医薬品添加剤等の安全確保に関する研究

文献情報

文献番号
201132046A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品添加剤等の安全確保に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-医薬・指定-033
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
手島 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 板垣 康治(北海道文教大学 人間科学部 健康栄養学科)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 松田 勉(山形大学大学院 医学系研究科)
  • 阿曽 幸男(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 松永 佳世子(藤田保健衛生大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
4,386,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、後発医薬品の使用により、先発医薬品では起きなかった副作用が生じるケースが指摘されていることもふまえ、医薬品添加剤等によるアレルギー発現状況の実態調査や海外における対応の状況等を研究するとともに、医薬品の添付文書等で添加剤に由来するアレルギー等の副作用等に関する注意喚起の方策等を研究し、行政に向け提案することを目的とする。
研究方法
 医薬品添加物及び医薬品中のタンパク質含有量の検討並びに総括を手島研究代表者が担当し、医薬品に含まれる食品成分によるアレルギーの国内における実態調査を板垣班員が担当し、諸外国での報告事例に関する文献調査を海老澤班員が担当し、医療用医薬品(注射剤、吸入剤、外用剤)における添加物使用の状況調査を松田班員が担当し、医薬品添加剤のタンパク質性不純物の有無に関する検討を阿曽班員が、医薬部外品の添加物等の安全性に関する研究を松永班員が担当した。
結果と考察
 1)「吸入剤」及び「注射剤」を対象として、医薬品中のアレルギー原因食品由来タンパク質含有量に関する検討を行ったところ、乳糖を添加された医薬品において、ELISA法で数g/g程度の牛乳タンパク質が検出された。 2)日本薬剤師会の協力の下、医薬品に添加されている食品成分によるアレルギー症状発症に関するアンケート調査を薬剤師を対象に行い、783名より解答が得られ、食物アレルギー発症症例の経験は、2.0%の方が有していた。3) 諸外国での報告事例に関する文献調査では、医薬品の副作用報告は鶏卵2例、牛乳4例(乳糖3例)、ピーナッツ2例、他5例であった。4) 医薬品の添付文書における記載から、注射剤では乳糖、卵黄レシチン等が、吸入剤では乳糖が、比較的多く使用されていた。5) 医薬部外品の「茶のしずく石鹸」等による即時型コムギアレルギーの原因解析と診断方法の確立を目的として、当該石鹸に含まれた加水分解コムギ末 グルパール19SのELISA法を開発し、良好な結果が得られた。また当該アレルギーの正確かつ迅速な情報を提供するために、症例の実態の把握と予後の疫学調査用の医師登録Websiteを作成し,平成24年3月より登録を開始した。
結論
 医薬品等に含有するアレルゲンの状況調査等を実施し、この結果を踏まえ、医薬品添加剤等に関する安全性向上に向けた方策や添付文書等による情報提供方法に係る提案を作成することができた。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
201132046B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品添加剤等の安全確保に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H22-医薬・指定-033
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
手島 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
研究分担者(所属機関)
  • 板垣 康治(北海道文教大学 人間科学部 健康栄養学科)
  • 海老澤 元宏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 松田 勉(山形大学大学院 医学系研究科)
  • 阿曽 幸男(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
  • 松永 佳世子(藤田保健衛生大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 本研究では、後発医薬品の使用により、先発医薬品では起きなかった副作用が生じるケースが指摘されていることもふまえ、医薬品添加剤等によるアレルギー発現状況の実態調査や海外における対応の状況等を研究するとともに、医薬品の添付文書等で添加剤に由来するアレルギー等の副作用等に関する注意喚起の方策等を研究し、行政に向け提案することを目的とする。
研究方法
 医薬品添加物及び医薬品中のタンパク質含有量の検討並びに総括を手島研究代表者が担当し、医薬品に含まれる食品成分によるアレルギーの国内における実態調査を板垣班員が担当し、国内並びに諸外国での報告事例に関する文献調査を海老澤班員が担当し、日米欧の医薬品における添加物表示及び注意喚起表示の比較、並びに国内の医療用医薬品(注射剤、吸入剤、外用剤)における添加物使用の状況調査を松田班員が担当し、国内外の添加剤の使用状況に関する調査を阿曽班員が、医薬部外品の添加物等の安全性に関する研究を松永班員が担当した。
結果と考察
 1)「吸入剤」及び「注射剤」を対象として、医薬品中のアレルギー原因食品由来タンパク質含有量に関する検討を行ったところ、乳糖を添加された医薬品において、数μg/g程度の牛乳タンパク質が検出された。 2)日本薬剤師会の協力の下、医薬品に添加されている食品成分によるアレルギー症状発症に関するアンケート調査を薬剤師を対象に行い、783名より解答が得られ、食物アレルギー発症症例の経験は、2.0%の方が有していた。3) 国内、国外での報告事例に関する文献調査では、牛乳、鶏卵成分を含む医薬品での副作用事例が多かった。4) 日米欧の医薬品が含有する添加物の添付文書等への記載については、原則的に含有する全ての添加物を表示するという点で、日米欧間で差は認められなかった。また、国内の医薬品の添付文書における記載例の調査から、吸入剤では乳糖が、比較的多く使用されていた。5) 医薬部外品の添加物等の安全性に関しては、石鹸に含まれた加水分解コムギ末 グルパール19S測定のためのELISA法の開発を行い、また当該アレルギーの症例の実態の把握のための医師登録Websiteを開設した。
結論
平成22年度及び23年度の結果を踏まえ、「今後の医薬品添加物表示の在り方について」をとりまとめ、適切な注意喚起を行うために、優先的に検討すべき添加物及び製剤について提案を行った。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
201132046C

成果

専門的・学術的観点からの成果
 医薬品添加剤についてアレルギーに着目した注意喚起についての調査を、添付文書から、また、薬剤師を対象とした全国アンケートで行った例はなく、学術的にもレベルの高い研究である。
臨床的観点からの成果
 医薬品添加剤による副作用の軽減が期待できる。また、医薬部外品による副作用事例の診断法を確立したことは予後の経過観察に向けて極めて重要な成果と思われる。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
 現時点で特になし。ただし、医薬品添加剤の添付文書での注意喚起の記載方法についての提案を行ったので、これから行政施策への反映が期待される。
その他のインパクト
 平成24年3月12日より、茶のしずく石鹸による小麦アレルギー情報サイトを立ち上げ、医師登録サイト及び患者・一般向け情報提供を開始した。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
10件
その他論文(和文)
7件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
33件
学会発表(国際学会等)
25件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Shindo T, Kanazawa Y, Saito Y, et al.
Effective induction of oral anaphylaxis to ovalbumin in mice sensitized by feeding of the antigen with aid of oil emulsion and salicylate.
The Journal of toxicological sciences , 37 , 307-315  (2012)

公開日・更新日

公開日
2018-06-21
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132046Z