ナノ物質等を配合した化粧品及び医薬部外品の安全性及び品質確保に関する研究

文献情報

文献番号
201132065A
報告書区分
総括
研究課題名
ナノ物質等を配合した化粧品及び医薬部外品の安全性及び品質確保に関する研究
課題番号
H23-医薬・指定-016
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 杉林 堅次(城西大学 薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ナノ物質等を配合した化粧品及び医薬部外品の安全性及び品質確保をするためには、使用されるナノ物質の皮内もしくは体内移行性、及び皮膚影響を評価することが重要である。皮膚に塗布したナノ物質は毛包開口部に集積することから、その毛包内動態を速度論的に評価する。化粧品や医薬部外品は複数成分の混合製剤であり、他成分によってナノ物質の分散状態が変化し、皮膚機能に対する影響も変化する可能性がある。ナノ物質の他の化学物質との併用あるいは媒体の違いによる皮膚アレルギー反応性への関与を評価する。
研究方法
金属酸化物を各溶媒で希釈して、粒度分布を測定した。ヒト単球由来細胞株由来細胞に各ナノ物質を添加し培養後、感作性物質を加えた。更に培養し、細胞表面抗原CD54及びCD86発現率を求めた。ブタ耳を摘出し、市販サンスクリーン剤を塗布し、走査型電子顕微鏡により皮膚表面を観察し、元素マッピングした。毛嚢開口部にプラッギングした耳の皮膚、または未処理の皮膚を用いて、蛍光デキストランの皮膚透過実験を行い、皮膚表面は共焦点レーザー走査型顕微鏡で観察した。
結果と考察
シリカは一定の粒子径を保つが、酸化チタンはタンパク質含有溶媒で、酸化鉄は生理食塩水等でも著しく凝集した。シリカで前処理した細胞では感作性物質によるCD54発現量が若干増加したが、CD86発現量は変化なかった。酸化チタン及び酸化鉄について明らかな増強作用はなかった。皮膚に適用したナノ粒子は皮溝や毛嚢周辺に集積した。薬物の皮内動態を解析するテープストリッピング法では、こうした凹部に分布するナノ粒子を正しく評価できない可能性があった。毛包を塞いだ皮膚モデルを用いることで、物質の皮膚浸透性を経角層ルートおよび経毛嚢ルートに分けて評価できることが示唆された。
結論
ナノ粒子は製剤化の段階で凝集し、ナノサイズで存在する量は非常に少ないことが示唆された。製剤を皮膚に塗布すると、ナノ粒子は毛嚢等に集積しやすく、従来のガイドラインだけではナノ粒子の角層内動態を評価できないと考えられた。そのためには毛嚢プラッギング法や顕微鏡を併用した新規評価法の確立が必須と考えられた。一部ナノ粒子では皮膚感作性物質による誘導反応性の若干の増加が認められた。今後種々のナノ粒子について同様の試験を行うとともに、サイトカイン産生等の定量的な指標との比較を進め、その影響を明らかにする。

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132065Z