地域歯科医療における感染症に対する危機管理システムの検討

文献情報

文献番号
199800016A
報告書区分
総括
研究課題名
地域歯科医療における感染症に対する危機管理システムの検討
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
花田 信弘(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 田沢光正(岩手県庁)
  • 佐藤保(岩手県歯科医師会)
  • 及川慶一(岩手県医師会)
研究区分
厚生科学研究費補助金 行政政策研究分野 政策科学推進研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「感染症の予防および感染症の患者に対する医療に関する法律案」が施行されたが、歯科の分野では十分な感染症に対する危機管理の検討がなされていない。在宅訪問診療や老人介護施設における歯科診療に際してどのような病原体に遭遇しているのかを具体的に調査し、その対策を立案する。
研究方法
特別擁護老人ホームの要介護老人の歯垢(表層)、咽頭ぬぐい液を検体として、細菌・真菌を分離した。
結果と考察
呼吸器系感染症の微生物が多数検出された。主な検出菌は以下の通りである。 黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus (MSSA、MRSA) ;Streptococcus pneumoniae(肺炎球菌) ;Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌);Branhamera catarrhalis ;Klebsiella ozaenae;Klebsiella pneumonia(肺炎桿菌);Haemophilus influenzae(インフルエンザ菌); Haemophilus parainfluenzae(パラインフルエンザ菌); Candida albicans ;Candida glabrata;Candida tropicalis 。黄色ブドウ球菌に限らず、インフルエンザウイルスの活性の増強、肺炎の増悪が指摘されている細菌は多い。しかも、これらの菌はいずれも今回の特別養護老人ホームの調査で口腔から検出されている。呼吸器系感染症の菌群が口腔から多数検出される以上、何らかの対策が必要であると思われる。
結論
平成10年度は、高齢者の歯や義歯にはどのような病原体が定着しているのかを調べた。その結果、口腔からは呼吸器系感染症に関連する病原体が多数検出されることがわかった。口腔・上気道部の菌は、インフルエンザの大流行や老人の誤嚥性肺炎との関連が指摘されているので、何らかの健康危機対策が必要であることが示唆された。

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