妊婦における医療用医薬品の安全性に関するエビデンスの構築のための薬剤疫学研究の基盤整備および実践

文献情報

文献番号
201132056A
報告書区分
総括
研究課題名
妊婦における医療用医薬品の安全性に関するエビデンスの構築のための薬剤疫学研究の基盤整備および実践
課題番号
H23-医薬・一般-006
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
栗山 進一(東北大学 大学院医学系研究科 分子疫学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 八重樫 伸生(東北大学 大学院医学系研究科 婦人科学分野)
  • 眞野 成康(東北大学病院 薬剤部)
  • 赤沢 学(明治薬科大学 公衆衛生疫学)
  • 大久保 孝義(滋賀医科大学医学部公衆衛生学部門)
  • 目時 弘仁(東北大学 大学院医学系研究科 婦人科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
妊婦における医療用医薬品使用の安全性に関して、レセプト情報を用いた薬剤疫学研究の実施可能性について検討する。
研究方法
1.既存の妊婦コホート(BOSHI研究)において、新規妊婦コホート(エコチル調査)で予定されている対面式インタビューを主体とする薬剤調査方法を評価した。2.株式会社日本医療情報センターの有するレセプトデータ等を用いて、妊婦の医薬品使用状況を評価した。3.東北大学病院薬剤部に寄せられた妊娠関連の医薬品使用に関する問い合わせ内容の集計、および単一医療機関における診療録調査に基づく妊婦の医薬品使用状況の把握を試みた。
結果と考察
1.エコチル調査で用いる薬剤調査方法では、医療用医薬品使用者の4-5%において薬効分類の判別が不可能な回答が存在し、成分名の判別が不可能な回答が12-14%存在した。2.レセプト上で同定された妊婦19,282名(平均年齢30.5±4.7歳)のうち、妊娠中に医薬品を処方されていた妊婦は98%であり、妊娠初期・中期・後期に一度でも医薬品を処方されていた妊婦はそれぞれ、58%、 55%、 87%であった。また、妊娠中に、最も多くの妊婦に処方されていた医薬品は‘単味の鉄剤’ (70%)であり、妊娠初期・中期・後期に最も多くの妊婦に処方されていた医薬品はそれぞれ、‘単味の鎮痙剤と抗コリン剤’ (12%)、‘分娩抑制剤’ (16%)、‘単味の鉄剤’ (52%)であった。3.問い合わせの集計の結果、本邦の添付文書の情報のみでは、妊娠中の薬剤使用の安全性を評価することに限界があることが明らかとなった。既存の妊婦コホートへの参加妊婦653名の93%が妊娠中に何らかの薬剤を処方されており、造血薬(76%)、子宮収縮抑制薬(40%)、解熱鎮痛薬(40%)、消化機能改善薬(20%)、抗生物質(14%)が多く見られた。妊娠初期から後期にかけて造血薬(初期3%、中期44%、後期62%)や子宮収縮抑制薬(初期9%、中期20%、後期24%)の処方が大きく増加していた。
結論
妊娠中に処方される医療用医薬品の安全性に関するエビデンスの構築が急務であることを改めて確認すると同時に、妊娠中の医薬品使用の評価を試みる中で、周産期領域において薬剤疫学研究を実施するためには、診療録調査や本人への聞き取り調査では不十分であり、レセプト情報を用いることの必然性および有用性を明らかにした。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201132056Z