文献情報
文献番号
201133017A
報告書区分
総括
研究課題名
家庭用品から放散される揮発性有機化合物の気道刺激性及び感作性を指標とするリスク評価
課題番号
H22-化学・一般-007
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
香川 聡子(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
- 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部 )
- 神野 透人(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部 )
- 熊谷 嘉人(筑波大学大学院 人間総合科学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
16,518,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
研究目的:本研究は、シックハウス症候群やアレルギー性鼻炎、気管支喘息の発症・増悪要因と考えられる室内環境化学物質として、特に家庭用品から放散される様々な揮発性有機化合物の気道刺激性及び気道感作性を明らかにするとともに、家庭用品からの放散速度を基に算出した推計暴露量を考慮に入れて生活環境中での健康リスクの蓋然性を判定することにより、指針値策定等のリスク管理が必要と考えられる室内空気中の揮発性有機化合物を特定することを目的とする。
研究方法
研究方法:家庭用品から放散される可能性のある化学物質についてin vitro試験法によって気道刺激性及び感作性を評価した。気道刺激性については、化学物質刺激等の侵害受容に関与するTransient Receptor Potential (TRP) イオンチャネルの活性化を指標とした。感作性についてはLLNA:DA法及びh-CLAT法を適用した。また、家庭用品から放散される揮発性有機化合物についてmicroCTE法による放散試験、GC/MS測定・デコンボリューション解析により評価した。
結果と考察
結果と考察:気道刺激性に関する研究では、溶剤等の様々な用途で多用されているグリコールエーテル類や脂肪族アルコール類にTRPV1/TRPA1イオンチャネルを活性化する化合物が見いだされた。特に、香料成分として洗剤等の家庭用品にも使用される脂肪族アルコール類が比較的低濃度領域で顕著な活性化を引き起こすことが判明した。感作性に関する研究では、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、フマル酸エステル類及びマレイン酸エステル類について評価し、構造活性相関について考察した。さらに、気道刺激・感作メカニズムに関する分子毒性学的な研究では、1,4-ナフトキノンに対する抗体を作製し、その細胞内標的分子を探索した。また、化学物質の放散に関する研究では、家庭用カーペット20製品について放散化学物質の定量的な評価を行い、調査した65%の製品については、その使用によって室内空気質総揮発性有機化合物の暫定目標値を超える室内汚染が引き起こされる可能性を示した。また、評価したすべての製品から、シックハウス症候群との因果関係が指摘されており、本研究でもTRPイオンチャネルの活性化を引き起こすことが判明した2-Ethyl-1-hexanolが放散されること、脂肪族アルコール類が高頻度に比較的高濃度で放散されることを明らかにした。
結論
結論:実際に家庭用品から放散することが確認された化合物に気道の刺激及び感作を引き起こす可能性があることが示された。
公開日・更新日
公開日
2012-06-08
更新日
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