99mTc製剤の実践的な放射化学的純度測定法の検討

文献情報

文献番号
201132048A
報告書区分
総括
研究課題名
99mTc製剤の実践的な放射化学的純度測定法の検討
課題番号
H22-医薬・若手-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
横塚 記代(国際医療福祉大学 保健医療学部 放射線・情報科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 冨沢 比呂之(国際医療福祉大学 保健医療学部 放射線・情報科学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
1,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
99mTc製剤の中でも使用頻度と標識不良の報告が比較的多い99mTc-HMDP、99m-MAA、99mTc-ECDの3製剤における迅速かつ簡便な放射化学的純度測定法を提案することを最終目的とした。当該年度の研究では、99m-MAAと99mTc-ECDの迅速なクロマトグラフィの材料を検討し、3製剤の迅速な放射線量測定の条件を検討し、それらをまとめたマニュアルを作成することを目的とした。
研究方法
99mTc-MAAと99mTc-ECDのクロマトグラフィに使用するろ紙または薄層板、および展開溶媒について、速く展開でき、かつ従来の方法による算出結果と差が生じない材料を実験によって検討した。その後、検討した材料を用いて、より速く測定する条件の検討として、クロマトグラフィにおける試料のスポット量と展開時間、シンチレーションカメラでの収集条件を調べた。放射線量の測定では、シンチグラム上に設定する関心領域の範囲や形状、画像表示について、簡便かつ誤差が生じにくい手法を検討した。さらに、99mTc-MAAでは、キュリーメータの使用の可否とろ紙の切断位置の検討も合わせて行った。上記の方法で検討した条件や手法をマニュアル化し、2施設の9名によるマニュアル試行を実施した。
結果と考察
99mTc-MAAのクロマトグラフィでは、ワットマン3MMのろ紙と85%アセトン水溶液の展開溶媒、スポット量5μlにより、7分で展開が可能であった。99mTc-ECDでは、支持体がアルミニウムの逆相シリカゲル薄層板とアセトン:0.5M酢酸アンモニウム水溶液=2:3の展開溶媒、スポット量2μlにより、15分で展開が可能であった。99mTc-HMDPについては、スポット量2μlにより10分で展開が可能であった。
展開後のろ紙および薄層板の撮像条件は、低エネルギー用汎用型およびスペクト汎用型の何れを使用しても、マトリックスが128のとき、3分以上の収集で測定値が安定することが確認された。シンチグラム上の関心領域を設定する際には、最高値が30%程度の画像表示諧調で、矩形の関心領域を設定することが望ましい。99mTc-MAAでのキュリーメータの使用は可能であるが、測定に時間を要することが確認されたため、実用的ではないと考えられる。
マニュアル施行は、全員が順調に実施でき、測定値も検査に使用できる推奨値を超えていたことから、実践的なマニュアルが作成できたといえる。
結論
迅速な条件や手法の検討と簡便なマニュアルによって、99mTc-HMDP、99m-MAA、99mTc-ECDの実践的な放射化学的純度測定法を提案することができた。

