ECにおける福祉技術推進総括調査

文献情報

文献番号
199800020A
報告書区分
総括
研究課題名
ECにおける福祉技術推進総括調査
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
加倉井 周一(北里大学医療衛生学部)
研究分担者(所属機関)
  • 青木主税(北里大学医療衛生学部)
  • 山内繁(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所)
  • 野村歓(日本大学理工学部建築学科)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ヨーロッパ統一機構の準備段階として1990年代半ばに11ケ国が参加して行われたHEART(Horizontal European Activities in Rehabilitation Technology)プロジェクトの概要調査を通じて、高齢社会に突入した我が国の福祉技術応用の問題を併せて検討する。
研究方法
HEARTプロジェクトの概要把握(資料入手を含む)、HEARTプロジェクトの特徴と問題点の把握(我が国の実情との対比)を通じて、提言を行う。
結果と考察
HEARTプロジェクトは1.試験と標準化 2.企業間・企業内の一貫性 3.ユーザーへのサービス提供 4.現状の法制度(関税・承認基準など) 5.福祉技術関連職種の教育と訓練 6.研究開発の動向 の6項目より構成され、各々につき膨大な報告書が刊行されている。ECも我が国と同様に高齢化の波が押し寄せており、高齢者/障害者数は6~8千万人と推定されている。これらの人々に福祉技術を応用することは極めて重要であり、福祉技術の統一市場実現のための現状分析の結果、福祉技術の市場は各国のさまざまな背景のため異質化・複雑かつ細分化していること、福祉技術領域に携わる関係者の共通認識の欠如、高齢者/障害者への不利益(特にアクセス)が存在するなどの問題点が判明した。一方、福祉機器の標準化・研究開発の面では協力体制が認められる。EC条約を将来改正する際には、高齢者/障害者への差別の撤廃、各国のさまざまな規制の排除が強く望まれる。技術移転のメカニズムは地域的、国家的及びECレベルで対応すべきであり、これらの提案を実現するためには新しい組織が必要としている。
結論
実際には社会的・経済的格差のあるヨーロッパ各国の建前と本音の態度の違いはあるものの、EC統一という理想の立場からの取り組み方を分析して改めてECと我が国の差が大きいことを痛感した。我が国でも公的介護保険の導入など新しい対応に迫られているが、システム全体の抜本的改善はともかくとして、我が国及びECに共通する問題点ー福祉技術の評価(有効性、エンドユーザー/介護者のQOLの見地からの評価、費用/効果判定、数理経済学手法の導入など)の早急かつ具体的実現が強く望まれる。

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研究報告書(紙媒体)

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