文献情報
文献番号
201132066A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品を巡る環境の変化と生物学的製剤基準の在り方に関する研究
課題番号
H23-医薬・指定-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
加藤 篤(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
研究分担者(所属機関)
- 岩城正昭(国立感染症研究所 細菌第二部)
- 駒瀬勝啓(国立感染症研究所 ウイルス第三部)
- 板村繁之(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
- 白土東子(国立感染症研究所 ウイルス第二部)
- 浜口 功(国立感染症研究所 血液安全性研究部)
- 野島清子(国立感染症研究所 血液安全性研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
安全で有効なワクチンを提供するために薬事法に基づき生物学的製剤基準(生物基)が設けられ、その生物基には、わが国独自の規則、試験、規格が存在する。これに対してわが国には無い海外製のワクチンを輸入するのに対して、わが国独自の試験の実施、わが国専用の製品出荷等を強いることになり、障害となっているとの指摘がある。ワクチンには国家戦略的側面があり、科学的な議論だけでは解決できない問題があるが、本研究班では科学的部分に限り検討し、海外と日本の規則・試験・規格の調和が可能かどうか、それが生物基にどの様に反映できるかを検討することを目的とした。
研究方法
日本ワクチン産業協会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合、日本製薬工業会のメンバーでワーキンググループを作り、日米欧の生物学的製剤業界の専門家による生物学的製剤基準(生物基)に対する国際会議の場を設け、欧米から見て日本の生物学的製剤基準のどこに問題があるのか、レギュラトリーサイエンスの立場から問題解決の糸口があるのかを検討した。国際会議は広く興味ある方の参加を求めた。これに加えて、分担研究者が中心となり生物基の改訂について、いくつかの製剤、試験方法について業界関係者および感染症研究所関係者を交えて検討した。
結果と考察
わが国独自の規則、試験、規格については、歴史的経緯もあり導入されたものであるためワクチンの安全性を落とすような規格変更は、ワクチン市販後調査等の結果を見て決めるべきであるとした。生物学的製剤基準(生物基)から国家検定項目が選択されているが、承認書にはより詳細な内容が書かれているので、承認書より選択される方が合目的であること、生物基の収載基準が不明確、改正時期は不定期であり、企業活動の妨げであること、生物基には国民に広く製法、基準を知らしめる意味があるが、これは企業秘密の一部を公開にあたるとの考えについては継続検討課題とすべきとした。
結論
海外製のワクチンを輸入するのに対して、わが国独自の規則、試験、規格が障害となっているとの指摘があるが、ワクチン導入に至るまでの時間に占める割合はポリシーメイキング等の事項に比べてけっして多くはない。わが国独自の規制は歴史的経緯から国民感情に沿って導入されたものであり、ワクチン市販後調査等の結果を見て緩和可能かを決めるべきである。ただし、生物学的製剤基準の今後の在り方については継続検討課題とすべきである。
公開日・更新日
公開日
2015-06-29
更新日
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