公開日・更新日

公開日
2012-09-06
更新日
-

文献情報

文献番号
201132048B
報告書区分
総合
研究課題名
99mTc製剤の実践的な放射化学的純度測定法の検討
課題番号
H22-医薬・若手-017
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
横塚 記代(国際医療福祉大学 保健医療学部 放射線・情報科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 冨沢 比呂之(国際医療福祉大学 保健医療学部 放射線・情報科学科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
99mTc製剤の中でも使用頻度と標識不良の報告が比較的多い99mTc-HMDP、99m-MAA、99mTc-ECDの3製剤における迅速かつ簡便な放射化学的純度測定法を検討し、それらマニュアル化することで、知識や経験を問わずに臨床現場で実用可能な測定法を提案する。
研究方法
クロマトグラフィに使用するろ紙または薄層板、および展開溶媒について、速く展開でき、かつ従来の方法による算出結果と差が生じない材料を実験によって検討した。その後、検討した材料を用いて、より速く測定する条件の検討として、クロマトグラフィにおける試料のスポット量と展開時間、シンチレーションカメラでの収集条件を調べた。放射線量の測定では、シンチグラム上に設定する関心領域の範囲や形状、画像表示について、簡便かつ誤差が生じにくい手法を検討した。さらに、99mTc-MAAでは、キュリーメータの使用の可否とろ紙の切断位置の検討も合わせて行った。上記の方法で検討した条件や手法をマニュアル化し、2施設の9名によるマニュアル試行を実施した。
結果と考察
99mTc-HMDPのクロマトグラフィでは、シリカゲル高性能薄層板と1M塩化アンモニウム:1M尿素:酢酸=70:28:2の展開溶媒、スポット量2μlにより、10分で展開が可能であった。99mTc-MAAでは、ワットマン3MMのろ紙と85%アセトン水溶液の展開溶媒、スポット量5μlにより、7分で展開が可能であった。99mTc-ECDでは、支持体がアルミニウムの逆相シリカゲル薄層板とアセトン:0.5M酢酸アンモニウム水溶液=2:3の展開溶媒、スポット量2μlのクロマトグラフィでは、15分で展開が可能であった。
シンチレーションカメラでの撮像条件は、低エネルギー用汎用型およびスペクト汎用型の使用とも、マトリックスが128のとき、3分以上の収集で測定値が安定することが確認された。シンチグラム上の関心領域を設定する際には、最高値が30?50%の画像表示諧調で、矩形の関心領域を設定することが望ましい。99mTc-MAAでのキュリーメータの使用は可能であるが、測定に時間を要することが確認されたため、実用的ではないと考えられる。
マニュアル施行は、全員が順調に実施でき、算出された測定値も検査に使用できる推奨値を超えていたことから、実践的なマニュアルが作成できたといえる。
結論
迅速な条件や手法の検討と簡便なマニュアルによって、99mTc-HMDP、99m-MAA、99mTc-ECDの実践的な放射化学的純度測定法を提案することができた。

公開日・更新日

公開日
2012-09-06
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201132048C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本邦における従来の方法は、精度を重視していたことから専門知識や経験、時間を要していた。本研究によって、99mTc-HMDP、99m-MAA、99mTc-ECDの3製剤の品質管理を迅速かつ簡便に実施できる測定法を提案することができた。特に、放射線量の測定法においては、今まで確立されていなかったことから、放射化学的純度測定における全ての工程でより実践的な方法となった。
臨床的観点からの成果
迅速な放射化学的純度測定に用いるろ紙や薄層板、展開溶媒の種類だけではなく、それらを臨床現場で取り扱いやすい条件や環境についても検討した。さらに、知識や経験の有無を問わずに実施できるマニュアルを作成したことにより、臨床現場での測定が容易になったと推測される。特に、対象とした3製剤は、検査での使用頻度が高く、標識不良の報告も比較的多かった製剤であるため、本研究の有用性は高いと思われる。
ガイドライン等の開発
迅速かつ容易に放射化学的純度を測定できるマニュアルを試作したが、検討した製剤や試行施設が少ないことから、ガイドラインの開発には至っていない。平成24年度以降の研究によって、他の製剤についても検討し、ガイドラインへの移行を推進していく。
その他行政的観点からの成果
99mTc製剤の調製や品質管理の施行者については、PET製剤のように職種の特定が行われていない。本邦の現状では、医師、薬剤師、医師の監督のもとで診療放射線技師の3つの職種が携わる場合が多い。職種に関係なく、臨床現場で放射性医薬品の品質管理を推進していくためには、本研究の測定法が適用しやすいと考えられる。
その他のインパクト
放射性同位元素を体内に投与する核医学検査においては、放射性医薬品の調製に不具合があった場合、検査精度の低下ばかりではなく、再検査による無用な被ばくを与えてしまう可能性がある。そのため、日常的あるいは最低でも定期的な品質管理が必要である。本研究の成果を提案することで、放射性医薬品の品質管理の重要性と必要性を周知する効果があると思われる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-07-02
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132048Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,820,000円
(2)補助金確定額
2,618,000円
差引額 [(1)-(2)]
-798,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,081,518円
人件費・謝金 70,200円
旅費 40,800円
その他 5,482円
間接経費 420,000円
合計 2,618,000円

備考

備考
物品納入時期(ガンマカメラのMOドライブ)が遅れたため、前年度より必要経費(798,000円)を繰り越したため。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-