中枢神経系の発達に及ぼす化学物質の影響に関する試験法の開発

文献情報

文献番号
201133018A
報告書区分
総括
研究課題名
中枢神経系の発達に及ぼす化学物質の影響に関する試験法の開発
課題番号
H22-化学・若手-009
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
藤岡 宏樹(東京慈恵会医科大学 医学部・分子細胞生物学研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 馬目 佳信(東京慈恵会医科大学 医学部)
  • 花田 三四郎(国立国際医療研究センター 研究所)
  • 井上 由理子(東邦大学 医学部)
  • 叶谷 文秀(国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
3,693,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究は化学物質、特にナノマテリアルの中枢神経に与える毒性学的な影響を「細胞を使った評価法」・「脳スライス培養法(ex vivo)を使った評価法」・「動物個体を使った評価法」の3つの評価法を関連付けることで、「個体における中枢神経への影響を、細胞・脳スライス培養の評価から高精度に予測できる試験法」を開発することを目的とするものである。
研究方法
 本年度は、特に細胞、及び脳スライス培養での評価法の構築を進めた。
 細胞を使った評価法では、ヒト神経幹細胞株、及びマウス大脳皮質初代培養細胞を用いた細胞毒性の評価を行った。また、ラット中枢細胞で構成された血液脳関門モデルでのナノ粒子透過性の評価を行った。
 脳スライス培養を用いた評価法では、マウス脳を薄切培養し、更にナノ粒子との共培養を行った。共培養後にmRNAを取得し、次世代シークエンサーによる遺伝子発現の網羅的解析を行った。
結果と考察
 ヒト神経幹細胞株、及びマウス大脳皮質初代培養細胞を用いた細胞毒性の評価では、高濃度時の細胞形態の異常を見出すことができた。血液脳関門モデルによる評価では、サイズ100 nm未満の粒子の透過性を見出した。
 脳スライス培養法では、酸化チタンナノ粒子を共培養した際の遺伝子変化を、次世代シークエンサーにより網羅的に解析した。この結果から、共培養することで発現される遺伝子群(ALS関連遺伝子、アルツハイマー病関連遺伝子、及び細胞死関連遺伝子など)を明らかにした。
結論
 本年度の研究によって、細胞形態による評価法、血液脳関門モデルによる評価法を構築した。更に、ナノ粒子が与える神経への影響を示すマーカー遺伝子候補を取得することができた。今後、これらの成果を動物個体での結果と比較するとともに、多種類のナノ粒子で検討、本評価法の有用性と限界点を検証する。

公開日・更新日

公開日
2012-04-12
更新日
-

収支報告書

文献番号
201133018Z