する知見の収集と考え方の整理を行い,食品と水道水からのウランの摂取量について試算を行い,現基準値の水の飲用を仮定した際のリスクは低レベルであることを明らかにした.これまでに提案されている化学物質の複合暴露によるリスク評価手法を整理した.確率論的アプローチを用いてホウ素の新規不確実係数及びその分割値を試み,0.13 mg B/kg/dayがホウ素の耐容一日摂取量として適切であると考えられた.
結論
水道原水の状況,水道水に含まれる物質の検出方法,浄水過程における低減化法,毒性情報,暴露量への寄与など水道水質基準の基礎となる多数の知見が得られた。主要な知見は「結果と考察」のとおりである.

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134011Z