小児臓器移植前後におけるワクチン接種の安全性と有効性に関する研究

文献情報

文献番号
201132033A
報告書区分
総括
研究課題名
小児臓器移植前後におけるワクチン接種の安全性と有効性に関する研究
課題番号
H22-医薬・一般-010
研究年度
平成23(2011)年度
研究代表者(所属機関)
齋藤 昭彦(新潟大学大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 笠原群生(国立成育医療研究センター 移植センター)
  • 竹田誠(国立感染症研究所 ウイルス3部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成22(2010)年度
研究終了予定年度
平成24(2012)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この研究の目的は、生体肝移植を受ける前後の小児に対して、接種後の抗体価の測定のみならず、細胞性免疫機能の評価を行い、最終的に客観的データを基に効果があり、安全なワクチン接種を行うことである。
 
研究方法
研究方法として、以下の研究を実施している。
① 生体肝移植前後のワクチンの効果、安全性の前方視的調査
生体肝移植前後の患者の評価: 水痘、風疹、ムンプス、麻疹に対する抗体価、Elispotを用いた細胞性免疫の評価
② 免疫学的評価
1) 液性免疫能(B細胞機能)
生ワクチンに対する抗体価の上昇を見るため、水痘、風疹、ムンプス、麻疹に関して、EIA法にて抗体価の測定。
 2) 細胞性免疫能(T細胞機能)
麻疹、水痘、風疹抗原によるELISPOTを用いたCD8+細胞の反応を測定。
(1) 水痘の評価
樹状細胞で個別の水痘抗原蛋白を発現、提示させ、健常成人のリンパ球に感作させ、ELISPOT法を用いて、各抗原の細胞性免疫原性を検討できる系を構築。
 (2) 麻疹の評価
リンパ球刺激抗原の選択、刺激条件、免疫反応測定試薬(ELISPOT、ELISA)の選択を麻しんワクチン接種者、感染履歴者のリンパ球を用いて実施。
(3) 風疹の評価
実際にin vivoで抗原提示され、T細胞を活性化するエピトープペプチドを決定し、HLA-2402特異的なMHCテトラマーによる解析法を作製。並行して、HLA型に関係なく細胞性免疫を評価可能な方法として、風疹ウイルスのIn vitro viral suppression assayの検討および最適化を実施。そららの予備実験をもとにして、検査対象者のリンパ球反応を測定、解析。
 
結果と考察
国立成育医療研究センターにおける生体肝移植は、継続的に行われており、また、ワクチンセンターの活動も継続的に行われている。患者検体の採取は、順調に行われて、計画の検査は順調に行われている。抗体価の測定に関しては、阪大微生物研究所にも測定を依頼し、測定結果を得ている。現在、43名の移植後の患者からの検体今後も、検体採取を継続し、抗体価、細胞性免疫の評価も実施する。採取を終了し、抗体価の測定を終了、細胞性免疫の評価の結果を待っているところである。それらのデータに基づいて、効果があり、かつ安全性の高いワクチンスケジュールを作成し、それを国内外に提供することが最終的なこの研究の目的である。
結論
生体肝移植後の児がワクチンで予防できる病気から守られるためにも、ワクチン接種後の免疫機能を評価し、安全でかつ効果のあるワクチン接種を行うためのデータの蓄積が必要である。

公開日・更新日

公開日
2017-05-30
更新日
-

収支報告書

文献番号
201132033Z