文献情報
文献番号
201134004A
報告書区分
総括
研究課題名
居室における中間周波電磁界に関する研究
課題番号
H21-健危・一般-008
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
大久保 千代次(一般財団法人 電気安全環境研究所 電磁界情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 多氣 昌生(首都大学東京 都市教養学部)
- 石井 一行(明治薬科大学 )
- 小笠原 裕樹(明治薬科大学 )
- 池畑 政輝(鉄道総合技術研究所)
- 吉江 幸子(鉄道総合技術研究所)
- 欅田 尚樹(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 牛山 明(国立保健医療科学院 生活環境研究部)
- 鈴木 敬久(首都大学東京 都市教養学部)
- 和田 圭二(首都大学東京 都市教養学部)
- 中園 聡(電力中央研究所)
- 藤森 加奈子 (和氣 加奈子)(独立行政法人情報通信研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
18,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
中間周波電磁界を利用した機器の健康影響に関する科学的情報が不足なため、国民の間にはこれらの機器からの電磁界の健康影響に対する不安が発生しており、健康安全・危機管理として早急な対応が求められている。本研究は、そのハザードの有無について、細胞や動物を用いた基礎的な研究により追究することを目的としている。
研究方法
電磁界の生体影響評価研究では電気工学的な定量が不可欠であるため、研究を電気工学班、細胞研究班、動物研究班の3班が共同研究を実施した。各班の研究方法は結果に記載した。
結果と考察
電気工学班では昨年度開発した動物用局所磁界ばく露装置に関して、解剖学的構造の考慮し、位置の移動とそのときの頻度をふまえた不確定性の検討を行い、動物実験の発生毒性の評価において、内部誘導電界の変動量が大きくなる胎児群と内部誘導電界の変動量が小さく胎児群に分けることを提案した。また、ばく露装置の磁界の波形に関して、現実のIH調理器の波形を反映するため、低周波での振幅変調に関する検討から、ソフトウェアの変更のみで振幅変調が実際に行えることがわかった。
細胞実験班では、開発したin vitro試験用IF磁界ばく露装置(21kHzにおいて最大3.9mT(ICNIRPガイドラインにおける公衆ばく露の参考レベルの144倍)を発生)を用いて、レポーター遺伝子を導入したヒト乳がん由来細胞(MCF-7)のエストロゲン応答性、DNAメチル化およびマウスES細胞の分化に対するIF磁界ばく露の影響評価を行った結果、遺伝子やその発現、また分化に対して顕著な影響を与えないことが明らかとなった。
動物実験班では、電気工学班と協働し、実験動物へ21kHzの磁界をばく露するための装置の開発し、妊娠ラットの胎児器官形成期にあたる妊娠7日-17日に1日1時間、腹部局所ばく露をおこなった際の胎児への発生への影響を調べた。腹部表面の中心磁束密度で国際ガイドラインの約400倍にあたる10.3mTの磁界ばく露を行っても奇形の発生率に影響は見られなかった。
細胞実験班では、開発したin vitro試験用IF磁界ばく露装置(21kHzにおいて最大3.9mT(ICNIRPガイドラインにおける公衆ばく露の参考レベルの144倍)を発生)を用いて、レポーター遺伝子を導入したヒト乳がん由来細胞(MCF-7)のエストロゲン応答性、DNAメチル化およびマウスES細胞の分化に対するIF磁界ばく露の影響評価を行った結果、遺伝子やその発現、また分化に対して顕著な影響を与えないことが明らかとなった。
動物実験班では、電気工学班と協働し、実験動物へ21kHzの磁界をばく露するための装置の開発し、妊娠ラットの胎児器官形成期にあたる妊娠7日-17日に1日1時間、腹部局所ばく露をおこなった際の胎児への発生への影響を調べた。腹部表面の中心磁束密度で国際ガイドラインの約400倍にあたる10.3mTの磁界ばく露を行っても奇形の発生率に影響は見られなかった。
結論
電気工学的に詳細なばく露装置とばく露評価のもと、最大ICNIRPガイドラインにおける公衆ばく露の参考レベルの144倍の強さの中間周波磁界をばく露しても細胞レベルで何らの影響は認めらず、動物実験でもガイドラインの約400倍の磁界ばく露を行っても奇形の発生率に影響は見られなかった。
公開日・更新日
公開日
2012-12-25
更新日
-