個体の成長期における神経系および肝臓系細胞の機能解析による化学物質の健康影響評価法に関する研究

文献情報

文献番号
201133014A
報告書区分
総括
研究課題名
個体の成長期における神経系および肝臓系細胞の機能解析による化学物質の健康影響評価法に関する研究
課題番号
H22-化学・一般-004
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
宇佐見 誠(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤薫(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部 )
  • 諫田泰成(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部 )
  • 石田誠一(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部 )
  • 簾内桃子(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部 )
  • 関野祐子(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 化学物質リスク研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
39,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、神経系および肝臓系の細胞を用いた、発生・発達・再生過程の神経系においての、メカニズムのみならず薬物動態を考慮したヒトへの外挿を可能とする、個体の成長期における化学物質の健康影響評価法の確立を目的とする。前年度は、実験系の確立および新生児肝における薬物動態関連因子の発現解析に関する検討を行った。今年度は、確立した実験系を用いて、毒性発現メカニズムに基づく化学物質の健康影響評価法としての有用性について調べた。
研究方法
前年度に確立した、神経堤細胞の機能解析法、発達成長期の脳神経系におけるニューロン・グリア新生評価実験法、神経幹/前駆細胞の培養法、及び胎児肝細胞の培養実験系を用いて、毒性発現メカニズムに基づく化学物質の健康影響評価法としての有用性について調べた。また、新生児肝における薬物動態関連因子の発現解析を行った。
結果と考察
ラット神経堤細胞遊走実験法を用いて、RhoバスウェイのキナーゼであるROCKの、阻害剤による遊走促進および活性化剤による遊走抑制を明らかにした。新生ラット前脳矢状面切片培養系において、オリゴデンドロサイト分化および遊走に対する正の作用も検出可能であることを明らかにした。ヒトEmbryonic Carcinoma細胞株由来の神経幹/前駆細胞を用いて、ミトコンドリアの酸素消費量およびPGC1の発現低下を指標に、毒性を評価できることを明らかにした。ヒト胎児由来培養肝細胞のメタボローム解析では、成人肝細胞がアミノ酸代謝過程で産生するアンモニアを、胎児肝細胞由来の細胞では別な経路で代謝していることが示唆された。幼若期ヒト肝細胞においては、尿素系除草剤リニュロン並びにメチルコラントレンおよびオメプラゾールにより、薬物代謝酵素のCYP1ファミリーが強く発現誘導されることを示した。発達期における脳の扁桃体、小脳、海馬での、脳スライスイメージングによるGABA放出の定量的解析を行い抑制性神経回路に及ぼす化学物質の影響を検討した。
結論
本研究による化学物質の健康影響評価法は、健康被害を受けやすい遺伝的・環境的要因を持つハイリスク集団の特定、および感受性の高い個体についても安全を確保できるような安全係数の実験データに基づく決定法の確立、等に寄与することが期待される。

公開日・更新日

公開日
2012-06-15
更新日
-

収支報告書

文献番号
201133014Z