新規医薬品・医療機器開発の医師主導治験を促進するためのレギュラトリーサイエンスに関する研究

文献情報

文献番号
201132050A
報告書区分
総括
研究課題名
新規医薬品・医療機器開発の医師主導治験を促進するためのレギュラトリーサイエンスに関する研究
課題番号
H22-医薬・若手-019
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 達也(京都大学医学部附属病院探索医療センター 探索医療開発部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
京都大学医学部附属病院探索医療センター(本センター)における医師主導治験や自主臨床研究の実態調査、海外における医師主導治験の実態調査などから問題点を抽出し、その解決策を立案することを目的とし、我国における医師主導治験の促進をすることを目指す。
研究方法
4つの調査研究を行った。1)本センターにおける医師主導治験につき、ボトルネックやハードルとなった内容の状況や経緯を詳細に分析調査した。2) 公開情報に基づき、国内の医師主導治験における実施例を調査した。更に、データベースに基づく国内の大学・研究機関が関与した臨床研究論文と研究費との関連性を調査した。3)本センターにおける自主臨床研究シーズにつき、研究体制、院内経費、産学連携などの実態について分析調査した。4)独国における大学でのトランスレーショナルリサーチや近隣アジア諸国の規制当局の薬事規制に関する実態を調査した。
結果と考察
1)これまでの4件の治験経験から実施手順や体制を活用し、強力な支援体制が確立してきた。一方で今後の課題として人材不足、資金調達や医師主導治験の評価などがあげられた。2) 2004年から2012年の8年間で医師主導治験開始は、プロトコル数で69件治験届が提出された。多くは医薬品の効能・効果の適応追加であった。更に、データベースに基づく国内の大学・研究機関が関与した臨床研究論文と研究費との関連性を調査し、民間資金は少なく、国内の医学研究の多くは政府系資金の下に行われていた。3)研究体制では本センターのスタッフによる支援業務をほぼフルで行った研究は22件であり。医薬品Phase II段階や探索的臨床研究であることが多かった。4)独国のトランスレーショナルリサーチの動向が確認できた。またアジア諸国の薬事規制の実態など調査し、中国や韓国のこの10年間の取組みによって、治験環境の急激な伸張が見られた。更に、これら4つの研究成果に基づき、医師主導治験を管理・運営する解決策としては、①プロジェクト管理、②資金調達の仕組み、③人材育成とキャリアパス、④企業との事前折衝、の4点で具体案が考えられた。
結論
4つの調査研究から、現在の医師主導治験の問題点や解決策などが見え、今後の医師主導治験を促進するための貴重な情報となった。これらの研究成果より、現在の医師主導治験の問題点や解決案などが見え、今後の医師主導治験を促進するための貴重な情報となり、新規医薬品・医療機器開発の医師主導治験を促進するためのレギュラトリーサイエンスに寄与するものと考える。

公開日・更新日

公開日
2012-09-06
更新日
-

文献情報

文献番号
201132050B
報告書区分
総合
研究課題名
新規医薬品・医療機器開発の医師主導治験を促進するためのレギュラトリーサイエンスに関する研究
課題番号
H22-医薬・若手-019
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
伊藤 達也(京都大学医学部附属病院探索医療センター 探索医療開発部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
京都大学医学部附属病院探索医療センター(本センター)における医師主導治験や自主臨床研究の実態調査、海外における医師主導治験の実態調査などから問題点を抽出し、その解決策を立案することを目的とし、我国における医師主導治験の促進をすることを目指す。
研究方法
5つの調査研究を行った。1)本センターにおける医師主導治験の実施例につき、ボトルネックやハードルとなった内容の状況や経緯を詳細に分析調査した。2) 公開情報をもとに、国内の医師主導治験における実施例を調査した。更にデータベースに基づく国内の大学・研究機関が関与した臨床研究論文と研究費との関連性を調査した。3)本センターにおける自主臨床研究シーズにつき、研究体制などの実態について分析調査した。4) 海外の臨床試験データベースをもとに医師主導治験の実態を調査した。5)諸外国における大学でのトランスレーショナルリサーチや規制当局の薬事規制に関する実態を調査した。そして、これらの5つテーマより具体的な解決策を考案した。
結果と考察
1)これまでの4件の治験経験から実施手順や体制を活用し、強力な支援体制が確立してきた。一方で今後の課題として人材不足、資金調達や医師主導治験の評価などがある。2) 2004年から2012年の8年間で医師主導治験開始は、プロトコル数で69件治験届が提出された。多くは医薬品の効能・効果の適応追加であった。更に、データベースに基づく国内の大学・研究機関が関与した臨床研究論文と研究費との関連については、国内の医学研究の多くは政府系資金であった。3)研究体制では、本センターのスタッフによる支援業務をほぼフルで行った研究は22件であり。医薬品Phase II段階や探索的臨床研究であることが多かった。4)海外や日本でも研究者主導の治験の実施の場合に開発や規模に大きな差はないことが分かった。5)英国ブリストル大や独国ハイデルベルグ大のトランスレーショナルリサーチの動向が確認できた。またアジア諸国の薬事規制の実態など調査し、中国や韓国のこの10年間の取組みによって、治験環境の急激な伸張が見られた。更に、これら成果に基づき、医師主導治験を管理・運営する解決策としては、①プロジェクト管理、②資金調達の仕組み、③人材育成とキャリアパス、④企業との事前折衝、の4点で具体案が考えられた。
結論
5つの調査研究から、我国における医師主導治験や臨床研究の実施する上での課題が抽出され、またそれに対応する具体策も考えられた。これらの結果は、新規医薬品・医療機器開発の医師主導治験を促進するためのレギュラトリーサイエンスに寄与するものと考える。

