ナノマテリアルの経皮・吸入曝露実態の解析基盤および経皮・吸入毒性評価基盤の確立とヒト健康影響情報の集積に関する研究

文献情報

文献番号
201133016A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノマテリアルの経皮・吸入曝露実態の解析基盤および経皮・吸入毒性評価基盤の確立とヒト健康影響情報の集積に関する研究
課題番号
H22-化学・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
堤 康央(大阪大学 薬学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 八木 清仁(大阪大学 薬学研究科)
  • 齋藤 滋(富山大学大学院 医学薬学研究部)
  • 柳原 格(大阪府立母子保健総合医療センター研究所)
  • 宮川 剛(藤田保健衛生大学 総合医科学研究所)
  • 河合 裕一(神戸学院大学 薬学部)
  • 桑形 麻樹子((財)食品薬品安全センター秦野研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
52,107,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
昨今、ナノマテリアル(NM)の安全性が世界的に危惧されている。しかしハザード情報の集積でさえ未だ不十分であるうえ、NMのリスク解析とその評価、そして将来的なリスク管理に必須となる曝露実態情報に関しては、国内外を問わず皆無に等しい。そのため、NMの曝露実態情報を含めた安全性評価研究をより一層推進し、さらに安全なNMの開発を支援・促進できる「ナノ安全科学」との推進が必須となるものと考えられる。本研究では各種NMの経鼻・吸入曝露後の安全性情報の集積を目的に、リスク解析と将来的なリスク管理に必須となる曝露実態情報とハザード情報の収集を実施した。
研究方法
ナノシリカ(nSP)やサブナノ白金(snPt)、サブナノ銀(snAg)を主に用いた。
結果と考察
曝露実態に関しては、1)微量同定・定量解析基盤の追求により、snPt、snAgが経皮吸収されること、その後、全身分布し得ることなどを初めて見出した。またハザード情報に関しては、2)snPt が胎仔発育不全を誘発すること、snPt やnSPを胎仔期に曝露したマウスに情動・認知障害が生じ得ること、さらに、nSPがアトピー性皮膚炎の悪化やアレルギーの誘発に関与し得ることを新たに見出した。さらに、トキシコプロテオミクス解析によりヘモペキシンなどの新たなナノ安全性バイオマーカーを同定しただけでなく、miRNAも高確度・高感度なナノ安全性評価マーカーになり得ることを見出した。また3)OECDテストガイドラインに関して、snPtのインターラボ間でのバリデーションを完了した。一方で4)種々ナノ産業との連携を密に取りつつ、既に実用化されているナノマテリアルの安全性評価や安全性情報の提供、安全なNMの開発支援を行った。さらに、新たな解析方法の確立に向けて抗シリカ抗体の創出や、催奇形性試験のin vitro代替法の確立にも取り組み、当初目標を超える特筆すべき成果が得られた。
結論
snPtやsnAgなどサブナノマテリアルの曝露実態の解明に重要な検出系の構築に成功し、体内吸収率を明らかにするなど、NMのリスクを考える上で最も重要な曝露情報の収集を達成し、独自のNano-Safety Science研究が、ヒト健康・環境の安全確保を実現、さらには本邦のナノマテリアル産業の発展とその支援、また国際貢献に極めて有用であることを見出した。

公開日・更新日

公開日
2012-05-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201133016Z