新型インフルエンザワクチン製造株開発と品質管理及びワクチン使用戦略に関する研究

文献情報

文献番号
201132041A
報告書区分
総括
研究課題名
新型インフルエンザワクチン製造株開発と品質管理及びワクチン使用戦略に関する研究
課題番号
H22-医薬・指定-025
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
板村 繁之(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤佳代子(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
  • 白倉雅之(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
  • 横田恭子(国立感染症研究所 免疫部)
  • 笠井道之(国立感染症研究所 血液・安全性研究部)
  • 嶋崎典子(国立感染症研究所 インフルエンザウイルス研究センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
5,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、発育鶏卵での高生産性のインフルエンザワクチン製造株の開発や、ワクチンの剤型による免疫応答を解析することにより新型インフルエンザ出現時にどのようなワクチン接種戦略が適切であるのか検討を行う。また新規アジュバントを含有したワクチンの品質規格試験として適切な試験法の開発、標準化を実施して品質の均一な製剤を供給することなどを目的とした。
研究方法
リーバースジェネティクス法による改変ウイルスを作製しての増殖性の検討、免疫学的方法による力価試験法の開発、ワクチンの剤型の違いによる初回免疫と追加免疫における免疫誘導能の比較、ワクチン力価の経時安定性に与えるワクチン製造用ウイルス株のアミノ酸変異の影響の解析などを実施した。
結果と考察
(1)インフルエンザウイルスのウイルス粒子への取り込みに関係すると考えられる領域を改変したウイルスを作出して検討し、ウイルスの亜型によってその生産性に与える効果にはばらつきがあったが、特定の亜型については生産性をあげることができた。
(2)開発したサンドイッチELISA法を用いて全粒子不活化ワクチンについてHA含有量を測定したところ、力価試験として標準に実施されている一元放射免疫拡散試験法(SRD)で測定した値と比較的良く一致したが、再現性に課題があることがわかった。
(3) 全粒子ワクチンでは初回免疫の場合の抗体価は高いものの、追加免疫後の抗体価はスプリットワクチンも同程度に高くなることがわかった。
(4) HA蛋白のある種の変異はワクチンの抗原性には影響は与えないが、ワクチンの経時安定性に影響を与えることを明らかにした。
結論
ウイルス蛋白生産量の増加が期待されるワクチン株作製の基盤となる知見を得た。ワクチンの品質管理のために力価試験として有用な新規方法を開発できたが、再現性に課題がある。剤型の違いによる免疫誘導能の違いについての知見はワクチンの接種戦略を検討するためだけでなく、ワクチンの品質管理を行う上で、よりワクチンの効果や副反応に関連する特性を明らかにするのに役立つ。ワクチンの経時安定性にワクチン製造株のアミノ酸変異が影響を与え、ワクチンの品質管理上、重要な項目であることがわかった。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132041Z