公開日・更新日

公開日
2012-09-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132050C

成果

専門的・学術的観点からの成果
今回の自施設における調査分析の結果、医師主導治験では、出口を見据え企業との折衝を早期に開始し、チームとして臨床研究支援専門家がサポートし、網羅的にプロジェクトマネジメントを行うことで、全体的な試験期間の短縮並びに高品質の試験成績が得られた。我国には医師主導治験の実施可能な拠点機関が少なく、諸外国に比べ治験届出の件数は少ない。今回の成果は、医師主導治験を中心とした臨床研究の実施支援の現状と課題について横断的に検証したレギュラトリーサイエンスとしての学術的な価値は高い。
臨床的観点からの成果
希少疾患や難治性疾患は、企業での開発は難しく、アカデミアが積極的に臨床開発を行っていく必要がある。医師主導治験を実施することで、単なる臨床研究ではなく、薬事承認・一般医療を目指すことが可能となる。今回の成果は、医師主導治験準備から終了までのスキームはアカデミアにおける治験のモデルケースにも成り得、今後の治験促進・発展に大きく貢献できる。早期に薬事承認までの道筋が確立できることで、難病に苦しむ患者に福音となり、臨床的意義は大きい。
ガイドライン等の開発
現在、我国では臨床研究と治験のダブルスタンダードであり、臨床研究の出口はない。薬事承認を得るためにGCPに準拠した治験が必要である。今回の成果は、医師主導治験の現状と課題が分析でき、医師主導治験のスキームが考えらえた。また海外の医師主導治験の体制なども調査することができ、利点や欠点なども把握できた。国内発のシーズを早期開発と早期承認とするためにも、日本版INDを早期実現する必要があり、今回の成果は、そのガイドライン策定の際に重要な情報となり得る。
その他行政的観点からの成果
我国の医師主導治験や臨床研究における資金に関して調査した結果、政府系資金による運用が多かった。政府系資金は競争率も激しく、また金額も限られていることから、政府系資金のみの治験運用はほぼ不可能である。海外のアカデミアでは医師主導治験においても民間資金を導入しているところもあり、国内も政府系資金に加え民間資金により医師主導治験などが促進するようなスキームも検討していく上で、本結果は有用な情報である。
その他のインパクト
今回の成果の一部は、臨床薬理学会や臨床試験研究会学術総会等のシンポジウムで取り上げられた。アカデミアによる臨床開発に関しては、医師主導治験や臨床研究の医師や支援者などだけではなく、企業側も興味を示し関心の高さが見られた。また、今回の成果は、諸外国における医師主導治験の体制など多面的に分析し、我国の現状と課題を挙げて、今後の解決策を考案できた。これらの情報は、今後医師主導治験を促進するためのレギュラトリーサイエンスの確立に大きく貢献する。

発表件数

原著論文(和文)
4件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
7件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Tatsuya Ito
Differences in Investigator-Initiated Trials between Japan and Other Countries: Analyses of Clinical Trials Sponsored by Academia and Government in the ClinicalTrials.gov Registry and in the Three Japanese Registries
PLOS ONE , 11 (2)  (2016)
10.1371/journal.pone.0148455

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132050Z