健康危機事象の早期探知システムの実用化に関する研究

文献情報

文献番号
201134008A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機事象の早期探知システムの実用化に関する研究
課題番号
H22-健危・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大日 康史(国立感染症研究所 感染症情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 岡部信彦(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 谷口清州(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 菊池清(島根県立中央病院)
  • 杉浦弘明(すぎうら医院)
  • 中山裕雄(中山小児科内科医院)
  • 神谷信行(東京都健康安全研究センター)
  • 藤本嗣人(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 中野道晴(北海道立衛生研究所)
  • 菅原民枝(国立感染症研究所 感染症情報センター )
  • 山本康仁(都立広尾病院小児科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
120,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機の早期探知、情報共有のシステムを構築、有効な活用を目的とし、学校欠席者情報収集システム、薬局サーベイランス等の開発・改良、普及を図り、活用事例を整理するとともに問題点を克服する。もって、全国で常時運用される態勢を確立し、近い将来での事業化につなげる。本年度は特に東日本大震災の発生を受けて、これまでのノウハウを「避難所サーベイランス」という形で迅速に提供した。
研究方法
避難所サーベイランスは各避難所からPCまたは携帯電話より、避難所での日々の感染症による症状に係る情報を収集する。学校欠席者情報収集システムでは児童生徒毎の管理を行う個別入力システムを開発する。薬局サーベイランスでは対応レセコンを拡大するための実証的な研究や、アシクロビル製剤、抗菌薬についても検討を深める。またこれらを用いて、日中韓サミットと韓国大統領訪日において、バイオテロ対策として強化サーベイランスを実施した。本年度からの新たな取り組みとして医療機関での迅速診断検査のオーダー及び結果に関するサーベイランス、及び学校や薬局のサーベイランス等で探知された異常に対する病原体診断の取り組みを試験的に行う。
結果と考察
避難所サーベイランスは3月末に福島県で、5月から宮城県で運用を開始した。学校欠席者の個別入力システムはインターネット上のシステムである従来の学校欠席者情報システムとは切り離して、学校のパソコンのローカルなシステムとした。薬局サーベイランスでの対応レセコン拡大のための開発を完了し、実験を実施した。日中韓サミット・韓国大統領訪日では強化サーベイランスを東京都と国立感染症研究所とで共同実施した。迅速診断検査のサーベイランスは4医療機関で試験的に実施した。不明感染症に対する病原体診断は、試験的に実施した。
結論
今年度は薬局サーベイランスの精度を上げ、また学校欠席者情報収集システムも全国の1/3以上の地域と学校をカバーすることとなり、全国的な運用が行えるようになってきた。常時運用していることによってインフルエンザの早期探知や麻疹・風疹の対策として非常に有効であることがアンケートから示された。またそのノウハウを東日本大震災の際にも速やかに応用でき、公衆衛生上の貢献ができた。検査におけるサーベイランスは、本来症候群サーベイランスの欠点である特異度の低さを補う方法として期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134008Z