血液製剤の安全性確保と安定供給のための新興・再興感染症の研究

文献情報

文献番号
201132053A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤の安全性確保と安定供給のための新興・再興感染症の研究
課題番号
H23-医薬・一般-003
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
倉根 一郎(国立感染症研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 横山 直明(帯広畜産大学 原虫病研究センター)
  • 津田 良夫(国立感染症研究所)
  • 三浦 左千夫(慶應義塾大学 医学部)
  • 百瀬 俊也(日本赤十字社 血液事業本部)
  • 岡田 義昭(国立感染症研究所)
  • 田島 茂(国立感染症研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
これまで日本には存在しなかった病原体が国内に侵入する可能性が危惧される。国内でウエストナイル熱等が発生した場合、早期に適切な献血制限地域を設定し、一方で必要な献血量を確保しなければならない。また、蚊の種類や行動範囲等の研究結果を基に制限地域を設定する必要がある。シャーガス病は南米に流行する慢性の感染症であり、南米居住歴を有する献血者の抗体保有率等を明らかにすることは輸血の安全性に貢献する。本研究は病原体やベクターの研究により献血血の安全性確保と安定供給に貢献することを目的とする。
研究方法
献血血の安全性確保と安定供給のため、変異型プリオン病、シャーガス病、およびウエストナイルウイルス等のフラビウイルスを対象として検査・スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究を行った。
結果と考察
プリオン研究については、白血球除去フィルターによって異常プリオンは除去できたが、タンパクの存在によって除去効率は阻害された。異常プリオンは exosomeと同じ挙動を取ることが示唆された。シャーガス病に関しては、先天性感染シャーガス病の調査により、日系ボリビア人男児がTrypanosoma cruzi抗体陽性であり母子ともにシャーガス病キャリアーであった。中南米地域からの定住者が多い東海四県管内における献血申込者のうち同意を得た者に対し、Trypanosoma cruzi抗体検査を実施した。44人すべて陰性であった。バベシア症については、Babesia microti の18s rDNA遺伝子を標的としたLAMP法が確立された。この方法は、PCR法より高い感度を示し、患者の血液から抽出したDNAサンプルからも標的遺伝子の増幅が認められた。ウエストナイルウイルス媒介蚊であるアカイエカの吸血蚊を用いて吸血源動物を同定し、吸血後のアカイエカの移動分散距離を推定した。アカイエカは吸血後産卵するまでの3-4日間に少なくとも、350m移動すると推定された。

結論
本研究では変異型プリオン病、シャーガス病、およびウエストナイルウイルス等のフラビウイルスを対象として検査•スクリーニング法等の開発と献血制限に関する研究を行った。スクリーニング法の開発や献血制限を検討することによって安全な血液の供給のための科学的基盤が進展した。

公開日・更新日

公開日
2012-06-11
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132053Z