健康危機事象の早期探知システムの開発・普及に関する研究

文献情報

文献番号
201134007A
報告書区分
総括
研究課題名
健康危機事象の早期探知システムの開発・普及に関する研究
課題番号
H22-健危・一般-002
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
浅見 泰司(東京大学 空間情報科学研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 郡山 一明(財団法人救急振興財団救急救命九州研修所)
  • 有川 正俊(東京大学 空間情報科学研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
10,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
健康危機情報を自動収集し、空間関係を分析・評価して健康危機事象の早期探知に資するシステムを開発し、有効性を評価する。WebSDMSS(ウェブ空間ドキュメント管理共有サービス)を中心とした、平時における地理空間情報のネットワーク共有、および健康危機発生時におけるリアルタイムの地理空間情報伝達の枠組みを全国レベルに広げる。また、健康危機事案における空間情報の有用性を検証するため、健康危機現象の空間情報分析を行なう。
研究方法
SDMSの操作性や機能を継承したウェブ版のSDMS、WebSDMSSを開発し、健康危機対策業務において、地理空間情報を日常的に利用でき、意思決定を適切に迅速に行える利用者環境の実現をめざす。健康危機事案として、2011年の福島第一原子力発電所爆発事故2009年の新型インフルエンザを取り上げる。それぞれについて空間線量率、小学校欠席率を空間情報として把握し、空間補間することで危機拡大性、拡大方向を検証する。
結果と考察
収集した健康危機情報の質の維持と制御方法、異常検出を半自動的に行う方法、ユーザ独自のバックアップ・リロード機能、ユーザ辞書機能、ユーザ独自の地図のアドホック編集機能の機能拡張を行った。福島第一原発事故では地域避難に資するために設置されたはずのSPEEDIが使用できないことが知られているが、実際には、簡易的に配置された空間線量計のデータを空間補間することで、後に公表された地域汚染データとほぼ同一の情報を得ることが可能であることが示された。感受性人口、感染人口、隔離人口の時間的変化を表すSIRモデルにもとづき、地域間影響を考慮した流行のモデル化をおこない、仙台市の全市立小学校を対象としたインフルエンザによる欠席者数、およびパーソントリップ調査データを校区単位に再集計したトリップ数を用いて、流行モデルからパラメータを推計した。
結論
今後、システムの改善を図るとともに、健康危機管理の現場で実験的利用を行う。リアルタイム情報源からのコンテンツの自動収集・自動地図化の実証実験を行い、有効性の検証を行う。さらに、リアルタイム情報からの異常検出に関しても、単純なキーワード検索だけではなく、複雑なパターンでも検出できる枠組みの検討と実験を行う。簡易的な空間線量計を用いて危機管理体制を構築するガイドラインを作成する。感染症流行にどのような空間的要因が影響しているのか考察する。

公開日・更新日

公開日
2012-12-25
更新日
-

収支報告書

文献番号
201134007Z