慢性疾患における多剤併用と副作用発現との関連に係る疫学調査の手法に関する研究

文献情報

文献番号
201132035A
報告書区分
総括
研究課題名
慢性疾患における多剤併用と副作用発現との関連に係る疫学調査の手法に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-013
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
樋口 輝彦(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 川上 純一(浜松医科大学附属病院)
  • 伏見 清秀(東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科)
  • 伊藤 弘人(独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所 社会精神保健部)
  • 稲垣 中(慶應義塾大学大学院 健康マネジメント研究科)
  • 松田 公子(静和会浅井病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
6,600,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、向精神薬をモデル的にとりあげ、電子カルテ等から得られた臨床データを用いて精神疾患を有する患者の多剤併用状況とそれに伴う副作用の発現状況に関する疫学調査の可能性を示すことである。活用可能なリソースや調査解析を行う上での条件等、予備的調査の実施を含めて検討する。その際、薬剤師の担う役割を明確にしつつ、疫学調査体制や臨床現場における多剤併用の適正使用に向けた体制の整備に資する成果を目指す。
研究方法
1)従来型疫学調査手法による検討:抗精神病薬により誤嚥性肺炎をはじめとする重症感染症の発症リスクに関する検討。
2)電子カルテ等を用いた多剤併用と副作用発生の関連の評価手法の検討:抗精神病薬が処方された患者のうち副作用発生症例の抽出方法に関する検討。
3)臨床現場における適正使用推進活動の試み:薬剤師の参画等による向精神薬適正使用に向けた推進体制構築の一環として、薬剤師を中心とした薬剤適正使用モデルケースの検討。
4)多剤併用と副作用発現の関連に関する分析:DPCデータから、処方レジメンを加味した向精神薬処方実態の解明。
5)現存リソースの特徴の分析:抗精神病薬の心臓への影響を明らかにするために、トルサード・ド・ポアント(TdP)症例の整理。
結果と考察
1)抗精神病薬の投与を受けている患者において、重症感染症の発症リスクは高齢になるほど高くなることを示した。
2)抗精神病薬による錐体外路障害を同定する基準および短期間で副作用が発現し抗精神病薬の投与を中止した症例を同定する基準を提案した。
3)薬剤師の介入によって処方が単純化されることにより、統合失調症患者のQT延長防止対策につながる可能性を示した。
4)DPCデータから、一般身体科の入院治療における向精神薬処方は単剤処方ではなく、同一薬効分類内の多剤併用や他の薬効分類との多剤併用が存在することを明らかにした。
5)医薬品医療機器総合機構(PMDA)が公表する自発的副作用報告に係るデータベースから、抗精神病薬が関係するTdP発症症例は6年間で11症例存在した。ただし、これら症例の多くは軽快または回復していた。
結論
本研究を通じ、精神疾患を有する患者の多剤併用状況とそれに伴う副作用の発現状況との関連等に関する疫学調査の可能性に関し、新たな知見を得ることが可能と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
201132035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
8,580,000円
(2)補助金確定額
8,580,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,145,016円
人件費・謝金 1,521,577円
旅費 1,908,727円
その他 1,024,680円
間接経費 1,980,000円
合計 8,580,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
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